第四十二話:暗殺者とペコ商会始動
ペットというのは見ていると和みますが、責任も伴います
人が行きていく上で初めて自分以外の命を預かる瞬間かも知れません。
☆
アオイとアカネの高速ダチョウコンビと白鴎を手に入れた。
問題はやって来た二人の傭兵の方だ、アルト商会の人間がどうして
ベリアス王国の人間を雇うのか?
所属がベリアス王国になっているのを確認した俺は思案中だ。
「フレイヤ、俺を殺すとベリアス王国は得をするのか?」
「子爵を殺して得をするかと言われると微妙ですが、爆裂の魔道士として
名前が知れ渡っている子爵を葬るという意味では大きいですね」
「つまり、そろそろエルミールを攻める予定だから、世間知らずの俺を抹殺して
その勢いで攻め込む算段か?」
「王国南部はライン等の街もありますが、王都防衛の要はここになります」
「シャル、サラより強い傭兵と戦ったことはあるか?」
「レベル50台ですか、人間ではないと思います」
これでは兵士以外には会いに行けないな、人質に取られたら大変だ。
「フレイヤ、俺が北地区の工房で1人で極秘に魔道具の作成をしてると上手く
噂を流してくれ」
「1人で撃退できますか?」
「問題ない、寝ている所を襲われるより遥かにマシだ」
☆
それから俺は小屋で1人で回復薬の作成に勤しむ、魔道具なんて専門家に
任せるべきである、どうせだから、興味のある錬金術を試す。
有り余るスキルポイント8108を振り神殿で得たレベル1をレベル9にする。
錬金術がレベル9になり、スキルポイントは7940だ、成功だな
サラの言っていた通り生産スキルも魔術スキルに分別されるようだ。
図書館で撮影したスマホの画像を読み、錬金術の作成方法を探る。
聖なる水をに魔力を込めるとポーションが生成されるとあるが、これは嘘だな
従軍した錬金術士は鞄しか持っていなかった。
鍛冶師に注文が多い錬成版と職人に注文がよく来るガラス瓶を使い
これにギルドで人気のマハト草かゲントニス草をすり潰して加える。
錬成版の上に水の入ったガラス瓶を起き、マハト草を加え、魔力を流す
瓶が少し光ったが、鑑定してみたがポーション(失敗)と表示される
何回かケントニス草でも試したが失敗だ、何かが足りないのだろう。
ポーションと表示されるという事はここまでは合っているという事だろう
後は従軍中でも手に入る物か、だんだろうな?
「これは子爵、こんな所で魔道具の作成ですか?」
「ああ、みんな忙しそうでな、俺の趣味のうような物だ」
錬金術を工夫しようとしたら、もう来たか内通者でもいるのか?
やつらは周りを確認しているようだ、俺とアオイとアカネしかいないはずだが。
「子爵、これをお受け取り下さい」
殺気くらい抑えろよ、本を俺に渡そうと二人が近寄る
そして、2メートル程度でいきなり剣を抜いて、襲いかかってくる。
「死んで頂く、恨んでいいぞ」
「【減速、3倍、1分】」
俺がささやくと相手の剣がゆっくり向かってくる、それを余裕でかわして
小太刀を抜き利き腕を斬り取る。
3倍になったやつの剣など幾らレベルが高くても、問題はない。
俺のこのスキルを正確に知っているのはペコしかいない
あの4人も時魔法の一部と思い込んでいるようだ。
「二人ともどうした、俺に仕えるんじゃなかったのか?」
「キサマ、何をした」
「気にするな、そろそろ治るだおう」
1分経ったな、どうやら分単位は問題ないようだ。
「質問の時間だ、俺を殺したいやつがいるのか?」
「キサマに知る権利はない」
「そうか、では追加だ」
もう片腕も切り落とす、暗器でも持ってる可能性があるからな
折角の女神様の忠告付き案件だ。
「どうだ、お前達に俺の情報を渡したのは誰だ? 簡単な質問だろう」
答えないか、特殊部隊という訳でもあるまいし。
「答えやすい質問に変えてやろう、俺とアルト商会の事は誰に聞いた」
「答えたらポーションをくれてやろう」
「……ガレドンの部下に聞いた」
南で反乱やってる元候爵か、反乱するだけあって情報は集めているようだな。
「B級ポーションだ、掛けてやろう」
少々落ち着いたようだな。
「質問だ、誰の指図だ?」
「……オノ伯爵の部下だ」
それから30分ほど尋問したがそれ以上は喋らなかった。
「アオイ、アカネ、1人ずつだ殺れ」
2匹ののくちばしが二人の胸を貫き、即死だな。
悪いな、俺のこの技を知られては生かしておけないんだ。
2匹のレベルは上がったようだな
オノ伯かどうも響きが日本人に似てるな、とりかく戻るか。
☆☆
久しく仕事をしていなかったので、溢れる仕事を片付けていたら新年も
10日になっていた。
「キム、この前渡した液体の中身はわかったか?」
「家族全員で検査したが、エリクサーではないかと言ってます」
「前にエリクサーは伝承にしかないとサラに言われたが、違ったのか」
「わたしも見たことないですけど、爺ちゃんが昔に見たことがあるって」
「それを4本か、贅沢な暗殺者だな、ベリアスでは安く売ってるのか」
「それはないと思いますよ、あったらみんな買いに行きますよ」
「わかった、みんなに礼を言っといてくれ、2本は研究用に差し上げるとな」
「おお、爺ちゃんが喜ぶぜ」
今日はダンさんの宿屋の新規開店日だ、何か持って行かないとな。
☆
南地区の一等地に潮風の満福亭は再び看板を掲げた
この辺りはガーンファミリーが居なくなり現在急速に店舗の建設ラッシュが
続いている、俺も無難に大きな花束とみんなに配るお菓子のセットを持参して
満福亭を訪ねた。
「アルマさん新規開店おめでとうございます、こちらの花と菓子のセットを
お受け取り下さい」
「ありがとうカズマさん」
ダンさんの挨拶の後にカリムたちもお祝いを渡して、店の開店だ。
この街は、とにかく通行量が多いので経営もすぐに軌道にのるだろう。
食堂で食事と酒が振る舞われたので俺たちも参加して
みんなでダンさんの料理に舌鼓をうつ、俺たちはここでお開きだ
満福亭のみんなは宿泊客を捌かないといけない。
「おやっさん、いい感じで仕上がっていたな」
「納得できる包丁とかも納品できたしな、ダンたちも何とかなるだろう」
「じゃあな、カリムも本業に力を入れろよ」
「おう、もう設備も完璧だ、なんでも作れるぜ」
みんなと別れて西地区のペコ商会の建設現場に来た、すでに王都本店
カナン支店の2店舗は営業中でここで3店舗目だ。
「バルバラ、どんな感じだ?」
「そうですね、5日後に完成、10日後に開店と言った所でしょうか」
「王都の本店も問題ないか?」
「はい、商品も売れ始めています、一月もすれば人気店になるでしょう」
「では長居すると面倒だから行くが、明日は頑張ってくれ」
「かしこまりました」
バルバラは俺がエトワール本店に抜擢した女性だ、名目上は王都が本店だが
ペコ商会の幹部はみんな知っている事だ。
さて明日はペコ商会の商品発表会か、どうなるかな?
☆☆
翌日、エトワールの商品取引所の一角を貸し切り、バルバラと幹部が商品を
広げて招待客の対応をする。
俺も一応招待客だ、エマさんにバレると不味いしな。
俺の部下を含め、有力者や富裕層はかなり集まっている。
「カリーナ王国より来ましたペコ商会のエトワール支店長のバルバラと
申します、本日は王都でも売り出している数々の新商品がありますので
ごゆっくり見物していって下さい」
「凄いな、見たこともない商品が並んでいるな」
俺が40億円分の商品を既に王都とカナンに運んで販売中だ。
エトワールはまだ店舗が開店してないので5億円分だ、それでも大手商会に
引けを取らないラインナップだ。
商品は瞬く間に売れていく、特に時計の販売は凄まじく構造を理解できた人は
すぐに買っていく、アルト商会に卸していなかった商品を選び、時計は6千円
の商品を主力に高級品も入れておいた。
カリーナ王国というのはかなりの技術国として知られているので
王都でも特に問題なく受け入れられたらしい。
時計は金貨8枚からだが一瞬で低価格帯の商品は売り切れた。
初期不良はペコ商会でのみ受け付け、交換するという安心感が
未知の商品に対する購買欲に火をつけたようだ。
俺の直臣は持っているが、他のみんなはまだ持っていないので
散財してもらおう。
「カリム、時計買ったのか? 金持ちだな」
「あんちゃんか、ミーナでもつけているヤツは居たが高かったからな」
「4つということは家族の分か、やるじゃねえか」
「おう、来週から学校だからな、お祝いだな」
「そういえば、ちびっ子は二人とも行くのか?」
「ああ、行かせるぞ、店は俺たちだけで回るからな」
これはペコ商会の開店記念セールの時はかなり売れるな、用意しておこう。
☆
数日後、俺たちは王国の南で対陣したまま大きな動きがない、南部討伐軍の
戦況分析の為に軍議を開いていた。
「それでは現在判明している南のガレドン反乱軍との戦況を説明します」
リンの合図で会議室の中の面々に緊張するのが解る。
「現在、白鴎でエトワールより南、馬車で20日の所にあるダーナに向かった
調査隊の連絡では王国軍はダーナに入れず、その手前で陣を張りって、ダーナを
包囲してガレドンを追い詰めようとしたようですが」
「それもベリアス王国の部隊が補給に来て、包囲は意味が無くなり何度が戦闘
になるもダーナには入れず、現在部隊の士気が低下しているとの事です」
「王国軍が諸侯の兵力を合わせて4万、敵が2万程度との推定です」
「長期戦になりそうだな、アレクはどう見る?」
「そうですね、ダーナは王国の南を守る城塞都市で陸からだけでは最低3倍の
兵力がないときついでしょう」
「王国はどの程度兵を出せそうだ」
「北の制圧がそろそろおわりそうなので、その部隊が戻ってくれば東部に兵を
残しても、5万の増援は可能かと」
「単純に考えれば9万になるが、相手も援軍が来るかも知れないからな」
「そうですね、ベリアスがどこまで本気か不明ですね」
「俺たちも2ヶ月以上留守に出来ないし、出せても4千がいい所だな」
「そうですね、北部軍が戻るか、東部が安定しないときついですね」
「とにかく情報が来るのが遅いな白鴎を増やさないとな」
「はい、今回は子爵の所持している白鴎で偵察に出ましたが、街で保有
しないとイザという時に出遅れますね」
「でも友達価格で一羽星金貨20枚だからな」
「それなら白鴎を捕まえに行きませんか?」
「星金貨20枚がその辺を飛んでいるのか」
「白鴎はこの時期に王都の東に集まるようです、個人では難しいですが」
「魔法師を多数揃えている、我々なら捕獲できるかと」
「では行ってきてくれるか?」
「了解しました、子爵はシュトラウスの増産にも予算を振ったとか?」
「そうだな、速さは時に戦局を左右するからな」
「各地に買い付けに行った部隊がそろそろ戻ってくるので、それから出発します」
「どれくらい買い付けできそうだ?」
「そうですね、公国にも行っているので全部揃えば500程度になるかと」
「厩舎を増設しないといけないな」
「飼育できる人間も募集しているので場所だけですね」
「前に使っていた屋敷の周辺がかなり広いからあそこに増設するか?」
「いいんですか、子爵の屋敷じゃないんですか?」
「俺は城で寝泊まりしてるし、屋敷が無くても問題ないだろう」
「わかりました、準備しておきます」
「では解散だな、最悪南部方面軍が敗走する羽目になったら改めて考えよう」
☆
「ご主人さま、屋敷と言えば王都の屋敷はどうするんですか」
王都か、もらうと貴族の付き合いに巻き込まれるし、どうするかな、小さい
屋敷でも、貰っておくか。
「とりあえず戦争が一旦落ち着いてからだな」
明日はペコ商会の開店セールか、200人くらいは来るかな。
野営を一月とか大変だな、諸侯は爵位がかかっているからな。
☆
翌日、港に向かうとかなりの人の列が出来ている船が来たか。
何も事も慎重にやる事が一番で大陸から今日積荷が来るという設定だ
船は王都の開店日も使った方法だ、今回は王都開店時の積荷の10倍という
設定の為、噂がかなり流れたらしい。
船が3隻やって来た、ロキはどこで用意したのか? かなりの商会の人員と
船や馬車を揃えている、星金貨3500枚は大きいらしい。
船を安く買えるなら軍船も増やしたいが、海戦を想定してないんだよな
この国の船は、現在俺の案を入れた船のミニチュア版の図面起こしは終了して
試作に入っている段階だ。
船が港のC埠頭に接岸、ダミーの荷物が運ばれてくる、ペコ商会は西地区の
一等地はキリシア商会とだぶるので少し南側に店舗と倉庫4つを構える。
規模はアルト商会を上回る大きさだが、キシリア商会ほどはでかくない。
キシリア商会はこの街から強制退場願ったが、まだ上位商会として残っている。
俺たちは離れた場所から見物だ。
「ご主人さま、凄い人ですね、王都やかなり多くの街から来ているようです。
「ご主人、わたしも何か欲しいです」
「欲しければ、買いに行ってくればいいじゃないか?」
「原価で買いたいです」
「そういうのは買うとは言わないぞ、給金があるだろう」
「給金は使い込むと、大変だってお姉ちゃんが言ってました」
「普通は計画的に使うぞ」
「お前たちの給金は月に幾らだ」
「なぜかお姉ちゃんより低くて、月に金貨7枚です」
「俺からの小遣いが金貨10枚だから、合わせて17枚か、贅沢だな」
「でも足りないです」
「サラ、父君が居た時は幾らもらってたんだ」
「……年に金貨10枚です」
「ミラ、なんか言ってみろ」
「だって、いろいろあるんです……」
やはりどこかで教育しないと、15才でこの感覚は不味いな
貴族だと考えればマシだが、今は爵位もないしな。
「みなさん、これよりペコ商会のエトワール店の開店記念セールを開始します」
「全商品3割引、本日限定商品は1人2個まで5割引です、事前にお伝えした
通り、こちらは領民証か国民証を提示したお客様だけの商品になります」
大きな歓声が上がり、それと共に販売開始、今回は人員を臨時で雇い
兵士の護衛付きだ。
時計の金貨4枚は当分やるつもりはない、次は戦争が終わって一時的に安定
してからだな。
「兄様、凄い人ですね、みんな買えるんですか?」
「どうだろうな」
正規の身分証を持っている者しか限定品は買えない、加えて身分証のチェックに
大金の受け渡しで大混乱だな。
ミラはみてるだけじゃつまらないと言って早速金貨を握りしめてセールの波に
突撃した。
「あちらこちらでお金のやり取りしている人がいますね」
「1人2個だからな、国民やうちの領民以外は買ってもらうしかないからな」
「ヒルダも行ったら買えるんですよね?」
「もちろん買えるよ」
「お姉ちゃん、買って転売しようよ」
「ヒルダが行くなら、ついて行くけど転売か……」
連隊長が転売は不味いだろう、ヒルダが売ればいいんだが。
「カズマここに居たか?」
「キムか、おまえも買い物か」
「もちろんだ、限定品は全部2個ずつ買ったんだが、研究用で消える
カズマとサラちゃんも買いにいこうぜ」
「転売目的か」
「研究用と自分用だ」
「仕方ない、付き合ってやるか」
「悪いな、サラちゃんも」
卸主が買いに行かせれるとはな。
「これ2個とあっちのを2個くれ、これとその大きいやつも2個だ」」
「はい、金貨22枚です、子爵様すいませんが領民証を提示願います」
「堅いな、これでいいか」
「はい確かに、しつこいお客がいるので公平に扱いませんと」
☆
「おいキム、金貨44枚だ寄越せ」
「子爵、お久しぶりです、弟は領民証を持っていそうな人を探しに行ってます」
「これはクララさんですか、久しぶりですね」
「はい、エリクサーのような研究素材ならいつでも歓迎なのでお持ち下さい」
そんなもん早々ないぞ。
「ありましたら、ご連絡しますよ、それより船のほうが進んでいますか」
「はい父が中心になって、模型はできたので後は実際に海で検証ですね」
それから4時間程でセール品の全商品完売、他の街のようにスラムがあったら
大騒動だな、ガブロンの一番の功績はスラムに落ちたものを強制的に
奴隷にしたのでスラム街がない事だ。
ペコ商会のセールは大盛況で終わり、酒場や宿屋は大入り満員状態のようだ
アニタちゃんが心配だ。
ペコ商会の売上は当分は別にしておくか、すでに俺の個人資産から55億程度
流れているが、回収できる時に回収するか。
このまま商売に専念したいが、ヴォルホルは戦争多発のお墨付きだからな
女神の期待に答えるには南部侵攻か。
ちょっと遠いな、運の上昇に期待するか。
残高:67億4千万と金貨60枚




