1-3 素足の勇者(それあんまり言わないで。)
ワゴンの扉が開かれ中から出てきたのは……
透き通ったライトグリーンの瞳に艶やかな長い銀髪が特徴の超絶美女だった。
あまりの美しさに目が釘付けになってしまった。
それは俺だけではない。隣に居るコウも、車輪と蹄に踏まれた痕を残したまま、その美女から目が離せないでいた。
俺達の熱い眼差しを浴びせられた美女は少し照れくさそうに視線を反らした。
「あ、あの……私の顔に何か付いておりますでしょうか?」
「付いてますとも!!可愛い目と鼻と口と……いえ、可愛いお顔が付いてますよ!まじで。」
どうやらコウは完全に落ちてしまった様だ。
しかしこればかりは納得してしまう。それ程に目の前の女性は美しかった。
「え、えっとあなたは?」
「申し遅れました。私はルナ・ル・ストレアと申します。」
「ルナ様こんな連中に挨拶など無用です。今は一刻も早くスラヴへと向かわないと……。」
礼儀正しく挨拶するルナをアナトが諌める。
「あん?うるせぇぞ小学生!!子供はお寝んねでもしてろや!」
「ムカっ。だから小学生じゃありません!わたしは14歳です!立派な成人ですぅ!!」
コウがヤジを飛ばす。それに対してアナトは頬を膨らませて抗議する。
……ん!?14歳?この世界では14歳で成人扱いなのか。見た目はもうちょい幼い。盛って12歳だろ。
「えっと、アナトちゃん?さっきから言ってる通り俺達は山賊じゃないし、普通の人間だ!小学生扱いしちゃったのは謝るよ。」
俺はアナトの機嫌を直そうと頭を撫でようとしたが、その手をパチンっと払われた。
「山賊じゃないのは理解しました。だけどその口調はなんですっ!やっぱり子供扱いしてるじゃないですかっ!」
……そんなに子供扱いされるのが嫌なのか。
「…わ、悪かったな。それより、スラヴに向かってると言ってたな?実は俺達もスラヴに向かっていたんだけど、途中でドラゴンに襲われて馬車を失っちゃったんだよ。それでもしよければ乗せてもらえないかな?」
ここは敢えて日本から来たなんて事は言わない方がいいだろう。余計な事を話して警戒されるのも面倒だしな。
俺の話を聞いてルナは大きく目を見開いて驚いた。
「ま、まさかお二人でドラゴンを倒したのですか?」
「ええまぁ……。色々複雑な事情はあるのですが……。」
「おいおい何お前嘘付いてるんだよ?俺が1人で倒したんじゃねぇかっ!ルナ様の前だからって格好つけてんじゃ………」
俺は余計な事を口走るコウの胸元をひっぱたいた。
「痛っ!!なにお前?どんだけ硬いんだよ!俺の手赤くなっちまったじゃねぇかっ!!」
そんな俺達のやりとりを見てルナは微笑むと
「もしよろしければお二人のお名前を聞いてもよろしいでしょうか?」
「俺は………」
「コウ!コウです!!」
俺の台詞を遮ってグイグイと前に出るコウ。美女の前だと見境無くなるのも昔から変わってない様だ。
「俺は勇者エルと申します。」
俺が自己紹介すると、ルナとアナトは俺の顔を見て固まった。
……………またか。そんなに俺って勇者っぽくないのか?
「…………えっと。」
「……ご、ごめんなさい。コウさんにエルさんですね?勇者と仰りましたが、どういう事ですか?」
と、ルナは少し困った様な顔をしている。
「えっ!?そのままの意味なんですが…………あれ!?そんなにおかしな事言いました?」
なんかまずい事を言ってしまったかと困惑していると、アナトが大きくため息を吐いた。
「エルさん?ですか?勇者なんておとぎ話の世界にしか存在しませんよ?それにもし勇者だとするのならば………」
「あぁ。これか?この紋章は勇者を示すものなんじゃないのか?」
俺は二人に少しだけドヤ顔で左手の紋章を見せつけると、まるで何かを恐れるかの様に後退るアナト。
「まままま、まさか、本当に勇者!?信じられません!!勇者が実在してると言うのですかっ!?」
「なんだ?もしかして俺ってやっぱり凄い奴だったりするのか?」
「勇者のくせに何も出来ないし、靴下…………」
余計な事を口走ろうとしたコウの口を押さえる俺。
それを聞いてルナが首を傾げる。
「くつした??」
「い、いいんですよ気にしなくて。あははは~。」
笑って誤魔化したが、初対面の美女に俺が素足でスニーカー履いてるなんて知られたくない。それに俺は曲がりなりにも勇者なんだぞ?勇者のイメージを保つ為にも知られる訳にはいかん!
「エルさん、コウさん、ここでお話しててもなんですし、馬車にお乗りになってはいかがですか?」
「な、なにを言ってるんですかっ!姫さまっ!……あ。」
「っ!?姫様ぁ!?」
こんばんわー!
今日も書けました~。
なんかいつもより分量少ないですが(笑)
あ、後そろそろ縦書き対応させないとですね。
今度まとめてやります。
それと言葉の引き出し少なくて同じ言葉多様してしまうのは勘弁して下さい(笑)
内容としましてはとてもスローペースになってますので、中々話が進まなくてじれったいと思ってる方いたらすいません。
次回もよろしくお願いします。