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音速異世界爆走記  作者: 風間サトシ
第一章
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第一話:女神様の愛用品


 一馬は何も無い空間で相棒のバイクと共に周りを眺めていた。


 

 良く見ると遠くの方に人と思われる集団がいた、事故の事を考えると

ここは病院ではないのだろうか?


 最後の光景を思い出すと、あの世かな?

 三途の川はないが、こんな感じなのかも知れない。


 なんで簡単に死を受け入れられるかと自分に問うと、家族や

新味になってくれる友人はいないし、地獄じゃなければこういうのも

アリかなと思う自分がいる。


 まあ周りの人たちはかなりあわてているようだが。



 周りの人たちを観察していると、どうやら学生位の年の人もいるし40

を超えてるような人もいる、どうやらライトノベルにあるようなクラス

転移的な物ではないらしい。



「俺がいる段階で集団転移じゃないよな」


「当たり前じゃない」

 一人ぶつぶつ考えていると傍らに現れた幼女が

俺の独り言に突っ込みを入れてきた。



 幼女を見るとあきらかに日本人じゃない、淡い金色の髪に左右の

眼の色はブルーとレッド、年齢は白人だとすると7歳位に見える

そしてそのまま人のいる方に向かうと

いきなり演説を始めた、自ら神と名乗りこれよりここにいるみんなに

過去にいた世界と違う世界へ転移してもらうと宣言した。



「……みなさんに行ってもらう世界を選んでもらい、とても役立つスキル

をそれぞれ3つ程度おつけします。みなさんの頭の影の中にある本から

向かう世界とスキルを選んでください」


「時間は十分にあります。前回の方々は最短で3日、最長で1か月程

かけて選んでおりました」



 神いや、俺の中では幼女女神の宣言を聞きながら自らも本を取り出して

本の中を覗いてみた、中身は携帯用の英和辞典並みの厚さの本で真剣に

熟読したら1週間は軽くかかりそうなボリュームだ、これは時間に猶予が

あるのもうなずける。



 なんといっても今後の人生に大きく関わってくるスキルを直感で決める人は

少なくとも日本人の中にはあまりいないだろう。



 時間が無ければ、斜め読みした感じでは時空魔法、回復魔法

属性攻撃魔法又は武器スキル当たりがお手頃かと思うが

スキルとその説明文が長いし、みんな真剣に読むしかない。



 なんとスキル一覧表ともいうべき本は50音順どころか

まったく整理されていないのである、加えてページを折ったりできないし

付箋の代わりになるものもない、ページ数の記述もない

まさに初めから読むか、直感で適当に流し読みするしかない。



 俺も仕方がないので最初のページから読み始めていると自称女神が

横にやってきてバイクを見ている、女神様にはオートバイが珍しいの

だろうか?



「……女神様、乗り物に興味があるんですか?」


「この空間に乗り物に乗って来た人間なんてみたことないわ」



 たしかに回りを見回すとみんな服をきているだけで持ち物さえ持ってない

ここにバイクはたしかに異色であるわな。



「これってどの位凄いのだ」


「……ドラゴンの3倍の速度で飛び、ドラゴンの牙より硬く、燃料は魔力で

ハイビームにすると天を貫く光線を発射でき、この箱は自分の住んでいた

世界の物がなんでも買えるのさ」



 女神が眼を輝かせながら聞いてくるもんだから、適当に答えてしまった。


 ドラゴンに会ったことないけどね。



 女神は俺の答えを聞くと興味深々で光る手でバイクの各部を

ペタペタ触り始めた。


 バイクもそれに応えるようにチカチカ光っている、俺といえば

そういえばちょっと眠くなってきたので、英和辞典とにらめっこする前に

少し寝ようと思い、スタンドを立てて

ヘルメットをタンクの上に置いて、そのまま異世界に思いをはせながら

しばしの睡眠に入った。



 起きると幼女が後部車輪を背にして寝ていた、周りを見ると他に

誰もおらず女神を起こして聞いてみるとみんなすでに異世界に

旅立ったらしい、たしか寝る前にみた感じだと50人位はいた感じだから

みんな即断即決だなと思いながら仕方ないので。


 自分のスキルブックを見るとあんなに分厚かった本の中身がグレー

表示されており読めなくなっていた。


「……女神様、本の内容がほとんど読めないんですけど}


「他の人が選んだからね、スキルは先着順なのよ}


「いやいや一人3つなら全部で150個位でしょう?」

「なんで本がスカスカなんですか?」


「それは人にとって重要なスキルは一人3つ程って言ったけど

ほかのスキルは制限はないのよ」



 寝てる間にスキル争奪戦が起こっていたなんて、あり得ん。



 残ったスキルはなし、選べるのはこれから行く世界のみか。



「ねえ偉大なる女神様、この下僕に魔法スキルをいただけないでしょうか?}


「もうないわ。ダメ}


「全知全能の創造神様。この哀れな生き物にスキルを恵んで

いただけないでしょうか?」


「私はこの空間にある物にしか能力を与えられないの。それにこの本は

あなたのいう創造神様から渡されたものなの。あきらめなさい」



 これは思った以上に最悪の状況かもしれない、うーんこのまま天国に行くか

あれこれ1週間位悩んで幼女女神といろいろ問答するも

結果はかわらずぼっちを実感中である。


 天国にいくのはすでに無理らしく、天国以外ならいけるらしい

地獄とか地獄系異世界とか行きたくないし、まじまじ幼女を観察していると

幼女の身に着けている懐中時計とネックレスに眼がついた。



「女神様、お聞きしますがその懐中時計とネックレスは

いつも身に着けているんですか?」


「……これはお母さまの形見なの、そう形見なのよ」


 なんか怪しい。


「そういえば、俺がここから去れば全員転移する訳ですが

女神様はその後どうされますか?」


「天界でお父様とお母さまのお手伝いに行くわ」



「お母さまのお手伝いですか

つまりその装飾品は形見ではないわけですね。確定です」


「……それじゃあ、向かう世界を決めなさい」


 そこで逃げる幼女を取り押さえる、日本でこんな事をすれば通報だが

現在の状況と将来の可能性の為に幼女の懐中時計とネックレスを奪う

(きっと自称とはいえ女神の持ち物ならきっと有用な物に違いない)


 女神にはまた代用品を自分で用意できるだろう

装飾品だし天界へ行けるらしいしね



「お前なんかヴォルホルへ行って戦争で死んじゃえ-----」


 女神がそう叫ぶと光が急速に力を増して迫ってくるので

バイクに乗ってエンジンをかけた所で光に飲み込まれ

そのまま意識を失った。



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