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勇者になれって言われたけど。  作者: いわしさん
0章 勇者としての異世界生活の始まり
5/9

0-5 セブンスヘブン



と、ここで、俺がこの世界に来る前の話をしようと思う。


名前は 江川(えがわ) (とおる)

年齢は19。


高校には入学したものの、3カ月で中退。

特に人と変わった才能などもなく、特技も無い。

どこにでもいるっちゃいる平凡な奴だ。


小学生の頃から勉強が出来た訳でもなく、真面目って事でもなかった。

どちらかと言えば問題を起こすタイプだったと今は思う。


そんな俺にも1つだけ大切にしてるものがあった。


それは、


『仲間』だ!


中学の頃なにも目標の無かった()()を幼馴染のタケルって奴がまとめあげ、1つのチームを結成した。


チームの名前は『セブンスヘブン』。由来は特に無い。


そこの初代メンバーとして、リーダーのタケル、特攻隊長のコウ、俺らの姉貴的存在のサキ、そして俺が加わった。

と言うより俺達4人は小さい頃からずっと遊んでいた幼馴染だ。


なんのチームかって?


そんなの最初はどうでも良かった。ただ仲の良い友達と遊んでいただけだ。


しかし、そんなお遊びも気付けばただの、()()()では済ませられなくなってきたのだ。


何故だか人望が厚く、どこかカリスマ性を感じるタケルの力によって、俺達『セブンスヘブン』は地元の若者達の中ではちょっと有名になりつつあり、

街の治安維持だと言って、暴走族や、チンピラなんかを相手に喧嘩をする事も多くなった。


高校に上がり、中退してからも活動は続き、勢力を拡大した俺達は暴力団との抗争まで発展してしまった。


そして、ある日俺達は大切な仲間の後輩を一人失った。


後輩の死に直面して、俺達は今後の活動について会議を開いた。


しかし会議が纏まる事はなく、俺達はこの時、チームを解散した。




_____それから月日だけが流れた。


セブンスヘブンの活動が無くなってからの2年間、俺はかつての仲間とは一切連絡を取ることはなかった。



俺はいつもの様に日雇いのアルバイトから帰宅し、テレビを付けると、総合格闘技の中継がやっていた。

そこに映っていたのはセブンスヘブンの仲間のコウだった。


コウは、チーム解散の時に

「俺は世界で一番強い男になる!」と言っていた。


そして、世紀の一戦とまで(うた)われるメインのリングに立って居る。

試合には敗れたものの、あいつはチームが解散した後もずっと夢に向かって突っ走っていたのだ。


それなのに俺はなんだ?


大切な仲間でもあり、後輩でもある一人の友人を亡くし、それを理由に幼馴染のタケルとも喧嘩して疎遠(そえん)になり、その数ヶ月後に両親を事故で亡くし、絶望し、人生に価値を見出だせないでいた。


「こんな姿後輩のマルヤマや、両親が見ていたら幻滅されちまうだろうな……。それにセブンスヘブンのあいつらも……。」




………もう一度あいつらと会いたいな。




だけど会わせる顔なんて無い…よな………。



__

それから3日間俺は仕事にも行かずにウジウジと悩んでいた。


そしてようやく勇気を振り絞り、仲間に電話をかけてみることした。

が、誰一人として電話には出てくれなかった。


コウも、サキも、もちろんタケルも。

それもそうだろうな。

マルヤマが死んで、タケルと喧嘩した後も、何度か連絡はあったが、それら全てを拒んだのは俺だ。


「今更、虫が良すぎるよな……。」


だけど_


俺は…もう一度あいつらと会いたい!!



気が付けば俺はこの時、無意識にある場所へと向かっていた。


藤崎神社。

そこは俺達にとっては馴染みの深い場所だ。

コウ、サキ、タケル、それに俺。

俺達は小学生の頃からいつだって一緒に居た。

そして悩みや、お願い事があると俺達は決まってこの神社に訪れていた。


そういえばもうしばらく来ていなかったなぁ。

なんて考えながら、当時と変わる事のない石造りの長い階段を賽銭(さいせん)の小銭とオモチャを握りしめながら上がっていった。


この神社は子供の神様が祀られているとかで、お参りに行く際には、お供え物としてオモチャを持っていく風習があるのだ。


階段を登りきった俺は

少し肌寒い夜風を浴びながら、賽銭箱(さいせんばこ)に小銭を投げ入れ、鐘を鳴らした。


……神様にこんな事をお願いするのもなんだとは思いますが、俺はもう一度セブンスヘブンのみんなと会いたい。だからどうかお力を…………



手を合わせ、一礼して帰ろうと振り向いた瞬間、突然頭の中に声が響いてきた。


『あなたの望みを受け入れましょう。しかしその前にあなたにはこれからとある世界で勇者となって頂きます。』


っ!?


周りに誰か居ないか、キョロキョロと見回すが人の気配はない。


もう一度耳を澄ませるも、木々が夜風で揺れる音以外には何も聞こえない。


…空耳か。


そう決め付け歩み始めると、また声が響いてくる。


『空耳じゃないですよ!』


今度こそは空耳じゃない。

頭に響いてくるのは幼さのある少女の声だった。

まさかと思い、俺は恐る恐る質問をした。


「あなたは?ここの神様ですか?」


『んーっと。まぁそんな感じです。』


……そんな感じってどんな感じだよ。


『そんな感じはそんな感じなんです!』


__っ!?


「俺の心の中が読めるのか!?」


声に出していないのに俺の頭の中で思った事に返事をしてくる。


まぁそれも当然か。神様だもんな。


『はい。神様みたいなもんですから。』


「だーもう!一々俺の頭の中の声に返事してくるなよ!」


『へへへ。ごめんなさい。』


無邪気に笑う自称神様みたいな奴はこうして話していると、普通の女の子の様だった。


しかし端はたから見れば、誰も居ない夜の神社で一人で喋っているヤバい奴にしかみえない。

まぁこの時はそんな事を気にする余裕すらなかったのだが。


「そんで、どういう事だ?とある世界で勇者になる?勇者ってどういう………」


『行けばわかりますよきっと!』


そう言われると、青白い光が俺を包み込む。


「お、おい、ちょっと待ってくれ!俺の願いは叶えてくれるんだよな?」


『フフフ。もちろんですよ。では勇者さん頑張って下さいね。期待してますよ。』



勇者になれって言われたけど……

何をすればいいんだーーー!!


こうして俺は勇者エルとなるのであった。


皆さんこんばんわ。

しばらくの間投稿出来ないで申し訳ありません。


さてさて、お話の内容ですが、セブンスヘブンの活動や、過去に何があったのかは、今後また語りたいと思います。


ところでトオルが何故勇者エルなのか?

それは単純で、

エガワトオルの頭文字を取ってエルなんです。(笑)


一応この回で0章は終わりになります。

次回からは第1章です!


次回もよろしくお願いします。

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