第二十九話:勝負どころと準備
今回からサクラエディターを使用して書いています
今まで直接入力してました、無知は怖いです
会話には流れがあり乗り損なうと、あっという間に取り残されます
俺は置いて行かれるのが嫌なので、相手に合わせて話をすすめるのです。
今朝は起きて服を着替え何気に外を覗くと雨ですよ、みなさん傘を
持ってないんですよね、時代劇にたまに出てくる傘張り浪人さんはかなり
先端産業に就いていたんですね。
一晩小金貨4枚ならバイキング形式の朝食位付けてもらいたい物
ですが、食事は更に別料金なのだそうです、シャルが良くなっていれば
宿を替えますか。
「みんな調子はどうだ?」
「はい、お陰様で体調も戻りました」
サラたちの部屋でみんなに声をかけたが昨日と違ってみんなちゃっと
寝れたようで体調も良さそうだ、ミラは相変わらずだが。
「そうか、じゃあ時間も9時過ぎだし外で食事をして宿を替えていいか?」
「宿を替えるのですか?」
「悪いなここは一晩小金貨8枚で更に食事もついてないんだ」
「そうでしたか、ではみなさん出ましょう」
流石にサラはみんなを纏めてくれる、金額的には払えるんだが
俺のポリシーがサービス悪くて高い所に泊まるなと警告するんだ。
みんなすぐ用意ができたのでそのまま出発、本来はこのまま
ミーナに戻りたいんだが、嘘八百を閣下相手にいった手前
引くに引けないのだ。
外へ出るとミラがまた昨日の店で食事をしたい等と恐ろしい事を
いうがシャルの快気祝いにたまにはいいだろう。
店に着くと、まだ開店前らしかったが快く入れてくれた。
8人用のテーブルに案内されてメニューを出された
昨日はメニューは出されなかったが、きっと一元さんはおすすめ
を出すのだろう。
「お姉ちゃん、ここは肉がおすすめです、スープも美味しいです」
「ミラは詳しいのね」
「えへへ当然です!」
みんな看病で疲れてる所を二人で食べに来たのに自慢するなよ。
「まあ、今日はシャルの快気祝いに存分に食べてくれ」
「「「「はい」」」」
メニューには開店は3の鐘と書いてある、俺たちは20分ほど
フライングしたらしいがいい対応だ、本当に関心する
「ミラは昨日のおすすめより更に上のステーキと山のサラダに
当店一押しスープとパンにデザートはこの蜂蜜漬けのフルーツ
でお願いします、もちろんお肉とパンは二人前迄で」
ミラがとんでもない注文をしているが魚料理は無いようなので
同じでいいか。
「俺も同じやつで、もちろん一人前で」
「ではわたしたちも同じのでお願いします」
「かしこまりました、お飲み物は昨日と同じでよろしですか?」
「そうだね、ヒルダはワインより水のほうがいいか?」
「兄様、ヒルダもワインでいいです」
「ではワインも人数分でおねがいするよ」
30分ほどすると客もちらほら入り始めた、さすが人気店だ
俺たちの前には豪華なステーキたちが食べてくれと言っている感じで
並んでいる、ミラは軽快に食べ始める。
俺も食べ始めるが、本当に昨日より美味しい、昨日より食べごたえが
あり舌の上でとろける、山のサラダはキノコの盛り合わせに野菜を
混ぜてある、ちょっとクセがあるが美味い、一押しスープは貝でタシを
取っているようでこれもいける。
「お姉ちゃん食べないの美味しいよ」
ヒルダに言われてやっと食べ始めるシャルだが病み上がりにステーキ
というのはあまり宜しくないが冒険者なんてやっているんだから
この程度は慣れているだろう。
シャルもサラも味合うように食べる、ミラとヒルダは豪快だな。
20分程度でミラ、ヒルダ、俺の順番で食べ終わる
シャルとサラは遅れること10分程で食事終了。
みんなでワインを飲みながら今回の経緯を話す。
事前に公国領への戦争の参加は伝えてあるので問題はなかったが
昨日の行動についてはちょっとだけ文句を言われた。
話を終えてダンジョンの取った武器を見たいというので会計を
お願いする、なんと金貨2枚ですと、最近お金の使い方が荒いが
朝食で20万とはステーキハウス侮れないやつめ。
外という案もあったが冒険者ギルドの訓練場を借りて試し切りではなく
試しにお互いの武器で勝負してみた。
鎌のような武器は鎌では無く、斧スキルで扱える武器のようだ、ミラが
バルディッシュとか言っていたが、確かに似ているしヒルダの話だと
ここでは鎌スキルというのは無いらしい、俺の剣も刀スキルで扱える
ようで見た目はダサい剣だが使い心地はなかなかいい。
サラとミラも使ってみていい感触を得たようだ。
「ヒルダどうした、参加しないのか?」
「兄様、わたしは杖で戦ったことはないんです」
ヒーラーが杖で戦うのはかなりピンチだろうしな仕方ないか
「よし、じゃあ杖を持ったまま俺に【ホーリアロー】を撃ってみろ」
「いいんですか?」
「問題ない」
「行きます、【ホーリアロー】」
ヒルダの魔法って狙われるとこんなに脅威になるのか、剣で弾き
なんとか逃れる、高位レベルの魔法はやはりヤバイです。
「兄様、なんかいい感じです、前に神殿で使用していた杖よりいいです」
「それは良かったな、敵以外は俺とシャル以外には撃つなよ」
「もちろんです」
「シャル今回の戦利品は当たりという事でいいのか?」
「そうですね、防具は出ませんでしたが一般的には武器は3つ位で他の
戦利品と合わせて6個位が相場なので、当たりだと思われます」
「よかったよ、シャルを死の瀬戸際まで追い込んで外れじゃ悪いからな」
「今回の相手は私が今まで戦った中でも最強でした」
「あんなのにダンジョンに適当に湧いてでたら怖いわな」
「「わたしたちも死ぬかと思いました」」
サラとヒルダは最初からギレ君と戦っていたからな相手の強さに感じる
物があったんだろう。
冒険者ギルドのお姉さんにいい感じの宿を教えてもらってギルドを出て
宿に向かう、満福亭と同じ3階建てで6人用の部屋があったので
迷わず取った、一人は寂しいからね。
料金は食事付きで5人で一泊小金貨1枚と銀貨8枚、前の宿に比べれば
半額以下だ、部屋に入ってみるといい感じだこれで食事が良ければ
申し分ないんだが、夜は8の鐘まで注文を受けているらしいので
今日はぎりぎりに食べよう。
俺が一番奥のベッドで他のみんなは好きな場所を選ぶ、これは
ミーナに居た時にシャルからの提案だ、夜中にご主人様を起こしては
心苦しとの事だが、用はトイレに自由に行きたいということだ。
「じゃあ濡れた服を脱いで洗濯をお願いするか?」
初めの頃は気兼ねなく着替えしていたのに最近、恥ずかしいのか俺が
見てない所で着替えている
伝言を兵の詰め所まで頼んだから、今日はアルトハイムさんが着いてるか
わからないし、行かなくてもいいだろう、俺が後ろを向いている間に着替え
も済んだようだし久々にPCに充電しよう。
みんなで忘却のダンジョンの苦労話をしながら時間を潰すが
7時前にミラとヒルダがお腹が減ったと言うので食堂へ。
食事は3種類から選ぶスタイルらしく、肉、魚、その他と別れている
その他を注文するとうどんのような熱物が出てきた、
食べてみるとシチューに千切ったうどん粉をいれたような感じだが
悪くない、醤油なしでうどん料理というのもあるんだと実感。
部屋へ戻り今後の話をしようと話し始めるとどうやらシャルは眠そう
なので今日はお開きにして、また今度にする。
☆☆
翌日、朝食中に女将から封書を預かった、アルトハイムとあるので
読んでみると、昨夜着いたらしく朝一番で使いをだしたらしい、いったい
いつ寝てるのやら、午後2時30分に城で会いたい旨記入してある。
アルトハイムさんも随分時間の指定の仕方が細かくなってきた。
みんなに金貨2枚渡して、必要な物を揃えるように言っておく
ミラの分だけ小金貨2枚にしようかと悩んだが、今度使い切ったら
ミラだけ減らそう。
「じゃあみんな行っておいで、シャルは体調が悪くなったら休むように」
「カズマさん、わかりました気をつけます」
一人部屋に残りテテを呼ぶ、最近すぐに出てこないので困った物だ
どうやらアンデッドエリアで不注意に外に出て死にそうになったのを
悔やんでいるようだ、テテに死なれたら俺はどうするんだと言うのが
実感だが、精神年齢0才に言っても仕方ない事。
荷箱通販でアルトハイムさんから指摘されそうな商品だけ購入して
アラームをセットして寝る、昼間から寝れるのはまさに極楽だ。
午後1時45分に起きて、誰も戻ってないので外へでて、2時15分に
城に到着、歩いている最中に鐘が聞こえたが、5分前集合には十分
間に合う、城でも門番には話が通っているのかすぐに通してくれた。
連れて行かれたのは1階奥にある倉庫のような場所だ。
扉の前で待っているとアルトハイムさんが出てきた。
「さすがにお互いに時計を持っている同士での待ち合わせは楽ですな」
「アルトハイムさんもだいぶ時計に慣れたようで何よりです」
「もう手放せませんな、最近は鐘のなる10分前に店の者に指示出し
できるので助かります」
「散らかってますが、とりあえず中へどうぞ」
中はサッカーグランド位ある倉庫で一部分だけ荷物が整理されている
その脇には椅子とテーブルがあるので、そこに腰掛けて話を再開する
「アルトハイムさんは商人なのに従軍するんですね?」
「商人といっても本業は子供に譲って楽隠居のような立場ですからな」
「あれだけ働いて楽隠居と言われたら、貴族なんて無職者ですよ」
実際いつ寝てるかわからないし、どこにでも現れる公爵の懐刀と言われても
おかしくない働きぶりですよ。
「おかしな事をお聞きしますが、カズマさんは今回の事をどの程度理解
していますか」
ずばっときたな、実際知らなかったし閣下を相手にするのとは訳が違う。
「お恥ずかしい話ですが、実際はまるっきり知りませんでした」
「はっきりおっしゃいますな、嘘がないのは良いことです、相手次第ですが」
「まず今回の騒動を詳しくお話しましょう」
それから一時間程度、昨日酒場で聞いた5倍以上の情報を手にした
それも確証済みである。
話の重要な部分は、今回は帝国に攻められている以上に深刻な問題があり
なんとエルミール王国貴族のみなさんは今回の出兵で第一王子か第二王子の
どちらに味方するか決めるらしい、俗にいう中立派というやつだろう。
現在の王は単なる病でなくもう政務は無理のようで、そこで一応王太子を
定めたにも関わらず、王太子の器量に疑問を持った諸侯が日和見を初めた
ようで、王太子はこの戦で戦果がないと最悪反乱が発生すると見て自ら
陣頭指揮を買って出たらしい。
攻め込まれた場所は王国領のかなり北側で街も無く、最新情報では街まで
騎兵だけで攻めても5日以上かかるらしい、敵の情報を持ってきた白鴎便と
いうのは、まさにカモメを大きくした種類で寒さはあまり気にかけず
武装していない兵士なら一人位背中に乗せて飛べるらしい。
今回は手紙だけだったが、一度会った事のある人間の魔力を感知して
飛べるようで、連続での飛行時間は長くないが目的地まで攻撃を受けない限り
手紙を届けるそうだ。
今回飛んできた白鴎は王都に飛んできたが、手紙だけだったのでおバカな
王子は信用できないので白鴎を往復させて真偽をはっきりさせたらしい。
物見がみかけた兵士の数はおよそ五千人程度、それですぐに用意できる
一万人で出陣したらしい、内政官は反対したらしいが強行決済したようだ。
「しかし第二王子はかなり焦っていますね、揺動の可能性を指摘された
はずなのに」
「はい、ギブン殿は公国と王国に対する二正面作戦とは考えておらず」
「帝国の狙いを見極めてから出兵する様子です」
「それは懸命ですね、大軍だと途中での進路変更は苦難を伴いますし」
「兵站が持たないでしょう」
「どうにも兵士の方は補給の重要性をまったく理解しておらず」
「今回も第二王子は少量の食料だけ用意して進軍したそうです」
「それは危ういですね、所でギブン公に国王への執着はあるんですか?」
「……ないと思いますが、第二王子は権勢が盤石になれば公爵を排除するかと」
自分から自分追い込むとは第二王子はダメか、今回の対応もお粗末すぎる。
「ではアルト商会としても今回は賭けに出ざるを得ない訳ですね」
「わが家の長男は私がいうのも何ですが優秀です、しかし経験が足りません」
ここは男を見せる場面でしょう、いくか元では3万円だし
「アルトハイムさんだけで無く、商会の運営だけでなく、ご家族の運命を
を賭けた戦いと見ました」
アルトハイムさんはじっと俺をみている、ここでいかないとな。
「今回の従軍に当たってご提供できる品は代金無しでお渡ししましょう」
「戦争が終わって二人共生きていたら代金を頂きます、如何ですか?」
「そういって頂けて私も覚悟が決まりました、全財産をこの戦争に賭けます」
「ではお互い命懸けという事で必要な商品を言って下さい、ここで出します」
それから2時間黙々と商品の受け渡しをする事になった、二人が同じ戦場に
いくと確定していないからだ、敵に優秀な軍師みたいのがいないのを祈る。
アルトハイムさんに公爵に合うように進められたが丁寧にお断りをして
おいた、何言われるかわからないし。
何かあったらまた連絡をくれるよう頼んで宿に戻った。
「カズマさん、今回の戦争でギブン公爵が無様な負け方をしたら私達も
エルミール王国には居られなくという訳ですね」
「残念だがアルト商会と懇意にしているのは知られているから、そうなるね」
「ご主人かっこいいです、やはり男は戦う時には戦わないとです」
「兄様、がんばるのです」
「ご主人さま、わたしたちはどこまでもお供します」
みんな賛成してくれるとは決断して良かったよ。
「みんなの気持ちを聞けてよかった、それでそれに報いる為に
みんなを奴隷から開放しようと思うんだが、どうだ?」
あれ、なんか不味い事でもいったか、ミラあたりは感動して抱きついてくると
思ったんだが、ついでみたいに言ったのが不味かったか。
「あれみんな奴隷から市民に戻れるんだよ」
「……ご主人さまは奴隷から開放される条件をご存知ですか?」
「確か、役場のある街で兵士立ち会いの元に解放の契約だよね」
「それは一般奴隷の場合です」
「そうなの」
「犯罪奴隷は犯罪奴隷に落とした人間と所属する国の王都で
高位の内政官によって、過去の経歴を詳しく調べてからの
解放になります」
「もしかしてみんな調べられると不味いの?」
「私とミラは現在の国王の直轄の内政官によって奴隷落ちしてますし」
「カズマさん、わたしは大丈夫なんですが、ヒルダが危険です」
「ヒルダが危険って最悪神殿にもどされるだけじゃないのか?」
「いえ、神殿に許可なく外出して、そのまま奴隷になったので、神殿では
出奔扱いになっており、生涯幽閉の可能性もあります」
シャル以外はみんな過酷な人生だな、といってシャルだけと言っても
納得しないだろうし。
「方法はないの、抜け道的な」
「……方法は私達は全員王国で奴隷落ちしていますので」
「この国の内政官のトップ、大臣職以上の方に審査無しで解放して
もらう事が可能です」
「大臣以上か……」
閣下は今はそういう話はできない、できたとしても王都へ行けない
宰相は会ったことがあるだけで、頼み事できる関係ではないしな。
「みんなの事情はわかった、いったんこの話は保留としよう」
「俺は白鴎なんてもってないから、戦場ではぐれたら連絡できない」
「だからこれからみんなに、緊急時用に星金貨を5枚ずつ渡す」
「そんなにもらえません」
「緊急時用だ、普段使う為じゃない、これだけあれば最悪戦争に負けて
はぐれても国を渡るくらいはできるだろう」
「もし戦争に負けて、一人になったら潮風の満福亭で会おう」
「ミラ星金貨は金貨100枚分だからな、あと商会なら使えるから」
「ご主人だましたんですね」
「あれは騙される方が悪いぞ、いいかこれはサラと離れ離れになるまで
使ったらダメだぞ」
みんなに星金貨5枚ずつ渡す、本来はもっとわたしてもいいんだが
一人で持つには多すぎるのと、どこかの貴族の娘と思われると不味い。
☆☆
翌日からは定期的にアルトハイムさんに呼ばれ補給の相談や補給ルートの
調整をおこなった。
アルトハイムさんの無茶振りにもかなり慣れてきた、無償の商品提供も
合計で4回俺の財産も10億ほど飛んだ。
カナン到着から10日目、ギブン公爵が諸侯に参戦を呼びかけて半月
でついに公爵から正式な呼び出しを受けることになった。
残高:11億5千万と金貨35枚




