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第五話 如月の一日

新型SFの搭乗訓練が始まって2日。

涼達も大分新型SFの操縦方法に慣れて来た頃だった。

今日の分の訓練を終えた後、涼達は人手不足のため、如月の手伝いをすることになっていた。

「何で俺達が手伝わなきゃならないんだ?」

「最近はどこも忙しくて人手不足なんだ。しかたないよ」

この日は、涼が格納庫、マーティが医務室、遥はブリッジをそれぞれ手伝うことになっていた。

「それじゃ、また後で」

遥がそう言うと、三人はそれぞれの手伝い先に向かって行った。




「涼、そこの新型SFの資料ファイル取ってくれ!」

格納庫の機械の音量に負けないぐらいの大声で技術長の長月哲也大尉が叫ぶ。

涼がそのファイルを渡した後、休憩をとっていると、

「ご苦労様ですね、入江中尉」

技術科員の村上和哉小尉が声をかけてきた。

「お前ここの担当だったのか」

涼が言う。この前呼びに来たときは、どこの担当だったのか分からなかったのだ。

「村上和哉小尉です。宜しくお願いします」

「入江涼、階級は中尉。こちらこそ宜しく。技術科は今忙しいのか?」

「はい、最近は見知らぬ機械が3機も入って来たので大分忙しいですね、技術科は」

「新型SFの事か?乗る側としては今までの機体と操縦系はそんなに変わってないように感じるが」

「パイロットのことを考えて操縦系は確かにそうなってますが、その他の部分は大きく異なってきてます。それの整備方法の習得で大分忙しいですね。でも、自分達の担当の機体で分からない所があるのはパイロット達に失礼ですしね」

その言葉を聞いた涼はこの艦の技術科の連中には安心して自分達の愛機を任せられると確信した。




マーティは医務室ではなく、ニューヨーク基地の倉庫にいた。

荷物の運び出しをして欲しいと伝えられていたのだ。

「どんな人だろな?」

そうつぶやいて待っていると、

「あら、あなたがお手伝いの人?」

その声の方にマーティが向かうと、そこには栗色のロングヘアーの女性がいた。服装は襟元のボタンと第一ボタンのはだけたワイシャツにロングスカート、ワイシャツの上に着ていて、白衣の襟には中尉の階級章が縫い付けてある。年はマーティよりも幾つか上だろう。どうやら彼女が如月の軍医らしい。

「私は如月の軍医、フェリア・テティス中尉。戦艦での仕事は始めてなのでこれから宜しくね」

「マーティン・ラスウェル。階級は中尉。こちらこそ宜しくお願いします。それで、手伝って欲しい仕事というのは?」

その言葉を聞いたフェリアは倉庫の片隅にある薬品の入った木箱を指差し、

「あれを運んで欲しいのよ」

「分かりました」

マーティはそう言うと、木箱を持ち上げる。

フェリアも小さい木箱を持ち上げて、二人は一緒に如月の医務室へと歩き出した。




「ありがとね。私一人じゃあの木箱運べないから。」

如月の通路を歩きながらフェリアがマーティに声をかける。

「役に立てて何よりです」

マーティはそう返事をすると、二人は如月の医務室の前に到着した。

「ありがとね。マーティ君」

「ええ、それじゃ」

フェリアの言葉に少し胸が暖かくなるのを感じながら、マーティは自室へと向かっていった。




「遥さん、如月の全火器の作動ランプどうなってますか?」

火器管制システムの動作確認作業をしながらスコットが遥に質問する。

その言葉を聞いた遥は火器の作動状況を確認する。

「ミサイル、レールガン、CIWS(近接防御火器システム)すべて問題ない」

そう返事をすると、次は美鈴から頼まれている友軍との合流ポイントまでのルートの安全性の確認に取りかかった。

「遥さん、手際良いですね」

美鈴が話し掛けると、

「誰でも普通にこれぐらいのことはできる。あなたの選んだルートに問題はなかったわよ」

突き放したようにも聞こえる遥の言葉に美鈴がどう返事をしようか戸惑っていると、

「お前もう少し優しくしてやれよ」

「悪意がないのは判るけどね」

観測員のスティーブとオペレーターのジーナが遥に話し掛ける。

私にはそんな言葉は掛けられない。

そう思いながら遥は仕事を続けた。

だが、スティーブとジーナの言葉が仕事中ずっと胸に響いていた。



人物紹介(フェザー小隊)

入江 涼

WNSFー01オラシオンパイロット。中尉。19歳。

マーティン・ラスウェル

WNSFー02シグルスパイロット。中尉。19歳。

遥・ルビンシテイン

WNSFー03アタランテパイロット。中尉。19歳。


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