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音速異世界爆走記  作者: 風間サトシ
第三章
47/81

第四十五話:最悪の敵と国王危篤


 ユニークスキルを瓶に使うと、ただの水は

ただの水だった。


「おーーい、宝くじの組違いにも引っかからなかったか」

 自らの心に向かって大きく叫ぶ、外れだったのか折角、みんなに

見つかるのを覚悟して帰ってきたのに。


「あ~あ、何故か虚しい」

 せめて噂のS級ポーションでも作れればな、日々研鑽

もう少しだけ試してみるか、それから既存のポーションや荷箱で買った

栄養剤、オノさんの作った薬品、錬成版を使った本格的な作業も

試したが全滅。


 こういう時は酒だな、俺的には高級な1万円のワインを出して

飲もうとすると、手が光る、落胆しすぎておかしくなったか。


 最後のお試しで美味しい酒に祝福だ、全魔力を込めて叫ぶ。

「【バッコスワイナリー】」


 すると光は凄まじい輝きを放ち、俺は意識を失った。

 


「お前、そんな無茶な事をしてると、戦争する前に死んでしまうぞ」

 女神さまという事は夢か。

「女神さま、まだベリアスを懲らしめていませんが宜しいのですか?」


「まあ、今回はベリアス偵察記念と言う事で特別じゃ」

「お前が特殊スキルに全魔力を込めるから暴走したんのじゃ、もう少しでこっちへ

来るかと思ったぞ、お前の運を上げてなかったら死んでおったな」


「ご忠告賜り、この浅学非才の身にはもったいないお言葉です」

「良い心がけじゃ、暴走されてこちらに来られては堪らんので説明してやろう」


「お前の特殊スキルはわらわの加護に被る物でな、ワインを捧げ代償に

薬を得るのじゃ、飲める薬なら魔力次第で生成可能なのじゃ」


「それではどんな薬でも作れると言う事でしょうか?」

「魔力次第と言ったであろう、人の魔力では全ては無理であるな」

 そうか神酒とかは無理か残念だな。

 

「薬品生成に比べれば、遥かに用途が高いぞ、お前が試行錯誤するのを見物

するのも一興じゃな」

「この男は一緒に転移した者ですか? やはり善良な民を傷つけるのは女神様の

逆鱗に触れるでしょうか?」


「お前もやっと面白い事を言うようになったの、そやつは貴様など比べられない

程の人間を薬で快楽の為に殺めておるわ、そやつのレベルを見てみよ」

「体が回復すればお前が殺されるぞ、好きに致せ」


「ヴォルホルに転移した者はまだ他にもいるが」

「お前を探している転移者が1人おるぞ、探すのも一興かの? さらば」


 そして、女神はそれで消えていった。

 


 もうひとりか、誰だろう? 俺と敵対するのかな?

 ワインか、最近嵌って眺めていたしカートにはかなりあるだろう

試行錯誤してみるか。


 まだ眠っているこの男が俺を殺すだと女神様も心配症か。

 

 レベルは・・・。

 ギレと同じか、そうなのか、1時間見つめ続ける。

 じっくり見つめる、慎重にゆっくり、じっと見る、じっくり・・499。

 

「……死ね【アクアフラッシュ】」


 刀で首を斬りつけ『アクアフラッシュ』を30発お見舞い、更に

『ウインドストーム』を入れて、とにかく斬る、斬りまくる

連続でMP回復薬をがぶ飲みして『ペコの魔法』で押しつつ斬る。


 まだこいつのHPは1割も減ってない。

 ステータスには能力一時衰弱中と出ていた、迷ってる暇は無い

衰弱中の文字が薄くなってきた、『ペコの魔法』の封印していた大陸系を

使うしかないと判断。

「【減速、30倍、5分】」


 俺に『加速、30倍、5分』を掛けて祈る気持ちで詠唱に入る。


「【ペッコ大陸光陰崩壊】」


 ここへ来たのはまだ日が高かったので、2時頃かと思うか、すでに夕日が

見える、そして遂に魔法が発動する、かなり長く感じたな。


 凄まじい音と響きと共に大地が激震したように感じ、3.11より大きいな

そして再び意識が途絶えた。



☆☆


 なんか苦しいな、目を開けるとテテが俺の胸の上でじっとしていた。

 周囲はほとんど海だ、俺のいる一角だけ浮かんでいる感じだ。

 

 そうだ俺は生きているようだが、どうなった

フラつきながら起き上がると目の前に白骨死体がある、人の死体のようだが。


 まさか逃げたのか、空は明け方のように感じる一晩寝てたのか。

 とにかく水とパンだな、すぐに食べ終わった、それから5人前程食べて

やっと落ち着いた、最後に見た時はHPが1割減った位だったが

倒せたのだろうか? 見逃されたとも思えんが?


 一息ついて、骨を鑑定してみると『イサム・オノの死骸』と出る、倒したのか

レベル499を、『ペコの魔法』が9割以上削ったのか、とにかく助かった。


「テテ、大丈夫だ心配するな勝ったようだ」

 今回は暗殺者とは比較にならなかったな、相手が1割の力でも残していれば

俺が死んでたな、屋敷にいた時は斬れたのに、ここでは斬れなかった。


 そこまで回復してたんだろう、何故衰弱中だったのか解らないが

本来なら昨日、俺は殺されていたな、3流どころかそれ以下だったな

ミラが話をしているかも知れない、戻るか。


「テテ心配掛けて済まないが、オートバイになってくれ」


 テテが変形したCBRに跨がり、エトワールへ、こちらへ向かった時は宝くじが

当たったような興奮で意識していなかったが、かなりの距離があるな。


 2時間かけてようやくエトワールへ到着した、そのまま門から中へ入る。

 随分出来上がったな、北側のエリアにかなりの建物があるな。

 

 城に入ると、中から数人出てきた。

「子爵、ご存命でしたか心配しました」

「フレイヤどうした、昨日来ただろう?」

「何を仰っているんですか、最後にミラ様と別れてから一月以上

そう、あの大地震から一月以上ですよ」

「そんなに大きな地震があったのか?」

「子爵、少しお休みになられたほうがいいですね、その間に子爵がいない間の

話を致します」


 それからベッドの上で、フレイヤから不在中の経緯を聞いた。

 

 俺がミラと別れてから一月以上経っていた事、俺とミラが別れた日に

大規模な地震があった事、既にきリカより連絡があり

王国の南部方面軍はダーナに向けて進軍を開始していている事。


「今日はお休み下さい、明日の朝に参ります」


 俺も出された食事を食べたらまた眠くなったので、寝た。

 フレイヤに起されてベッドから起き上がる、昨日に比べたら絶好調だな

ヒゲを剃り、食事をとり会議室へ向かう。

「生きとったのは本当のようじゃな」

「コルトかお前もな」

「どうやら本物のようじゃな、偽物かと思ったぞ」

「子爵、どちらへ行っていたんですか?」

「船に乗っていた所までは覚えているんだがな……」


「そうですか、とりあえず安心しました」

「言われたとおり、軍務と政務は滞りなく進んでおります」

「それは助かる、昨日大まかにはフレイヤに聞いたが、ロキ戦況はどうだ」


「掴んでいる範囲の情報ですと、10日前より王国主力はダーナで交戦中

我々も兵4千、補給部隊5百を出しています、敵は兵力3万5千

にベリアスの援軍4万と聞いています」


「3万5千か、それで王国軍は?」

「……キリカ集結時には兵力14万でしたがダーナ直前で約2万が反乱を起こし

進軍中の軍を後から襲い、そこにガレドン候とベリアス軍が攻め込み挟み撃ちに」


 現在は6万弱で戦線を維持している状態です、我々はコルト殿の助言で

ガブリエルの部隊と距離を取っていたので助かりましたが、諸侯の部隊は

壊滅もしくは大打撃です、そのままダーナにて対陣して現在に至ります。


「それでは負けていてもおかしくないな、援軍は王都から出たのか?」

「王都でも現在主力が居なくなった所を狙い反乱が起きています」

「報告では反乱軍は北から2万、東から3万が王都へ向けて尚も進軍中で

王都内の戦況は不明です」


「聞くと酷いな、王は無事なのか?」

「重体と聞いています、ハマーン宰相が裏切った際に毒を盛られたらしく

重体のご様子です」


 俺がいない間に、もうダメか、この国は?

 しかし背負う物も多くなった、前のように四人だけじゃないからな

どうする、俺1人で一体で何が出来る。


「そうだ、エリクサーならあるぞ、陛下にお渡ししなければ」

「それがベリアス王国の品なら、すでに手に入れて試したご模様です」

「そうか、試したか?」


「万事休すだな、ハイムどうするエトワールは?」

「現在、エトワールを救う為に姫様は王都で反乱軍と戦っております」

 そうか戦っているか、逃げる事を考えた俺とは違うんだな、最悪は

女神の所に行くことになるが、みんな一緒ならそれも良し。


「王都へ行ってくるぞ、やらねばな」

「エトワールも王都が落ちれば持たないだろう?」

「行ってくる」

 アオイが居たのでそのまま王都へ

 

☆☆


 王都の門は空いたままか、アオイに乗ったまま突っ込むが、かなり酷いな。

 人は激減、民間人は見える範囲では数人しか見えない、そこを大きめの

シュトラウスで進む、アルト商会が閉まっているか?


 反転して城を目指すと兵士と出会う、どうやら敵のようだな問答無用で襲い

かかってきた、兵は50人位か。

「わたしはエトワール領主のダテ子爵だ、皆はアルベルト陛下の敵か?」

「我々はアルベルトを倒し平和な世界を築く使命がある、死ね」

 刀で斬りつけるが、刃こぼれが凄まじい、ダンジョンで取ったやつで戦う

50人位は何の事はなかった。


 平和な世界ね、そんなのないぞ、女神に会えなくて残念だったな。

「カズマさんご無事でしたか」

「テリーさんじゃないですか、よく無事で?」

「はい、こちらも抵抗を続けています」

「わたしは城へ行って陛下をお救いせねば」

「ダテ子爵はアルベルト様のお味方でよろしいのですね?」

「もちろんです、その気がなければ、この状況では他国に亡命してるでしょう」

「ご覚悟しかと拝見しました、付いてきて下さい」


 情報がないので、テリーさんについていくと、港近くの倉庫へ着いた。

「テリーさん、何故港にアルトハイムさんがいるんですか」

「はい、おります」

「こちらです」

 大店の跡取りが倉庫に隠し部屋ですか、地下通路か。

「こちらです」

「アルトハイムさんじゃないですか、逃げてきたんですか?」

「お久しぶりです、子爵」

「何か大変な事になってますね、、自慢ではありませんが市民がいなければ

1万程度なら突破できますよ」


「それは頼もしい」

 扉が開いて中から人が。

「ご主人さま、ご無事で何よりです」

 サラが俺に抱きついてきた、1ヶ月ぶりか、痩せたな。

「サラ生きていたか」

「ミラも生きてます」

「ヒルダも生きています」

「カズマさん死んだかと思いました」

「良かったよ四人とも生きていてくれたか!」

 俺が守るべき最低限の人は生きていたか、良かった

最悪はエトワールで籠城か。


「国王がかなり衰弱しています」

「ここに、いらっしゃるんですか?」

「奥にいます」

「良ければ、これをお使い下さい、多分効くはずです」

「これは見かけない薬品ですね」

「それ1個しかありませんが、エリクサーの更に上の特別製です」

「……重鎮の裏切りが重なっていますから、使わなくても結構です」

 そこで陛下がベッドで体を起こした、かなり悪いようだな顔色も最悪だ。

 

「ハイムそれを飲ませてくれ、カズマがその気なら予の命を奪うなど

今は容易いだろう」

「はい、かしこまりました」

 アルトハイムさんが俺の作った謎の薬を陛下に飲ませる、鑑定の結果では

完全回復役と出る、もう作れるかわからないな。


 陛下は薬を飲むと、ベッドから起き上がる、ふらついているが顔色が多少

良くなった、効いて良かった。

「カリーナ食事を持ってきてくれ」

「わかりました、陛下」

 カリーナさん超久しぶりだ。

「カズマ良く来てくれたな」

「お前、ビアンカか? まだ王国にいたのか?」

「まったく無礼なやつだ、当たり前だろう」

「そうか、良かったよ、今は陛下の警護はお前だけか?」

「わたしとシャル殿たちだけだな」

 没落貴族並みの警備の薄さだな。


「今、不愉快な事を考えなかったか?」

「気にするな、そうか頑張ったな」

「陛下が良くなったら、逃げる算段はついているのか?」

「カナンに戻れれば再起もあるんだが」

「それは認めん」

「陛下」

「ここで逃げてはもう王の資格はもう無い」

 王も覚悟があるのか、今ひとつ敵がはっきりしないんだよな、今回限りで

多少給金分以上の仕事をするか。



「陛下申し訳難いのですが、臣下としてではなく

今回に限り個人的に力を提供する事が可能です」


「初めて会った時と同じだな、商談と思って良いのだな?」

「この状況で隠し玉があるか、面白いやって見せよ、値段は働きを

見て後日決める」


「では陛下、現在の一番の障害は?」

「ハマーンだな、あやつが王都に反乱軍を呼び込んでいる」

「城にいるなら討伐して参ります」

「ハマーンの周りには近衛兵が3千はいるぞ」

「城の損害を気にしなければすぐ済みますが、どう致しますか?」

「やってもらおう」

「かしこまりました」

 


 王城か奴隷解放以来か久しぶりだ。

「きさま、どこの所属だ」

「エトワールに決まっているだろう」

「ダテ子爵か、ここは通さん」

「残念だよ、王城で血を流すとはな」

 良く斬れるぜ、生きて帰ったら、カリムにも上達してもらわないとな。


「【アクアフラッシュ】12連」

 2千人位は倒したか?

 広間か、人が50人と言った所だな。

「ダテ子爵、久しいな」

「私もですよ、こんな出会い方をするとは思いませんでした」

「陛下の居場所を知っているか?」

「もうどこかへ移動されているかも知れません」

「そうか、我らに味方せんか? ここに居るのは自慢の精鋭部隊だぞ」

「申し訳ないです、わたしは裏切った方とはご縁を持ちたくないので」

「そうか、皆のもの囲んで倒せ」

 頭脳派だと思っていたが頂点間近だと目も曇るか

せめて痛みを感じる暇なく、あの世に送ってやるか。 

「(【加速、30倍、3分】)」


 広間の人間を斬り終わるにに3分は多すぎたな、宰相せめていい夢を。

 それから王城の中の大掃除だ、敵が中心部と王城の右側を占拠して反対側に

国王派が居たので、援護しながら敵を倒す、1時間程度で終えて陛下の元へ戻る。

  


「陛下ご無事でしかた、このダリル王都中を探しておりました」

「ダリルよ、カナンは大丈夫なのか?」

「はい、現在民間よりも兵を募り、カナン防衛に2万

本日王都へ2万が到着いたします」


「では、子爵が城を解放したようなので、みなで城に戻るぞ」

 城に戻るとダリルさんの兵も城に入り、城の修繕と死体の片付けだ、

どうやら負けると考えていなかったのか、国庫は安泰だ。

   

「子爵ご苦労だったな、礼を払わんとな?」

「陛下、王都を目指し、エトワールに迫っている兵を追い払いませんと」

「ダリル将軍の援軍で王都は安定したようなので、敵を蹴散らして参ります」

「そうか、では以前渡した制裁措置を再び有効としよう、存分にやれ」

「かしこまりました」

 

 みんながいる所に来て挨拶をする。

「ご主人さま、一緒に行きます」

「みんなボロボロじゃないか休んでいなさい、陛下を頼むぞ

信用できる人間は僅かだからな」

「「「「はい」」」」



 翌日アオイに探し回るとエトワールの南東に敵ありの報告を受ける。

 俺は北のイリカ村に最近集まった、ダチョウ部隊、みんなはラウス隊と

読んでる部隊と共に敵が来るのを待つ。


 敵はこちらより多い、城壁無しでは損害が出てしまう、折角の防衛戦

有利に事を運ばねばならない。  

 4時間後、エトワールから南東に10キロ程度に数万の軍がいる

装備がばらつきがあるな寄せ集めか、だが数は3万以上いるな。


 見た感じではエトワールの守備軍は城壁を新たに築き2万と言った所か

良く集まったもんだ、エトワールもバカが多いな。


 俺のエトワールに攻め込むやつに手加減無用だ、俺は1人で敵軍に迫る。

 

「皆のものに告げる、軍を引け、ここより先はエトワールだ

わたしはエトワール領主のダテだ、進むならば、殺さなければならない」

 返答も無しか、そのまま進みやがる

何度か呼びかけたが、エトワールしか見えてないか、あの世で反省しろ。


「アオイ斬り込むぞ」

 そこから俺は敵軍に『アクアフラッシュ』を浴びせながら斬り込む、1時間で

乱戦になった所でエトワールの弓兵と魔法師隊が攻撃を開始、俺も後方へ下がり

魔法戦に切り替える。


 うちの部隊はほんとに優秀だ、魔法師の質と数共に候爵領にも引けを取らない

それから2時間程の戦いで敵の先頭部隊が最後の突撃をかけてきたので俺が

中心に近接部隊で迎え撃ち、そこを遠隔部隊が攻撃を加える。


 敵が完全に崩れた所で北のイリカ村から騎兵2千とラウス隊1千が混乱している

敵本隊に横から突撃をかける、敵は組織的な抵抗は出来ず散り散りに逃げ惑う。


 開戦から4時間で勝負は着いた、敵の6割は打ち取り2割が投降

残りは散り散りに逃げた、もう軍を編成はできないだろう。


「みんな勝どきを上げろ!」

「「「エイ、エイ、オー」」」

 凄まじい歓声が兵士から出て、市民にも広がったようで、街からも

歓声が聞こえる。

   、  

 ついでだ、リンたちの援護に行くか。

「コルト、俺はリンの所へ行ってくるぞ、後の処理は任せる」 

 エトワールはコルトの爺さんが何とかするだろう。

 

☆☆


 なんか寒いな季節は冬かだからな、今は何日なんだろうな?

流石にフレイヤには聞けなかったぜ、神殿に担ぎ込まれかねない。


 昨日はエトワールを去って、すぐにアオイが強制休暇タイムに入ったので

翌日の昼過ぎに着いた、よく持っているというのが正直な感想だ

敵が無理に攻めてこないので、なんとか持っている感じだな、攻められて

いる方が持久戦か、変わった戦い方だな?


「リン、久しぶりだな、指揮官に簡単に近づけるとは警備はザルか」

「子爵、行方不明と噂が有りましたが安心しました」

「どうやら敵は攻勢に出てこないが、内部分裂か」

「我らの陣地でお話します」


 移動すると見知った顔が揃っていた。

「子爵ご無事で何よりです」

「リン、戦況を」

「はい、現在討伐軍は6万程度で敵軍はおよそ8万で士気も高く押されています」

「敵はベリアスの補給があり、我が軍はガブリエルの裏切りでほとんど

ありません、士気もかなり低いですね」


「なんで撤退しないんだ」

「後方に大河があり、橋を魔法で壊されており、魔法で土台を築こうと後退

すると敵が攻勢に出てきます」

「……今は自滅か降伏かの二択を迫られている所です」

 俺がリンだったら降伏してるな、助けてくれる心が相手にあればだが

うちの兵はほとんど無事のようだ、敵の心理戦のおかげで助かったな。


 逃げると追ってくるんじゃテテで戦えないしな。

「リン、後方の街まではどの位だ?」

「川を渡れれば、死にものぐるいで行軍すれば2日で逃げ切れます」

「俺がそうだな、3時間程敵軍を止めてやる、その間に逃げろ」

「敵は8万ですよ!」

「止めるだけならなんとかなる」

 信じられないか、俺もリンの立場なら信じられないな。

 

「わかりました、諸侯に話してみます、信じてくれるか判りませんが?」

「国王より制裁措置の許可の書状を預かっている、これを見せてくれ」


 納得するかな、俺より共に戦かった、信用のあるリンの方がいいだろう。


 あの化物を何とか退けたおかげか、『ペコの魔法』のレベルは7だ

レベル4で2万程度抑え込めたから何とかなるだろう。

 

 もう2時間経ったか、これでは日が暮れるぞ、リンたちだけ逃げてもらうか?

「子爵、紛糾しましたが最後に一度だけ逃げてみるという事で合意しました」

「では俺が最前列に出たら逃げてくれ、留まる者は味方として

扱う必要はない、心の折れたやつは置いていけ」


「……かしこまりました」

 さて前に移動するか。

「おい、爆裂の魔道士だぞ」

「本当に凄いのか?」

「噂では1万を相手にできるとか」

「ダメなら全滅か」

「賭けるしかないな」

 期待してくれているのか、嫌われているのかわからんが、リン達を逃さんとな。

 

「聞け諸君、ダテ子爵だ今から敵軍を一時的にここで足止めする、逃げなければ

捕虜か死が待っていると思え、命がけで逃げてみろ」  


「……みんな逃げるぞ」

「おう、逃げるぞ」

「撤退だ」

 凄い逃げっぷりだ、6万いると大河ドラマとは桁が違うな。

 本当に敵が前進してきやがった、兵力温存策か

俺が来る前に終わらせておけよ、折角舞台から降りていたのに。


「よく聞けは反乱軍諸君と他国の軍隊達、ダテ子爵だ、それ以上進めば死ぬぞ」

「進め、今度は殲滅だ」

 俺ってそんなに影が薄いか、アオイお前もあまり目立ってないな、

城と違って相手は固まってる、ペコに貰った新しいのは次でいいな。


「裏切り者とその仲間【アクアフラッシュ】12連」


 味方の姿はもう見えない、1人と1匹で敵と戦闘になってから

2時間でやっと優勢になった、こいつら強いぞ

ペコが頑張れって言ったのには訳が有ったか、これだけの精鋭で攻め込まない

とは余裕かおごりか、末期の信玄みたいな行動だな。


 そこから更に1時間約束の3時間粘った、この剣はカリムに直せるかな?

 やっと敵も攻勢を辞めたか、見事なのか、バカだったのか?

「ダテ子爵か、貴様のおかげで逃げられてしまったわ」

「誰だ、おまえは」

「ガブリエル軍の将軍エルだ」

 将軍様ですか、候爵の臣下が将軍か。

「エル将軍とやら、諦めてくれたようだな」

「今回は仕方ないな、今頃王都は大変だろうよ、今度は貴様達が反乱軍だ

そこらで死ね」

 確定してないし、教えてやる必要はないな。


「では次にあったらエルとやら首は貰うぞ」


 俺はアオイと共に撤退だ、どうせ市民が10万以上いるダーナには俺だけでは

攻め込めない、今回は王国軍の負けだな。


 アオイよここで止まるか3キロしか離れてないぞ、テテを呼び出し

戦場から逃げ去る、アオイが夜は働かないのを忘れてたな。


 女神様、この世界は戦争好きが多すぎるぜ。


残高:66億3千万と金貨55枚


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