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音速異世界爆走記  作者: 風間サトシ
第二章
36/81

第三十四話:エトワール奪還(1)


 人は大きすぎる力を手にすると身を滅ぼすと聞きます。

 

 地位、権力、金銭などは、その代表ではないでしょうか?

 

 やはり何よりも得難い財産は信頼のおける友だと思う今日この頃です。

 


 ミーナに心の中で決別を告げ相棒と共に音速に挑戦しましたが

途中で怖気づいてしまいました。


 エトワールは見つかったんですが、イリカ村ってどこでしょう?

 

 困った時の人頼み、『時間操作』の加速で強引に街へ侵入しましたよ

自ら領主を務める街に不法侵入とは、間違ってる気がします。


「すいません、旅の商人ですが、途中で魔物に襲われ先程この街へ着いた

ばかりなのですが部屋は空いているでしょうか?」


「おお、空いてるぜ、大部屋で銀貨2枚、個室で銀貨6枚で食事は別料金だ」


「では2泊お願いできますか?」


「じゃあ小金貨1枚と銀貨2枚だな」


 なんか高いな、人当たりが売りの宿と露店の人に聞いてきたのだが外れか?

 

 王都のお手頃の宿より高い額を支払い、食事を希望と伝える。

 

「美味しそうですね、魔物に追われて食事を取る機会が無かったんですよ」


「そうか災難だったな、街の兵士は前の戦争で減ってしまってな、魔物討伐に

兵を割けないそうだぞ」


「ご主人詳しいですね、この街の領主はどなたなんですか?」


「前の領主のガブロンはろくでもないやつでな、今も側近だったやつが権力を

握って、あらゆる物に税を掛けやがる」


「最近は他の街へ逃げだすか、迷っている連中もだいぶいるな」


「私は王都から来たのですが、噂では若い子爵様がこの街の領主に

任命されたと聞きましたが」


「そうなのか知らなかったぜ、しかし若い奴じゃギレとキシリア商会に

かかれば、すぐに何もできなくなるだろう」


 またキシリア商会か、あちちこで何やってんだか。

 

「ギレという代官とキシリア商会は、そんなに人心掌握が上手いんですか」


「そんな上等なもんじゃねえな、バックにガーンファミリーがついてるんだ」


「ガーンファミリー変わった名前ですね、何かの団体ですか?」


「クリス教に資金援助を受けている傭兵集団だよ」


 クリス教か宗教団体と戦うのは時間と労力の無駄なんだが

この街が信者が多かったら、暗殺も視野に入れないといけないな。


「この街の方はクリス教の信者の方が多いのですか?」


「そうだな2割くらいか、しかし狂信者みたいのはいないぞ」

「王都ではマルム教が勢力を伸ばしているようですが改宗するでしょうか?」


「そうだなマルム教の方がメリットがあればするんじゃないか?」

「俺も一応クリス教でスキル授与受けたが、お布施が高くてな」


「お仕事中でしたね、お話にお付き合い頂き有難うございます」

「気にすんな、最近客も減ってるからな」


 そうして店主は厨房に戻った、敵対勢力はギレ、キシリア商会

ガーンファミリー、クリス教の狂信者の4つか、ギレはすぐ排除可能だが

キシリア商会もクリス教の支援受けていそうだな。


 良く喋ってくれる親父だったが情報源は多い方がいい、あそこの酒場が

いいか、客層が庶民が圧倒的に多い。


 良さそうな客を見つけた、少しずつ近づき、3度目でコップを技と落とす。

 

「すいません、私の不注意です、良ければお詫びにおごらせて頂けませんか?」


「金はあるのか?」

「はい、商人ですが、商隊を襲ってきた盗賊が高額の賞金首だったので」


「そうか悪いな、兄ちゃん」

「すいません、このテーブルに強いお酒を3本、ボトルでお願いします」


 5人組で職業とスキルから想像するに、2人が兵士で、一人が神官

残り2人が商会の人間だな。


「おつぎします、その服装は兵士の方とお見受けしました、どうぞ」


「悪いな、おおこいつはいけるな」


「みなさもどうぞ、どんどんお注ぎしますよ!」

    

 酔いも回ってきたかな。

「そういえば、新領主を名乗るバカが数日後に王都を立つという噂を聞きました」

「新しい領主か、どうせ何も出来ないさ、持って3ヶ月だろうな」


「大きな声じゃ言えないがガーンファミリーが脅しを掛けて追い出すのさ」


「それは大変ですね、そうなるとまた別の領主が来るのでは?」

「クリス教が王都で上手くやるはずだ、次にくるのは1年後か2年後か」


「所で前にミッターマイヤー子爵家というのが領主だった時は上手く言っていた

と聞きましたが、やはり王都での噂止まりですか?」


「シン様はよくやって下さったよ、あんな不祥事さえ無ければな」


「そうだな姫は奴隷に落ちて死んだらしいが生きていたら坊主と同じ位か」


「お姉さんボトル1本追加でお願いします」

「みなさん領主想いなんですね、やはりクリス教の信者様なのですか?」


「一応マルム教がこの街に今はないからな、スキル授与や回復で世話になる

やつがいるが、信者様っていう大層なヤツはまず見かけんな」


「そうだな、クリス教が祈りを捧げてる所なんて見たこと無いぞ」


「実際、この街を牛耳っているのはクリス教だからな、なあ神官殿」

「俺は上位の神官じゃないから、給料も月に金貨1枚だし、祈らないしな」


「上位の神官は凄い生活してるんですか?」

「おう酒に女に博打と月に星金貨1枚は使ってるだろうな、羨ましいぜ」


 年収1億2千万以上か、許せんな、特に女の所だな。

 

「その星金貨をよく使われる方は何人程いらっしゃるんですか?」

「珍しいことを聞くな」


「はい、商人ですが、星金貨は一度も手にいれた事がないもので、興味ですね」


「そうだな、上位神官って呼ばれるのが40人程いるが、贅沢

してるのは15人程度だな」


「神官さまの間でも貧富の差があるんですか?」


「これは内緒だぞ、半分以上はマルム教徒なんだ、月に金貨5枚ほどだな」


「カップの酒が無くなってますよ、お注ぎします、お姉さんこっちにボトル

2本追加お願いします」


「新米商人気に言ったぞ、いろいろこの街の作法を教えてやる」


 疲れたぜ、あれから3時間、みんな酔いつぶれるのが遅いぞ、アル中かな

しかし聞かない事まで喋ってくれたな、金貨10枚かちょっと散財だな。


 俺の勢力は合わせて10人程度で、敵対勢力は総勢1万以上

その中でも本当の敵は3000ってとこか、そんなに殺したら

もはや爆裂の悪魔じゃなくて、魔王の下僕とか言われそうだな。


 その後に市場の相場を見てみたが、物価がミーナの2倍だし、税金が

行商人にも掛かり、街に入る時に小金貨1枚と銀貨6枚、出る時に小金貨2枚

とべらぼうな額だ。


 露店を開くだけでも1日小金貨2枚、店は毎月金貨3枚の支払い

さらに取れる所からはキシリア商会が上納金を要求するらしい。 

 

 これだけやっても商人が逃げ出さないのは王都で聞いた交通の要の要素が

でかい、街へ入る場合、金銭以外の審査は無く、毎日5千人以上の人が通過する

らしい、ここから王都まで水源が無いので魔法師以外は寄らないと命に

かかわるらしい。


 入市税だけで毎日、星金貨8枚か俺の稼ぎでも追いつかないな。

 

 適当に買い物したがどこも2割負けてくれれば良い方で、定価自体が

王都を超えている、ちょっと小物を揃えただけで金貨2枚飛んだぞ。

  

 その日も客の少ない宿で主人と話しながら食事を摂った。

 

☆☆


 昨日聞いた話はかなりやばかった、敵戦力が5万とかなら尻尾巻いて

逃げる所だ、金の出処はわかったから、今日は支出部門だな。


 クリス教の神殿は城のような大きな場所だった、星金貨は偉大だぜ。

 

 中に入り、スキル授与をお願いする、得られるスキルによりお布施の金額に

変化があるらしく、算術とかで金貨3枚、攻撃魔法等が金貨30枚、水魔法全般

となると金貨90枚、ミーナのマルム教の3倍から90倍だ。

      

 牛丼を1500円、開店寿司で9万、寿司屋で200万という所か

お腹減っていれば牛丼はあり得るが、他はないな、みんな洗脳されてないか?

 、    

 来訪した手前、帰れないので、算術のスキル授与をお願いした。

 

 見事に失敗、連続でできるらしいので合計5回挑戦したが失敗だと

 許せん斬り捨てるか。

 

 加えてお帰りの際には金貨15枚の強制寄付ときましたよ。

 

 なんか精神的に疲れた、領主が王都に引きこもりになる理由が既に理解できた。

 

 まだ早いが、癒やしが必要だイリカ村とやらに行こう、場所は聞いてある。

 

 もはや見つかっても問題ない、教会の広い敷地の裏の林から出発、久しぶりの

1速での急加速でギアを2速にチェンジした時はエトワールから離れイリカ村が

見える、慌てて降下して徒歩に切り替える。


 街から10キロと行った所か、村の中に入ると人が走っていく、何かあったの

だろうか?


「おい、貴様商人か?」

「いえ、冒険者でございます、仲間とはぐれまして」


「それなら村への立ち入りは銀貨8枚だが、貴様は詰め所に先に行かなかった

ので金貨8枚だ、払えなければ奴隷落ちだぞ」


「そんな、商人ならもっと安かったんですか、商人は小金貨1枚だ」


 悔しいが金貨8枚払ったぜ、丁寧に冒険者カードのチェックもされた

出るときは詰め所で小金貨1枚らしい。


 宿を取ろう、宿に向かうと1泊大部屋のみで銀貨2枚

エトワールの宿と同じなないか、許せん値下げ交渉したが無理と断られた。


 夜寝ようとするが、あまりの怒りで眠れん、金をむしり取られるのが

30年以上生きてきて、こんなにも屈辱だとは知らなかった。


 翌朝なんかだるい、これは体調が悪いんじゃない、バイクでスリップした時と

同じだ、近い未来の経済損失による精神的疲労だ。


 朝5時、1人なのに用もないのによく起きた物だ、ブラブラと村の北に来てみた

詰め所は南側なので人はいないが、監視されているような気がする。


 密告村民か、中国か北朝鮮だなどうするか、エトワールで暴れる前にここで

暴れて緊急時の特別マニュアルのお手並み拝見するか?


 そうすると後ろから声を掛けられた、また衛兵か?

 

「カズマさん、お久しぶりです」


「ハイムさん随分早い到着ですね」


「私達は昨日の深夜に着き、念の為にカズマさんとの接触は朝まで避けました」


「何か訳でも」

「サラお嬢様からカズマさんは不当にお金を払うことに怒りを覚えると

伺っていたので。


 それは正解ですよ、もう少しで村を攻撃しようとしてました。

 

「嫌だな、精々魔物を誘導する程度で、いきなり市民を殺そうとかしませんよ。


 疲れてるのかなハイムさんは何か顔色が悪いぞ、寝てないのか?

 

「徹夜の強行軍だったんですか?」

「いえ、昨日の夜に睡眠は摂っております」


「みんな待っておりますので、こちらへ」


 みんな着てたのか10人程度いれば、見つけてもいいもんだけど

ハイムさん以外はほとんど初対面だな、男だけ5人とかやだな。


 ついていくと小さな家に入って行く、まるで納屋だな、10人として金貨1枚

だからな、苦労人としては倹約するか。


 中に入るとハイムさんがいない。

 

「ハイムさんどこですか?」


「下です、カーペットの下から地下へ入れます」


 めくってみると本当に階段がありますよ、地下室か懐かしい。

 

「ご主人さま、よくおいでくださいました」


「もしかしてサラか」


「はい、そうです」


 なぜスカーフで顔を隠すんだ、死んだことになっているのに

知らないんだろうか、とにかく顔をかくしてるのは女性だけのようだ。


「みんな久しぶりだね」

「ご主人さまはもうエトワールへ入られたんですか?」


「もちろんだよ、レベル9の『ウインドストーム』を100発位市内に

撃ち込みたかったけど諦めたよ、王都にいる時は穏便に事を運ぼうと思ったけど

無理です、これは決定事項であります」


「兄様、サラお姉ちゃんの行った通りになってます」

「カズマさんお耐え下さい」

「ご主人、ミラも耐えますから」


「みんなの気持ちは嬉しいが、エトワールにはもう未練も見所もないな」


「ハイム様、どうしますか、お嬢様の仰っていたより悪化されてますが?」


「とりあえずカズマさん、家の者に会ってやって下さいませんか?」


「こちらへどうぞ」

 まだ奥があるのか、地下通路か技術レベルが高いな、広間があるよ。

 

「こちらにいる者がミッターマイヤー家、ゆかりの者たちです」


 多くても10人程度かと思っていたけど大まかに数えて500人位いるのか?

 

「ハイムさんたち王都で店を経営していた以外はエトワールに潜伏して

いたんですか、かなりの人数ですね」 


「いえ、エトワールに居たのは4名で他は王国の商会と行商人として姫様を

探していた者たちです」


「内訳は戦闘職480人で魔法師が220名含まれています」


「私を含め45人は戦争は無理で御座います、男が320名、女か205名です」

  

 合計525名、俺たち入れて530名、魔法師220名か侯爵並だな

これだけいれば、俺とシャルで先陣を勤めれば3000名位余裕だな。


「集まったみなさには失礼だがまず私の意見を言わせて頂く」


「7日で港は抑える、ギレじゃないギレンか奴とガーンファミリーは皆殺しだ」


「マルム教を復活させる、キシリア商会は追い出す、汚職に手を染めている者

も追放、税制改革を占領後すぐに実施、またクリス教徒の狂信者も排除」


「こんな所かな、みなさんの意見も聞きたい」


「ご主人さま、いきなり全部は無理かと思われます」


「俺が調べた範囲では高驚異な敵はガーンファミリー2000人とキシリア商会の

用心棒200と狂信者500に正規兵300と言った所だが、訂正点ありますか」 

      

「正規兵はだいぶおりますぞ、300という見積もりは」

「100人程度殺しても敵対する兵という意味です、他は降伏か逃亡でしょう」


「ダテ子爵発言をお許し下さい、ガーンファミリーには無理やり裏稼業に手を

染めている者もいますし、クリス教も同様です」


「あなたの意見は貴重だが、貴方の恋人が無理やりその手下とやらに殺されたと

しましょう、貴方はファミリーの本部だけ襲って満足ですか?」


 特に突っかかってくる連中じゃないか、よく訓練されている。

 

「と言っても私は神では無いが、魔王でもない、こちらに被害が無ければ降伏

を呼びかけましょう、後は相手次第ですね、これが譲歩の限界です」


「カズマさん、領主さまの案は理解しました、私どもは従います」


「納得頂けて幸いですが、みなさんを死地へ追い込むつもりはありません」


「まずはギレンの殺害、直営部隊の殲滅、応援に来るであろうファミリーの

掃討作戦、ここまでやってからエトワール全域に降伏勧告をします」


「後は市民次第ですね、そこで市民が我々に対して大規模な暴動を起こすなら

エトワールを解放する大義名分が無くなりますので引き上げます」


「作戦決行はみなさんの疲れが取れたら実行、自分の命を賭けても救いたい人が

エトワールにいる方はハンスさんに申し出て決行前に連れ出して下さい」


「連れ出せない場合に説得はダメでしょうか?」


「そうですね、最悪相手が襲ってきたら殺害する自信と覚悟があるならどうぞ」


 ちょっときつかったか、しかし俺たちがやろうとしてることは革命だ

半端な事をしてると全滅もありえる。


「ハンスさん、みなさんの準備が整うのに何時間程度掛かりますか?」


「1日あれば可能です」


「では明日1の鐘の2時間前の4時にエトワール攻略を開始します」


「潜入する方は今日中にお願いします」


 疲れたし寝るか、俺が寝てた方が潜入しやすいだろう?

 

「サラ、俺は寝るから、ハイムさんと作戦の繊細を詰めてくれ」


 俺が横になるとかなり移動しているな、50人位は行ったか、生きて帰って

くるといいが。


 結局、夜まで寝た事にして晩ごはんだけ食べて明日に備える。

 

 午前2時か起きるか、みんな起きているようだ、流石に俺とは気合が違う。

 

「では昨日伝えた班に分かれて出発だ」


 俺たちは夜中にエトワールを目指した。

 

残高:10億4千万と金貨75枚と金貨袋1つ


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