第六話 初陣
ニューヨーク基地でのSFパイロットの操縦訓練と如月の補給作業が始まって七日目。
遂に如月が宇宙に向かう日がやって来た。
如月は今日の正午、宇宙に向かう。
ちなみに戦艦は自力での大気圏突破及び、大気圏離脱を行うことが出来る。
涼達は今までお世話になったニューヨーク基地の人々に別れの挨拶を済ませていた。
「頑張れよ」
「無理するな」
「また会いましょう」
そのような言葉を多くの人々から受け取った涼達はその言葉を受け取った喜びを噛み締めて、ニューヨーク基地に別れを告げる事にした。
正午、如月はニューヨーク基地から地球軍第5宇宙拠点に向けて出発した。
他の部隊もそこに集合しているはずである。
宇宙に出て如月が目的地に向けて航海を続けていると、
「敵SF反応確認!その数15機!現在、友軍が交戦中!3機がこちらへ向かって来ます!識別は全てJSFー09テセウスです!」
観測員のスティーブが大きな声を上げて報告する。
「やはり、待ち構えられていたか。総員第一戦闘配置!対SF戦準備!こちらもSFを発進させる!フェザー小隊、発進準備!」
天本が次々と指示を出していく。
「こちらフェザー1、入江涼。発進準備出来てます」
「フェザー2、マーティン・ラスウェル。いつでも発進出来ます。」
「フェザー3、遥・ルビンシテイン。発進準備完了」
フェザー小隊のメンバーからの返事が帰って来る。
「まずはフェザー小隊が発進。その後本艦は後退、艦砲射撃でフェザー小隊を援護する。」
「了解」
フェザー小隊の三人から応答の返事が帰って来る。
「フェザー小隊、発進して下さい。」
オペレーターのジーナが指示する。
「了解!フェザー1、オラシオン発進するぜ!」
「フェザー2、シグルス発進します!」
「フェザー3、アタランテ発進する」
三機のSFが発進する。
「それじゃ行くぜ!二人とも!」
「OK!」
「了解」
二人から返事が帰って来る。
同時にオラシオンとシグルスが敵SFへと向かう。アタランテは他の2機と違い、狙撃の為他の2機よりも敵SFと距離を置く。
3機のテセウスはオラシオンとシグルスに対して装備していた42mmマシンガンで攻撃を開始する。
「当たるか!」
涼はマシンガンを回避しつつ、57mmショットガンを構え、テセウスの一機に高速で近づき、至近距離から弾丸を打ち込む。
被弾したテセウスが宇宙空間で音も無く爆散する。
「一機撃破だ。マーティ、そっちは?」
「大丈夫」
マーティはシグルスの手に格闘戦用のソードを持ち、陣形の乱れた2機のテセウスの片方に向かい、ソードでテセウスに斬り捨てる。
「2機目、撃破」
「最後の1機は私が仕留める」
シグルスが2機目を撃破すると同時に、遥の乗るアタランテが75mm狙撃用レールガンを構えて、最後の1機に狙いを定めて狙撃する。
弾丸が直撃して、最後のテセウスも撃破される。
「命中。撃破を確認」
「これでこっちに向かって来た機体は全機撃破か。艦長、そちらはどうですか?」
涼が如月のブリッジで指揮を執る天本に通信を送る。
「こちらも損傷は軽微だ」
「友軍が敵機の内5機を撃破。残りの7機と交戦を続けています」
「よし、本艦は友軍の援護に向かう!」
天本が指示を出す。
「了解!」
ブリッジからクルー全員の応答が返って来る。
「了解!こちらは先に援護に向かいます」
涼がフェザー小隊を代表して応答する。
フェザー小隊の3機は友軍の交戦地域に援護に向かう。
「こちらは、独立遊撃艦如月艦長の天本隆一中佐。これより貴官らの援護に向かう」
天本が交戦中の部隊に通信を入れる。
「こちら、地球軍第5宇宙拠点第7防衛隊。貴官らの援護、感謝する」
交戦中の部隊からの返答が送られて来る。
彼らはどうやら第5宇宙拠点の防衛部隊らしい。
その間に、涼達は残りのテセウスを撃破するため、戦闘を再開していた。
まずは味方のアイオロスを包囲しつつ攻撃していた3機を遥が狙撃する。
1機には命中したが残りの2機には回避される。
「涼、マーティ、任せた」
「了解」
マーティは回避行動をとった2機目の隙を狙って37mmサブマシンガンで攻撃する。
直撃弾を受けた2機目のテセウスも撃破される。
「任しとけ。遥」
涼はオラシオン専用の格闘戦闘ロングソードを手に取り、3機目に近づき、斬りつける。
その間に友軍は残りの4機を撃破していた。
「全機の撃破を確認。周辺に敵影なし」
スティーブが天本に報告する。
「目的地の第5宇宙拠点までの航路の再設定完了」
美鈴が天本に航路のデータを送信する。
「本艦の損傷箇所なし」
宮部が報告する。
「こちらフェザー1、フェザー小隊も3機共に損傷箇所なし」
涼が通信を入れる。
「よし。本艦はフェザー小隊の3機を回収後、第5宇宙拠点へ向かう。アレニウス中尉、フェザー小隊の各機に帰還命令を出せ」
「了解。フェザー小隊、帰還して下さい」
天本の命令を受けた後、ジーナがフェザー小隊の各機に通信を送る。
その通信を受けて、フェザー小隊の3機は如月に帰還した。