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音速異世界爆走記  作者: 風間サトシ
第三章
45/81

第四十三話:エトワール拡張とキリカ集結令


 商売は儲かればいいと言うものではないようです、継続的に

商品が売れないと続かないのです。



 ペコ商会の設立から数日が経ち街も安定している。

 

 ペコ商会は好調な滑り出しで売り上げを伸ばしているし

学校も合計で生徒が千人近いと聞く、一応の妥協点は超えたな。


 領民証の発行も既に30万人を超えた、ミッターマイヤー家が治めていた

頃の都市人口40万人を目指している。


 ミッタマイヤー家は元は伯爵家で王都の南を守っていたらしいが

先々代が侵攻軍に対し住民を守ることを優先して、敵の街への侵攻を許して

しまい王国の直営軍に大きな損害を出した罪で子爵家になった。


 そしてサラの父君の代でガブロンの俗物に嵌めらて、爵位没収の憂き目に

遭うというかなり不運な一族だ。


 豊かな時代なら名君主になっていただろう。

 

 現在は新規建設に制限を加えて都市計画を勧めているが

計画的に建設するには少々手狭になってきた。


「サラ、街の拡張をしたいが、どちらの方向にするべきだと思う」


「そうですね、南は王都同様に農地が広がっているので、

必然的に東か北になります」


「東か王都みたいにはしたくないな」

「そうなると、南は川が流れているので完全に無理ですので北になりますね」


「父が、以前井戸を掘った時は、北側は草が生えている所まではなんとか

地下水が出たようです」

     

 6キロ程度でほとんど水が出なくなるのか、それだと伸ばせるのは

4キロ程度かやはり東しかないか?


「水源の確保を視野に入れ考えると残念だが、やはり東がいいようだな

イリカ村まで伸ばす気はないが、少し拡張しよう」


「東側は神殿も移動するから、大きな建物もないし拡張が楽だろう」


「それに前は東側にもっと拡張してたんだろう、土地もしっかりしてれば

基礎工事はすぐ終わる」


「はい、攻め込まれた際に大きな火災になり、街の東部が消失しました

現在はそこを放棄して城壁を再度立て直したした状態です」


 攻め込まれたとは聞いていたが、火災で消失とはな

 

「街の東5キロに王都への旧街道があるから、4キロ先まで城壁だけ作ろう」


「カズマさん4キロ先と言うと」

「そうだな、シャルがゆっくり歩いて1時間程度の距離だな」


「サラとフレイヤで城壁を建てる魔法師の確保と拡張部分の街の都市計画を

試算してくれ、計画を発表する迄は土地の取得は禁止だな」


 城壁は土魔法の魔法師がいれば、簡単に建設できるお手軽仕様だ。

 

 俺なら1時間で建設が終わるだろうが、仕事を取ってはいけない

戦争では城壁の攻防は魔法師の質と量にかかっているのでプライドを尊重しよう。



「子爵、調査隊より報告の白鴎便が着きました」

 戦況が動いたか、いいほうだといいんだけど。

 

「アレク読み上げてくれ」

「はい、ダーナで戦闘中にベリアス王国軍が現れて、一時撤退中とあります」

 敵の規模は不明か、慌てて逃げたか?

 

「リンが王国軍の作戦参謀ならどう動く」

「そうですね、増援数不明での隣国から援軍が来ての後退なら

そのまま近くの街ま軍を下げるのがいいかと」


「ロキ、王国軍はまともな参謀がいるのか?」

「王国軍は半分は諸侯の集まりですから、意見が割れるかと」


「リン、最悪のパターンを言ってみてくれ」


「最悪は敵の数がわからない状態で攻撃して、反撃に会いそこを別働隊に

攻撃を受けると、最悪全滅もあり得るかと」


「フレイヤ、ベリアス王国は北へどの程度戦力を回せるんだ?」


「敵も我が国同様に東と南に敵を抱えていますので3万程度かと」

「ベリアスの王都とダーナまでのだいたいの距離は?」


「馬車で1ヶ月以上はかかるかと」

 千キロ以上か、うちの方が近いか。

「ダーナに滞在できる期間は?」


「それは私から、農民を使っていると思われるので3ヶ月が限度かと」

「ベリアスは農業国なのか?」

「はい国土は我が国より狭いですが、住民の5割が農民と聞いています」

 だから敵国に補給物資を送れるのか?


「最悪は調査隊も追われている可能性があるし、白鴎を出すか」

「すぐに出します」


「俺は自分のシュトラウスで様子を見てくる、アレクが街の防衛で

敵が来たらリンが兵を率いて攻撃していいぞ」


「子爵が見に行くんですか?」

「俺のは特別製のようでな、特に速いんだ」


☆☆


 さてどうなってるかな、敗走中は困るが。

「カズマさん、お供します」

「シャルか危険だぞ」

「最悪はテテで逃げましょう」

「わかった、そうするか」


 厩舎でアオイとアカネを呼び出して今回は堂々と出発だ。

「アカネ、シャルを乗せてやってくれ」

「ピヨピヨ、ピー」

「大丈夫だろう、テテより遅いがかなり速いからな気をつけろよ」


「武器は預かろう」


 それから南門から出発、1時間どころか3時間走り詰めで休み1回と

いうハイペースで夕方には王国軍が見えてきた。


「追われているようですね?」

「残念だがそのようだ、少し援護してくるから、指揮官に状況を聞いてくれ」

「はい」


 アオイに乗ったまま、追いかけてくる相手に『アクアフラッシュ』を

撃ち込む、アオイは戦闘が好きなのか、いい動きでカバーしてくれる。


「死にたいくないやつは下がれ」

 この大軍じゃ指揮官まで聞こえないか。

 

「下がらないなら【アクアフラッシュ】12連」


 敵に隙ができたのでそこへ突っ込む。

 敵を無差別に斬りつけていく、盾は持っていないようで助かる

アオイもくちばしでトドメを刺していく、レベルがあがるのがわかるのか?


 30分程度で『ペコの魔法』が驚きのレベル4に。


 気分良く、威力の上がった『アクアフラッシュ』をお見舞いする

これってテテが相棒なら俺だけで倒せるんじゃないかと怖いことを考えてると

レベルアップのお知らせの時間だ、これで40か。


 敵の進軍が緩んだので、これ幸いと41を目指して撃ちまくる

固まっているから1撃で15人程度吹き飛ぶ。


 なんか興奮してきたぜ、凄いぞレベル4は。

 そこから30分徹底的に撃ちまくる、ちょっと疲れてきた所でまたまた

ピコーンとレベルアップのお知らせタイム、これで41か

もうダンジョンなんて行ってられないな。


 残念だが敵が撤退を開始するので1人で追うのはちょっと、みんなの視線が

痛いので射程内だけ吹き飛ばす、そして10分で敵は完全に後退。


「カズマさん大丈夫ですか?」

「おお、レベルが2つあがったぞ」

「……それはよかったですね」

 なんかシャルが喜んくれないが、いいだろう。

「シャルはいくつ上がった」

「一応2つです」

 シャルもついに61か、凄いな。

 そのまま味方陣営へ移動だ。

 

「ダテ子爵、援軍かたじけない」

「王国貴族なら当たり前の事です」


「おい爆裂の魔道士だ」

「すげえな、あの大軍を後退させやがった」

「俺はちょっと怖いぜ」

 周りがなんか言ってるが生きているからこそ愚痴が言えるんだ。

 

「状況はどんな感じですか、後退していたようですが」

「残念ながらベリアスの援軍がきたので後退した所を、横から攻撃を受けてな」

 リンの想定通りか。

 

「子爵の援護でなんとか維持できたが、攻勢に移る兵も士気もない」

「それは残念です、敵が追ってくる可能性は?」

「あれだけ被害を受ければ、当分ダーナから進めんだろう」


 そんなに被害あったのか? ちょっと頑張りすぎたか。

 敗残兵と一緒にいても最悪嫌味を言われそうだし戻るか。

「では私どもは戻ります、追手がないなら無事撤退して下さい」

「シャルいくぞ」


 30分程爆走した所でアオイが止まった、夜は走れないのか。

 仕方ない荷箱には入らないし、野営だな。

「シャル十分な距離は稼いだし朝まで休むぞ」

「はい、わかりました」


 テントを張って、寝袋でいいか。

「カズマさん、あまり殺りすぎると味方から不満がでますよ」

「そんなに倒したか」

「1万以上は倒したかと」

「そうだったか、スキルが上がったんで解らなかったな」


 気遣いは嬉しいが、終わったことは仕方ないな。

 朝日が登ると共にアオイが起こしに来たので、11時にはエトワールへ帰還。

白鴎便で王都に連絡して待機だ。



「子爵はどうしました」

「街へ行くといって先程出かけられました」


 俺は今、学校で特別授業に出ている、科目は地理で王国の街を説明中だ。

 学校か10年ぶりか、子供が勉強する姿はいいね。

 午前中に勉強して、午後に必須じゃない特別授業を受けるとは熱心だな

俺もこれくらい頑張っていればな。


「これで本日の講義を終了」

「「「先生、ありがとうございます」」」


 先生もいい生徒だと、教えるのも張り合いありそうだな。

 年齢はだいたい10才以上か。

 

「子爵様、どうだった?」

「みんな熱心に勉強しているから感心したよ」

「これ位普通なの」

「みんながんばってね、お菓子をあげよう」

「「子爵様、ありがとう」」


 癒やされるな、算術レベル3のアニタちゃんでは来ても意味ないか。

 

「おやっさん、繁盛してるか」

「あんちゃん、暇だな、仕事しろよ」

「バカいうな、昨日は働きすぎてレベルが2つも上がっちまったぜ」

「すげえな、ダンジョンでも行ってたのか」

「戦争だよ、南へな、この刀修繕頼むよ」

「相変わらず、酷い使い方だな、手入れしろよ」

「一日でこうなったんだよ」


「何人斬ったらこうなるんだ」

「500人くらいかな」


「そりゃこうなるわな、でどうだった」

「ああ、王国軍が敗走でダーナが占拠されたままだな」

「進軍して来るのか」

「いや、当分無理だと言ってぞ」

「刀の方は頼んだぞ、安心してくれここは安全だ」



「アルマさん泊めて下さい、部屋空いてますか」

「カズマさんどうしたんですか、お城は工事中ですか?」

「今帰ると、会議とかで煩そうなので」

「空いてますよ、最上階の部屋でいいですか?」


「そういう所は取っておいて上げて下さい、普通の部屋でお願いします」

「おいくらですか」

「お金なんていただけないですよ、どうぞ301号室です」

「すいませんね」


 いい感じだな、家具が入ると違うな

これは小金貨1枚と銀貨5枚あたりかな?

 

「アニタちゃん、久しぶりでアニタスペシャルでお願いするよ」

「はい、ほんとにひさしぶりです」

 久しぶりのアニタスペシャルは美味しいな、ダンさん腕を上げたか?

 

「アニタちゃん、忙しそうだね」

「ちょっと、忙しいかも、でも楽しいよ」

「良かったよ、ダンさんがまた宿屋を初めてくれて」

「お父さんとお母さんも楽しいって」

 無理して連れてきた甲斐があったな。

 アオイに乗ってると疲れるな、寝るか。

 


 翌日、遅いアニタスペシャルの後に城に戻ってきてしまった。

 屋敷は別にあったほうがいいか、普通の家でもいいしな 

今度、どこか北エリアで探すか。


「ご主人、なんかみんな昨日から探してましたよ」

「気苦労の耐えないやつらだ、どうせ会議だろう」


 ちょっと広間に向かうと。

「子爵見つけましたよ、どこへ行ってたんですか」

「どうせ、進展はないんだろう」

「とりあえず、情報の共有だけしておくか」


「初めに言うけど、結局リンの言った状況に陥っていて、敗北で敗走中

で現在は敵にも進撃予定なし、以上だ」

「異論がある人は?」


「……異論はありませんが、適切な指示が頂けると」

「リン、完全に敗走して指揮官不在、そして逃げ帰る家がある」

「この状態で進撃に転じる可能性は?」

「……ほぼありません」


「そういう訳だ、王都にも連絡したし、北部方面軍が戻るまで何もできんな」

「でもこのままでいいんですか?」

「ミラ、俺は権力もたいしてない貴族だ、決定権なんてないのさ、みんなが俺に

気を使う以上に俺は陛下に提言もできないのさ」


「そうなんですか」

「そう子爵なんて、下っ端だからな」

「あまリ頑張ると、ダーナが恋しいならダーナへ領地替えとか言われそうだ」

「そんな事言われるんですか」


「ご主人さま、では命令待ちですね」

「そうだね、偉い人がいい案を思いつかないと何もできないな」


「それと、東側の拡張部分は問題が無かったので明日城壁の作成を実行します」

「それは良かった」



 翌日、市民が見守る中、久しぶりの城壁の拡張が行われた。

 

 昔のエトワールを知っている者の中には感傷に浸っている者もいる

ガブロンは広げすぎるとガーンファミリーの目が届かなくなるので

街の拡張はしなかったようだ。

 

 これで都市計画の試算が出れば、建設ラッシュだな、4キロ拡げると

凄く都市らしくなった感じがする。


 さて命令待ちだし、軽めに仕事をするか。

 仕事が終わり、夕食を取っているとフレイヤが来た。

「どうした、慌てて試算は急ぐ必要はないぞ」

「先ほど、ガブリエル候の使者が来て、先日の礼に魔法師とラインの元住民

5万を送ると連絡がありました」


「魔法師は有り難いが、元住民というのは何だ?」

「どうやら、ガブリエル候はクリス教徒らしく、改修しないマルム教徒を

ラインから追い出したようです」


「国王派がクリス教徒でいいのか?」

「事情はわかりませんが、ラインの統治の邪魔者を寄越すようです」

「ほんとにそれが、ユミルの礼になるのか?」


「それはわかりませんが、宰相には連絡済みとの事です」

「なんだ決定事項か、5万か? 悪いが街の北側の拡張も検討してくれ」

「はい、わかりました」


 魔法師がお礼で、おまけで邪魔な住民とセットか、魔法師もきっとマルム

教徒だろう、これは付き合い方を考えないといけないな。



 連日で城壁の拡張という無能ぶりを市民に見せてしまったが

北側も4キロ拡張して、住民を集めて厩舎の住民用の草や食べ物を集めながら

魔法師が土地の整備中だ。


 外から来た5万人を同じ地区に住まわせるわけにはいかない。

 

 追い出された者の集まりだ、最悪暴動になったら困るからな、そうなると

一部の住民にも移り住んでもらって治安の確保をしないといけなくなる。


 そんな事を悩んでいると、ついに陛下より諸侯に通達が来た

内容はルーカン候を討伐した部隊が3日後にカナンに戻るとあり。


 北部と東部の一部を除き、諸侯は兵の6割をダーナ手前のキリカの街へ

1ヶ月後に集結させろと書いてある。

 総力戦か、4万の敗走で陛下も怒り心頭のようだな。

 

 俺の所で6割だと4千くらいか、キリカの街がどこかわからんが

集まれるのは北はカナン周辺の兵士までか、後は船を使うしかないな。


 わからない事は素直に聞くか、城で会議を開く。

「リン、キリカってどこだ?」

「ダーナの手前にある街でミーナと同程度の街です、王都から馬車で

2週間程でしょうか?」


「集結可能戦力はどの程度だ?」

「北部が安定したのなら、9万程かと」

「アレク、船だとどの程度かかる?」


「王都とカナンの部隊の3割は船で輸送になるので、海の部隊は10日程かと」

 北部からが6万としてその7割で4万以上がここで補給か、俺も食料を

多めに出すか、でも王国軍の食料が問題だな。

 

「アルト商会やペコ商会のような物流が得意な商会に食料を中心に北部から

エトワールで食料不足にならないように、補給物資を集めるよう要請してくれ」

「了解です」


「兵はいつだしますか?」

「陸の部隊はリンに指揮を任せる、海上部隊はアレクに任せよう」

「時期はそれぞれの連隊長が判断してくれ

総兵力は陸が3千5百、海上が5百だな」


「エトワールの総指揮は誰にするか……」

「ご主人さま、コルトさんでいいのでは?」

「あの爺さんは病気は治ったのか?」

「村で静養していましたが、完治したと報告がありました」

「そうですね、コルトさんなら内政、軍事両立可能かと」

「仕方ない、任せるか」


 コルトはユミルで救出した人間のリーダーだ、ガブリエル候に敵対して

村で隠居生活していたが、そこもウードに退去させられた運のない男だ。


 エトワールに来ても隣のイリカ村で自主的に静養している。

 俺のメンバーは出来れば直接連れていきたいし、いい案かもしれないな。

 

「これ以降、王から命令に変更が無ければ独自の判断で兵士を動かしてくれ」


「政務も同様だ、ハイム、ロキ、フレイヤを中心に俺なしでやってみろ」


「「「はい」」」


 これで戦争までは、自由に動ける口実ができた

ベリアス王国へ偵察へ行くか。


残高:67億4千万と金貨60枚



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