第三十二話:犯罪奴隷からの解放
入学式、卒業式といろいろ式はあるが面倒な物です
成人式は祝って貰っている感じがして良かったです。
国王の戴冠式も終わりパーティの時間です、ご飯を食べていないので
お腹ペコペコです、式の合間に出た物は食事に入りません。
パーティ会場は人で一杯です、最初に集まった広間より人がいます。
もう病気の後遺症もないのでまずは肉から行きますか、これはかなり美味
熱々じゃないのが残念ですが、出来たてならカナンのステーキハウス以上だ
猛烈に肉と野菜を食べまくります、何事もバランスが大事だ。
二人分位食べた辺りでやっと落ち着きました、食べると言えばミラたちの事を
陛下に言うチャンスがなかったな、ハマーン宰相に時間をいただくか?
「子爵」
「ダテ子爵」
俺の事か気づかないぞ、子爵なんて呼ばれたことないからな。
「これはアルトハイムさんじゃないですか、子爵は辞めてくださいよ」
「いえ、位が上がると威厳にこだわる貴族は多いのでね」
「まだ子爵とか実感ないですし、おいおい考えていきますよ」
「そうですか、みなさんと会話されないんですか?」
「アルトハイムさんも人が悪いな、私が高貴な方に知り合いがいないのは
ご存知でしょう」
「これは失礼しました、私も内務卿を仰せつかって貴族の方とは交流を深めて
いるんですよ、カズマさんも少しは交流しておいたほうがいいのでは?」
「まあボチボチ行きますよ、所で内務卿というのは内政官の上級職ですか?」
「そう思っていただいて構いませんが」
「実はお願いがあるのですが、私のパーティメンバーは奴隷なのですが、解放の
お手伝いを頂けるとありがたいのですが」
「ヒルダちゃんとかも奴隷でしたか?」
「はい、そうなります」
「わかりました、明日の1の鐘、いや5時30分に城に来て頂けますか?」
「ご承諾頂けるんですね、では明日みんなを連れてきます」
これでミッターマイヤー家の人にも大きく出れるな、元々解放して
やりたかったし、いい頃合いだろう、俺から離れる者も出るかも知れないが
十分尽くしてもらった。
とりあえず誰かに話しかけようかと思ったが降格した方に声は掛けられないし
昇格した人はみんなに囲まれている、友達作りは家を軌道に乗せてからかな。
みんなに早く知らせてやりたいしお暇するか
兵士に帰る旨伝えて、城の脇にある広場に向かう、ずいぶん沢山いるが城から
出てくる人間が少ないのか、サラたちの方から寄ってきた。
「ご主人さま、おかえりなさいませ」
「「「おかえりなさい」」」
「いい知らせを持ってきた、明日アルトハイムさんがみんなの奴隷契約を解いて
くれると約束してくれた、これでご主人さま呼びも今日でお終いだな」
「「「「ほんとですか」」」」
「嘘言ってどうする、アルトハイムさんは内務卿らしいから問題ないだろう?」
「明日は5時半に待ち合わせだから5時には屋敷を出ないとな、起こしてくれよ」
「もちろんです、起きなかったら水魔法をお見舞いします」
「ミラは物騒だな、普通に女の子ぽく起こしてくれよ」
用事は済んだし明日は早いし、広間の掲示板読むのを忘れたが大丈夫だろう。
「では戻ろう」
「すいませんご主人さま、ハイムに伝えてきていいでしょうか?」
「そうだな随分心配していたからな、行ってきなさい
近い内に領地へ向かうと伝えておいて」
三人で屋敷に戻るか、俺の屋敷じゃないけど、そういえば前に来た時に屋敷
候補があったな、いつまでも厄介になれないし次に王都に来た時に考えるか?
サラたちが離れていく、言い忘れていたな。
「サラ、行き先はエトワールって所だ、伝えておいてくれ」
大声で呼びかけ、俺たちはそのまま屋敷に戻った。
屋敷は当主不在なれど、訪問客はかなりいる、徹夜組か
まだ午後3時ころだが、明日は早いし流石に眠いままではサラたちに悪いし
ここは映画でも見てご飯食べて、そのまま寝るか?
「明日はヒルダ達にとっては新たなる門出だ、映画を一本見てから食事にして
俺は先に寝るよ」
「兄様、ヒルダもお付き合いするのです」
「カズマさん、わたしも」
「今日は戦争ものにしよう」
そして映画を一本見終わって食事だ、サラたちはまだ戻らない
病気が治って以来食欲旺盛だ。
「シャル、そういえばエトワールってどこか知ってる」
「確か王都の南にあり、船で一日程度かと聞いています」
「馬だとどの位」
「馬車で3日ほどかと」
そうか船っていうのは帆船だよな、それで一日で馬車で3日っていうと
150キロから200キロ程度か、海があるのはいいな」
「船で入れる港があるということは村じゃなくて街なのかな?」
「兄様、街に決っているじゃありませんか」
ヒルダに怒られるとはまともな所だといいが閣下がポンとくれたのが
ちょっと気になる。
「とりあえず寝るか、深夜になってもサラたちが戻らなかったら起こしてくれ」
「「はい」」
最近7時前に起きる事が多くなってる、惰眠を貪る方法を考案せねば。
☆☆
「ご主人起きて下さい」
うるさいな誰だ、布団の中で時計を見ると4時前だ、確かに朝起こせと
行ったがギリギリまで寝ていたかったな。
「ミラか、随分早いな」
「待ち遠しくて、寝ていられませんでした」
「そうか、お前たちが帰って来なかったら、今回の話はお流れになって
早起きする手間が省けたんだが」
「そんな言い方、ずるいです」
「起きるから機嫌なおせよ」
眠いな外も暗いし、こんな時間におきるやつの気が知れない。
風呂場で顔を洗って、髪型を整える、床屋にいったのは異世界に来る前に
1000円カットして以来だから随分伸びたな。
ここにはなんとお風呂があるのだ、しかし俺だけ入れないし居候5人で順番に
入ると、テリー君の邪魔になるので我慢している、一応街と名がつくなら一万人
程度は住んでいるのかも知れない、ぜひ風呂を作ってもらおう。
俺が大きな野望を胸に刻んでいるとテリー君が声を掛けてきた、今起きたのか
早起きだな、感心するよ。
「カズマさん今日は早いですね、私も仕事が一段落ついたので、食事にしようと
思っていました、ご一緒に如何ですか」
「はい、ぜひお願いします」
そのままついていく、なんとこの時間に既に仕事休憩とな、こいつは漁師か
誘われて食堂にいくと店の人が料理を運んできた。
主が朝早いとみんな寝てられないよね可哀想に、うちのメンバーも揃っている
こいつら毎朝こんな時間に朝飯食っていたのか?
「カズマさんは今後のご予定は立っていますか?」
「明確な予定はありませんが、一旦ミーナに戻ってから考えます」
どうするか、領地ってすぐ行かないと不味いのかな、随行する人数も決まって
ないし、まずは情報収集だな、アルトハイムさんは超多忙そうだし。
「そういえば、テリーさんはエトワールという場所をご存知ですか?」
「もちろん知っていますよ、王都の南に位置していて、王都と王国南部地域の
中継点です、エトワールから東と南東と南に大きな街道が3つあります」
「大きな街道があると言うことは村ではなく街なのですか?」
「はいカナンに比べると少し小さいですが、北のカナンと南のエトワールは
王都防衛の要衝であり、交通の要でもあります」
「しかし4年ほど前に領主が変わり少々荒れているとの噂も入ってきます」
荒れてるのか困るよ、だれだバカな領主は?
「ありがとうございます、テリーさんはアルトの街へいかれるんですか?」
「いえ、父は姉に任せるそうです、叔母なら問題ないでしょう?」
「父の妹がエトワールで支店を切り盛りしてますので
ぜひお手柔らかにお願いします」
「そうでしたか、行ったらぜひ寄らせて頂きます」
食事を終え、テリー君はすぐに仕事に戻った、俺はみんながいつ城にいくのか
聞くので5時前に城に着いてしまった。
門番は貴族証の青いカードを見せるとすんなり通してくれたので案内されるまま
初めて宰相に会った部屋に通された、これは宰相閣下が儀式を行うのか?
解放理由をどうしようかと考えているとアルトハイムさん内政官のような人間を
二人連れてがやってきた。
「テリーから毎朝ゆっくりと聞いたので遅れてくるかと思ってましたよ」
「今日は4人にとっては大事な日ですからね、流石に寝過ごせませんよ」
「では期待に答えるとしますか、どなたから行きますか」
「アルトハイムさんがやってくれるんですか?」
「はい、理由なしで解放となると人には任せられませんし」
「ではサラ、最初にやってもらいなさい」
「はい」
サラはかなり緊張してるな、一度犯罪奴隷に落とされるという感覚は俺には
当然理解できない、それが解放だからないろいろかんがえる事があるんだろう。
「サラ・ミッターマイヤーを奴隷から解放する、汝、我に心を示せ」
アルトハイムさんの言葉が終わるとサラの職業が王国貴族、所属が
エルミール王国になったが職業にレベル表示はない。
次のミラも同様だった。
その次のヒルダは職業が神官レベル8、所属はアレシア神殿。
アレシアってどこだ、次はシャルの番だな。
「シャルロッテを奴隷から解放する、汝、我に心を示せ」
そうすると職業冒険者レベル9、所属はカズマになっている、シャルだけ
仲間はずれか、所属はいつでも変えられるだろう。
「カズマさん終わりました、後日渡そうと思っていたのですが、用意できたので
持ってまいりました」
チャリーンとなる大きな袋にまたしても書類の束ですよ、人間偉くなると書類
を人に渡す趣味でもできるのだろうか?
「この袋は今回の戦争での補給物資に対する礼金です、陛下には報告済みです」
「いくら入っているんですか?」
「言ってしまうと面白くないでしょう、陛下にも命じられていますので納得
できる金額かと、後で数えて楽しんで下さい」
「はい、ありがとうございます」
俺は結構ありそうな金貨が入っていそうな袋を受け取った。
「それでこちらの資料がカズマさんの領地のエトワールの最新の報告書と地図
それと領主の証である証明書と申請がなかったので王の命令で家紋もこちらで
作らせていただきました」
「4人分の国民証もお渡ししておきます」
受け取ったカードをとりあえずサラに渡す。
「後は書類に記載してありますね、王都での屋敷は抑えてありますので
使用人の準備ができたら役場でも城でも構わないのでお伝え下さい」
「エトワールという所はすぐに行かないと行けないのでしょうか?」
「そうですね、代官を置いてもいいですが、前の領主がノースフォールの戦闘で
行方不明で、かなり悪政を引いていたので早めの到着をお薦めします」
「街の規模はどの程度ですか?」
「そうですね、ミーナの2倍以上で25万人程度でしょうか?」
ミーナって10万人位住んでたのか、もっと小さいと思ってたよ。
「そうですか、本日は有難うございました、7日程度で着くよう努力します」
「かしこまりました、エトワールへは既に新領主に変わった旨通達済み
ですが、返信がありません、王より期間限定で暫定的にカズマさんに逆らう
者への制裁措置の委任状を書類に入れておきました、それをお使い下さい」
「ではアルトハイムさんも忙しいでしょうから、御暇しますね」
「では妹によろしくお伝え下さい、失礼します」
それから外へでたらみんなが騒ぎ始めた、よほど奴隷からの解放が嬉しいの
だろう、俺だったら奴隷になったら生きる希望無くすだろうな。
城から出るとハイムさんが待っていた、どうもアルトハイムさんと名前が
似通っていて敵わん、サラたちが奴隷から解放されたと聞くと涙を流して
喜んでいた。
「ダテ子爵、お嬢様を解放して頂き、このハイム一生を掛けてご恩返しする
所存です、存分にお使い下さい」
「有難う助かるよ、期待させてもらうよ」
「ところでハイムさんは王都での屋敷の管理とエトワールって言う街の管理と
どちらが希望ですか?」
「それでは失礼して、強くエトワール行きを希望します」
「そうですか、エトワールはかなり治安に問題がありそうだと内務卿から言われ
ましたが統治に問題ないですか?」
「現在の代官はまともな人間ではありませんが、先の戦争で主力の兵士が抜けて
いるので子爵の武勇をもってすれば問題ないかと」
俺の武勇ってなんだかわからんが正規兵が少ないならなんとでもなるか。
「ではみなさんはいつ頃出発できますか?」
「今日にでも出発できます」
「素早いですね。では私はミーナいえ、カナンによってから向かいますので
先発をお願いできますか」
「かしこまりました、どこで落ち合いますか?」
「そうですね、私がいないと面倒でしたね、どこかいい所はありますか」
「エトワールの東にイリカという村がありますので、そこはいかがでしょう?」
「ではそこで、4日後の3の鐘に集合という事にしましょう」
「かしこまりました、では我々は店に戻ってすぐに出ますので4日後に」
4日後に着くのかとか突っ込まれなくて良かったよ、イリカ村かエトワールに
詳しいのか、資料を読むしかないか?
ハイムさんが去ったので俺たちも屋敷へ戻る。
屋敷に戻り、とりあえずみんなの意見を聞かないとな。
「さてみんな大事な事だから、よく聞いて欲しい」
「「「「はい」」」」
「みんなは奴隷から解放されて正式にエルミール王国の国民に戻った、希望者は
好きな所へ行っていいぞ、やりたい事もあるだろうし、支度金も渡そう」
言い方が悪かったか、君には未来があるといった感じがよかったかな?
「どうした、気にしなくていいんだぞ」
「ご主人さま、わたしは故郷に帰りたいです」
「そうかサラとミラは里帰りか、シャルとヒルダはどうする?」
「私達姉妹はカズマさんと行動を共にしようと話し合いました」
そうか残ってくれるのは二人か、まあ妥当な線だな。
「ではサラとミラに支度金を渡そう、ミラ今度は好きに使っていいぞ」
「ご主人さまはエトワールへはいかないんですか?」
「行くよ、ちょっとミーナに寄って挨拶だけしてくる、サラとミラは解放だ」
「ご主人、ミラたちの故郷はエトワールですよ、私達だけいなくなる訳
ないじゃないですか」
エトワールが故郷かそれならいいか。
「ではサラもミラも今まで通り一緒でいいのか?」
「「はい」」
「では4人はエトワールへ向かってくれ、明日にでも出発すれば余裕だろう」
「俺はミーナによってから行くよ」
「俺は馬車の手配をテリーさんに頼んでおくから4日後の10時にイリカ村
の北側で会おう」
それからテリー君は捕まらなかったが、店員に話したら明日エトワールまで
馬車をだしてくれるというので、俺だけみんなと別れてミーナへ向かう。
「ではシャル、俺が行くまでは危険な真似はするなよ、みんなを頼んだ」
「カズマさんかしこまりました」
「ではしばし別行動だ、気を抜くなよ」
「「「「はい」」」」
俺は次の朝、3時に起きたが、テリー君はもう仕事してましたよ
テリー君にお礼を言って、外に出た。
さてアニタちゃんは元気かな、刀も特別料金で早めに直してもらおう。
明け方ミーナに到着、潮風の満福亭に着くが、そこはほとんど解体された後
だった、アニタちゃんにアルマさんとダンさんはどこだ?
残高:10億5千万と金貨25枚と金貨袋1つ




