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音速異世界爆走記  作者: 風間サトシ
第三章
53/81

第五十一話:クレタ防衛戦


 地域の領主のお抱えになるというのは安定に繋がるのか

やはり目指すは、その国の主に仕える事かな?



 高位ダンジョン発見の報せを受けて、ワクワクしながら到着しました。

 

 お供はフランを入れての6人だ、話を聞くと、エトワールの東へ

1日の距離ということなのでダンジョンの領有権を主張する為に

先発に1個大隊、応援で更に3個大隊の2千人を投入。

 

 実効支配こそが正義です。

 イリカ村が事実上無くなったので、星のダンジョンと勝手に命名して

現在は魔法兵で村を建設中という侵攻具合である。


「フラン。本隊のレベルは20だったな、本当に30になれば登録できる

人数が上がるんだろうな?」


「そう言われると、未経験だから微妙だけど。たぶんできると思うわ」


 フランの話ではレベル10で覚醒した時が3人登録できて、20で5人迄

増えたので30になれば、きっと増えると言うのだ。


 今は本体と30才の本人、15才の本人とフランで枠が余り1つだ

ピンチの時に俺の代役をさせたいので、要らないのを消したいんだが

妙に嫌がるので、枠を増やす事にした。


 面倒な仕様で枠が余ってないと変身できないと、後から言い出した。

「ではみんな、予定では明後日の夜に会いに行くから

安全を確保しながら進んでくれ」


「兄様は、一緒に行かないの?」

「ちょっと用があってな、どこかで必ず追いつくよ!」


 

「ニケは、ダンジョンの周辺警備は頼んだぞ」

「はい」

 

 俺とフランはアオイで調査に来ている兵士を追い抜き、一気に進む。

 あれが2層か、流石にアオイについてこれるヤツはいないか。

 

「フラン、ここで本体に戻れ」

 精神が肉体に完全に引っ張られているか?

 4回ほど殴ってやったら、15才に戻った。

 

「本体じゃなくて大丈夫なのか?」

「大丈夫、スキルは同じだから」

 こいつも軽いな、兵に見つかった時に若いほうがいいか。

「じゃあ、行くぞ」

「待って、フランみたいに剣は苦手だから短剣貸してくれない」


 仕方のないやつだ、短剣か2、3本有ったはずだが。

「ほら、2本あればいいだろう」

「なんか、いまいちの武器ね」

「今度買ってやる」


 2層からオーガの団体様か、Cランクだったら危ないな。

「【ウインドカッター】」

 本体は風魔法か、俺はローラの前で刀で斬りつけながら進む

鳥系の魔物に『ダークアロー』を撃ち込んだが人間の様に効果がないな

猪、虎と狩っていき2層が3時間で終了。


 3層はアオイが気分よく狩りをしてるので、2人で前衛だアオイは

その辺のAランクの冒険者より強いだろう。


 3層は川があるので蛙だな、予想通りなのでサンダー系で攻撃する、威力は

低いが、忘却のダンジョンの時のレベル9とは訳が違う、サクサクとは

いかないが、アオイとのコンビで倒していく。


「ローラどんな感じだ?」

「レベルが3つあがったわ」

 それから、川が細くなり、林になったのでシルバーウルフや

グリーンエレファントを狩る、そういえばエレファントの皮を前に取ると約束

していた気がする、ローラがいるので5時間掛かったが3層突破だ。


 4層はローラも28に上がったので、俺も全開で倒していく。

 

 サイのような形に見えたがパワーアップした『アクアフラッシュ』の前には

一瞬しか映らなかった、キラーエイプ、デスエレファントなどやばそうなのは

瞬殺だ、奥でオーガジェネラルを発見したので、これを倒した所で

ローラがレベル30になった。


「どうだ、増えたか?」

「やってみないと、わからないわ?」

「じゃあ、まず俺になってみてくれ」

 自分を鏡以外で見るとこうなるのか、ちょっと怖いな。

 

「カズマ凄い、アイテムボックス持ってるじゃん」

「スキルは本当に使えるんだな」

「どっちが多く狩れるか勝負しよう」

「いいぞ」

 俺たちとアオイで1時間快進撃をしたが、『ペコの魔法』封印の条件で戦ったら

俺の方が競い負けてしまった。

「おい、そろそろ気持ち悪いから。そうだな娘のサラに変わってみてくれ」

「残念だな」


 さすがに俺だ飲み込みが早い。

「カズマ、どう?」

「なんか、呼び捨てにされると違和感が半端ないな」

「サラも強くなったわね」

「どうだ?」

「これで残り1枠ね、休まないと、もう変われないわ」

「これで7人か、悪くないな、2回変化出来ればいいだろう」


 サラの実力も見てみたいし5層に行くか。


 5層は、なんとシュトラウスの群れだ、これは狩るより捕獲だな。

 4層に戻ってキャンプだ、時間を見ると午前3時か、随分狩ったな

自分が強くなると余裕ができるようだ。


 昼に起きてフランに戻れると言うので、戻ってもらってシャル達を待つ。

 結局、その日は来なくて、翌日の10時にやっときた。

 

「みんな腕が鈍ったのか、まだ4層だぞ」


「デスエレファントが3頭居たので、かなり崩れてしまいました」

「そんなにやばいやつなのか?」

「視線が合うと、高い確率で死亡します」

 あいつはそんない手強かったのか?

 

「加えて、ダンジョンが初めての者が多くて、時間がかかりました」

 兵士様御一行と一緒に来たか。

 

「みんなここで2時間休憩して5層へ行く、次はシュトラウスの群れだから

みんなで捕獲作業だ」

「ダンジョンでシュトラウスですか?」

「珍しいのか?」

「そうですね、聞いたことがないですね」

「行けば、わかるさ」

   


 シュトラウスも、これだけ揃っていると壮観だな、兵士が捕獲作業を

しているが、逃げるのが早いので、かなり苦労してるな。


「みんなは参加しないのか? 楽しそうだぞ」

「お姉ちゃんにお任せです」

「私達も、捕獲作業は経験がないので」


 襲ってこないだけ感謝だが、どうやら頭がいいようで、千人以上に

包囲されてる意味がわかるようだ。

「そっちに行ったっぞ」

「「「【クッション】」」」

「右側に追い込め」

「こいつら、異様に速いですよ」

 

 確かに、アオイに比べれば遅いが、飼ってる連中に比べると速いな。

「マリア、ポータルの設置作業は順調か?」

「ここは凶悪な魔物がいないので、あと3時間程で設置できるかと」

    

 俺もアオイで捕獲に参加するが、手加減というのは非常に難しい

5羽捕まえた段階で、かなり疲れたので、他のモンスターがいないか哨戒任務

に切り替えたが、この層はシュトラウス以外いないようだな。


「子爵、ポータルの設置ができました」

「マリア、良くやってくれた」


「俺はここのレベルは判ったので帰るが、みんなはどうする?」

「兄様、わたしも帰ります」

 他は残るか、レベルも50超えてるし問題ないだろう。

 

「ヒルダとフランは帰るぞ、みんなも気をつけてな」

「「「はい」」」

 


 エトワールへ戻って、のんびり仕事をしていると、大量の移民団がここに

補給に寄っているという報告だ、ラインへの移民団のようで先発で5千人程で

王国中より、奴隷を含めて合計で30万人程度をラインに送り込む予定らしい。


「フレイヤ、よく30万も、人が集まったな?」

「ラインへの移民団に加わる条件として、4月の税が免除になるようです」


「そうか、あの女性の方々もラインに戻ったのか?」


「そのような報告はありませんね、移民団と言っても、実際の所は開拓民に

近いので、安定した土地を得た者は参加しないでしょう」

 税を半分だけ免除か、10月に何割の人間がまともな生活が出来るかだな。


「ラインの領主は誰になったんだ?」

「辞退する者が相次ぎ。現在はまだ決まっていないようです」


「ラインの領主は儲からないのか?」


「領主は住民100名につき金貨10枚と、別に爵位によって国へ一定額を

11月末に納めなければいけません」

「まず、星金貨300枚を払える、新規領主がいませんね」


 大商会に借りれば払えそうだが、畑は荒れてるだろうし、街の修復と兵士

の雇用か、確かに辞退する気持ちがわかるな。

 


「みんな戻ってきたようだな、どんな感じだった?」

「5層でのシュトラウス確保は順調で既にニケとマリアの部隊は全て、ラウス隊

へ変更済みで、全軍ラウス隊という編成も可能です」


「ダンジョンは12層まで踏破しましたが、13層にデスエレファントの

上位種が居て、進撃を断念しました」


「そんなに強いのか?」

「11層と12層のアンデッド層で疲弊した部隊に、武器攻撃がほぼ不可能な

敵が複数居ては、とても進めません」

「そうか、お客はあまり来ないかも知れないな」


「しかし、素材が高価な魔物が多いので、優秀な魔法師を20名程度揃えられる

パーティなら来ると思います」

 20名というと、魔法師だけではきついから、最低4パーティか?

 

「冒険者は来てるのか?」

「はい、注意はしたのですが、4層から出てくるデスエレファントで

かなり死者を出しているようです、13層へ行ったパーティは帰って来ませんね」

   

 視線が合うと即死か? 遠距離からの魔法攻撃のみ有効とは厄介な相手だ。

 


 アオイで街を散歩でもするか。

 いないな、フランが使ってるのか?

 

「ご主人、ちょうどいい所にきてくれました」

「どうした、ミラ」

「アカネちゃんの子供が生まれたので、名前を考えていた所です」

 6羽もいるのか? さすがに女神のセレクトしたやつだ、産まれるのが早いな。

 

 名前か、思いつかないな。

 

「子爵。王都から連絡が来ています」

 名前付けはまぬがれたか。

「わかった、すぐ行く」



「みんな、待たせたようだね」

「いえ、先程こちらも揃った所です」


「連絡とは、やはりどっかで戦争か?」


「東のクレタ近郊で戦闘が始まった模様です」

「敵の数は半月前の段階で兵力が約1万程度、7日前に2万が

増援で来た模様です」

「すでに王都から3万、カナンから1万の兵が出ています」


「アラン伯はどの程度の兵力を持っているんだ?」


「それは私から」

「アラン伯は昔の勢力とクレタの兵を合わせて6万程度の兵を保有しています」

「リリーナは詳しいな」

「敵兵が1万程度なら、援軍を要請する気がなかったのだと思います」

 流石に国境を守備している伯爵だな、しかし6万も雇って大丈夫なのか?

 

「我々は1万5千なら、すぐに出せますが」

「出しすぎるのも考えものだ、カナンより少なめの9千のラウス隊で行こう」

「行くのは、アレクとシャルとリリーナにしよう」


「防衛はリン達に任せる、出発は明日の朝8時でいいだろう」

 援軍が少ないし、連絡が遅いという事は攻め込むつもりはないんだろう。

  

「ご主人さま、私達はどうしますか?」

「シャルの部隊と一緒に行くよ、今回は裏切る諸侯はいないし、援護だけだね」



 翌日エトワールを立ち、脅威の速さを誇る新生ラウス隊は2日後にクレタ近郊

の丘の手間に布陣している、歩兵だったら10日はかかるな。


「どうやらクレタは囲まれてますね」

「アレク、敵兵はどの程度だ?」

「偵察隊の情報だと5万程かと」


「囲まれていては仕方ない、しばらく情報収集だな」


 どうやらカナンと王都のの兵はすでに到着していて、白鴎で見た感じでは

街の中で戦闘が起きてるらしい、さてどうしたものか?


 夜が明けて、朝食を取りながら軍議だ。

 どうやら、トライゾンの旗が街の中に多数見えるらしい、そう言えば

ユミルに攻め込んだバカな伯爵が居たな。

 

「どうやら、クレタの兵士とアラン伯の兵士が戦っているようです」

「クレタの兵がトライゾンの元部下で、王国への反乱か?」

   

「反乱には住民も呼応しているようで、王国軍も鎮圧に当たっているようです」

「守るべき住民が敵だとすると、クレタは持たないな」

「王国軍とアラン伯の兵を合わせれば6万を超えるでしょうが……」


「敵は外に5万と内側に3万程度と住民か?」

「リリーナ、相手の国の地理的な状況は?」


「敵は東のトーラス王国で国力はエルミールの半分程度ですが、今の王は治世に

評判があり、ここから一番近い街がナキと言って、人口が15万程度の街です」


 人気者が戦争か、気に入らんが何かしないとここまで来た意味がないし。


「よし機動力を活かして、ナキの街を襲おう、兵は少ないだろう?」

「街を襲うんですか?」

「そうだ、そうすれば、ある程度の兵は救援の為に戻るだろう、我々に

できるのは王国軍の逃げ道を作ること位だな」


「では30分後にナキに向かう、敵に見えるように進軍するぞ」


 俺たちラウス隊9千は敵の横3キロ程度をナキに向かって走り抜ける

敵は騎馬部隊で追ってくるが、速さが違う。


 3時間でナキという街へ到着、兵が僅かしか見えないので、そのまま突入だ。

「全軍進め、抵抗する住民は殺して構わん、人が退去した建物から燃やせ!」

 侵略ですよ、今回は泥棒稼業はできませんが、燃えますね。

 

「いいんですか、燃やしてしまって?」

「相手が扇動して間接的にクレタでやっている事だ、直接も間接も同じだ」

 敵兵はわずか500程度しか残っていないようだな、残念だが

この街は今日で臨時閉店してもらおう。

 

 夕方には街が火でライトアップされたように燃え広がっている、住民の

ほとんどは抵抗する事なく、東へ逃げていったので、街があるんだろう。

   

 俺たちは街の北側の林で援軍が来るのを見張りながら休憩だ。

 翌朝の7時に敵を発見、クレタ方面から約1万だ。


「アレクとリリーナは敵の騎馬部隊に奇襲をかけてくれ、たぶん疲労の

ピークだろう、俺達は補給部隊を襲う」


「シャル、魔法師部隊で一気に後方の馬車を殲滅した後に攻撃をかける」

「はい」


 そこから奇襲をかけて、敵の馬を潰した後に、速度を活かして遠距離からの

魔法と弓矢で攻撃を続ける、2時間で敵の8割程度を削った所で

更にクレタ方面から援軍が来たので、潔く北へ撤退。

 

「援軍は随分いたな」

「そうですね、2万以上かと」

「よし、1時間休んだら、クレタに戻るぞ」

「「了解」」


 

 クレタに戻ると完全に王国軍が攻勢に出ていた。

「よし、クレタの北の敵部隊を攻撃する、リリーナが指揮して見せろ」

「はい」

 リリーナの指揮の元、背後から敵軍を挟撃する形で敵の数を減らす。

 一度勝利を確信した部隊が崩れるのは早い、クレタ市民も見捨てられるとは

思っていなかっただろう、勢いがないようだ。


 2時間程の戦闘で敵が1万程度になった所で司令官が降伏してきた。

 王が善政を引いていると、指揮官も有能なのだろうか?

 

「アレク、クレタに伝令だ、俺達は敵3万を引きつけ、1万以上を殲滅し

敵国の補給地点を破壊したが、怪我人が多数出たのでこのまま帰還すると」


「王国軍の方々やアラン伯に会わないで、宜しいのですか?」


「王国軍の援軍の前で伯爵は面目を潰されたんだ。反乱に加担した者は

明日は処刑だろう、処刑ショーを見たいか?」


「見たくはありませんね」

「では例の場所で野営した後に、明日一番で撤退だ」

    


 敵は疲労が激しいはずで、3日は戻ってこれないだろう

今回はかなり徹底的にやったが、恨みはアラン伯に押し付けてしまおう。



 クレタは落ちなかったので義理は果たしたし、兵の損傷も無かった

リリーナも使えると判ったので、下らんショーが始まる前に帰るとしよう。


 

364億8千万と金貨33枚


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