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いつか君へ…  作者: 半纏少尉
決意の刻 2章決意と見習い冒険者
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12話

中々ヒロインが出ない、忘れられてるかな?

僕らは遅い昼食を食べた後に、初依頼となる薬草採取に向かっていた。


「今日の薬草採取は街の南側に向かう、この3つは南側に良く生えてるからな」


ジンさんの話を聞き、話ながら歩いていると南門についた。


「ん?ジンじゃないか!こんな時間に外に出るなんて何の依頼だ?」


街から出る時に門番がジンさんに声を掛けていた。


「よお、今日は薬草採取だ」


「薬草採取⁉︎何でまた…ってもしかして見習いを取ったのか?」


「あぁそうだ、こいつら2人、アランとカイルってんだ、宜しくな。」


「アランとカイルだね、よろしく俺はネルト、しがない門番さ…それよりもジン、お前が見習いを取るなんてどう言う風の吹き回しなんだ?」


ジンさんに紹介されたからお互いに挨拶を交わす。


門番の人は、直ぐにジンさんとの話を再開した。


「このアランがローランさんの子供でな、ローランさん達から受けた恩を息子に返してるって感じだ」


「この子があの…そうか…僕の友人の傭兵がローランさんに助けられた、と言っていたんだ。ありがとう、彼に代わってお礼を言わせてくれ。

…2人共、これから薬草採取だったね?ジンの言うことを聞いて気をつけるようにね。」


門番の人に頭を下げながら、僕らは門を潜った。


門を抜けてから街道から逸れて1時間程歩くと目的の場所に着いたようだ。


「よし、この辺りが良いだろう、アラン、カイルこっちに寄れ」


ジンさんの元に寄って行くと足元を指差して、屈むように指示された。


「この草が依頼の薬草の1つだ、効能は腹痛止め、怪我の治癒だな。

腹痛止めの薬として使われてるが怪我した時に葉を揉んで傷口に当てる事で応急処置出来たりする。

他にもそんな薬草が有るから出来るだけ種類を覚えておいて緊急で薬が何も無い時に使えるようにしとけよ?」


「へえー、じゃあ薬草の事覚えたら薬要らねえじゃんか」


ジンさんの言葉にカイルはそんな感想を漏らした。


「馬鹿が、薬と比べたらこれなんか、ほんの些細な効力しかねえょ。

死にたくなかったらちゃんとした薬を持っておけよ?

次は採取の方法だな、薬草にはその薬草にあった採取方法がある、こいつなんかは葉っぱの部分に薬効が有るらしくてな、葉っぱを根元から1㎝くらいの所をナイフで切り取れば良いんだ。」


僕はジンさんが言ったようにナイフを使い採取していく。


葉っぱは1枚が少し大きくて縦15㎝横幅3㎝くらいの楕円形をしているから1枚1枚丁寧に切り取っていった。


「大体の薬草が10枚で1束だからな長紐で茎の部分を縛って束ねればいい。

これなんかは乾燥させて使うもんだから適当でも良いが、特殊な保存方法がある物もあるから気をつけろよ?」


ジンさんの言葉に頷いて僕らは依頼の10束を集めた。


「よし次はこいつだ、これは所謂ポーションに使うやつだ、ポーションは他に色々使うらしいが冒険者は世話になるからな覚えておいてくれ。

この薬草の特徴は1株で毒草と薬草の2種がある事だ、薬草の周りを囲うように毒草が生えてるから間違っても全部とるなよ?

見分け方だが裏側の葉脈が赤くなってる方が毒草だ、だから普通の方を採取していく。

毒草は毒草で気付けにつけえるが、あまり良いもんじゃねぇからな」


説明を聞きながら薬草を観察して裏返しながら確認していく。


「こいつは薬草だけ取ると後から全部毒草になるからな、1株に2、3枚の薬草を残して毒草も何本か切り取っておくと次生える時にも同じように薬草が生えてくる。

だから薬草全部取るなよ?こいつはポーション用に5枚で1束だから30束分集めるぞ、採取方法はさっきと同じだ」


僕らは30束集まるまでこれを集め続けていった。


「次は別の取り方の薬草だ。

こいつは頭痛と酔い止めの薬効があるらしい

葉と根両方必要だからな、丁寧に掘り起こしてくれ。

これは1株毎に数えるからな、根っこの土を落として湿らせた布を当てて、何株かを一緒に束ねておけば良い。

これをしないと葉が毒を帯び始めるから忘れんなよ?」


薬草の種類から効能、採取方法を教えて貰いながら僕らは依頼の達成分の薬草を集め終わり帰路に着いていた。


「薬草採取って結構簡単なんだな、それに魔物や動物にも会わなかったし」


「そうだね、街から出たらもっと戦闘があるのかと思ってたよ」


カイルと僕がそんな感想を述べるとジンさんがこっちを見ながら注意してきた。


「確かに南側は王都方面だから、定期的に魔物の掃討をしてて魔物の数は少ないとは言え警戒を全くしないのはダメだ。

普段からある程度警戒する事に慣れないといざという時に奇襲されるぞ」


ジンさんの言葉に首を竦めて反省した。


(確かに初めての依頼が順調に進んでいるから気が抜けてたなぁ…)


僕は鍛錬の意味も込めて気配を感じる練習をしながら街に帰って行った。


南門に着くと夕方に差し掛かった事もあり人が並んでいた。


最後尾に並び順番を待っていると僕らの番になった。


「やぁ、皆無事依頼が終わったんだね?」


「こんにちわ、無事終わりましたよ!」


昼にあった門番さんが僕らに話しかけてきて、それに答えながら手続きをする。


「カードを出して貰えるかな?…魔力を通して表示させてくれよ?…うん大丈夫だな。

ジンはちゃんと教えてくれたかい?」


「おいおい、それはどう言う意味だよ?」


「ジンは少しずぼらなイメージがあるからなぁ、ちゃんと教えてるのか心配になったんだよ」


門番さんに「ちゃんと教えて貰いましたよ」と言いながら別れを告げてギルドに向かった。


ギルドに着くと朝とは打って変わって人に溢れていた。


依頼の報告に来た冒険者や酒場で打ち上げをする人達、色んな人がごった返していて少し圧倒されてしまった。


ジンさんが受付の列に向かったので慌ててそれを追って僕らも一緒に並ぶ。


時間が掛かったけどやっと僕らの番になり、今回もシャルルさんが対応してくれる。


「あら?ジン達じゃない。思ったよりも早かったわね、上手くできた?」


そんな風に心配してくれたシャルルさんに出来た事を報告して依頼品をカウンターに置いた。


「えっと……うんちゃんと数があるわね。

お疲れ様でした、初依頼達成おめでとうございます。」


シャルルさんは依頼品の数を手早く確認し終えると居住まいを正してそう言ってくれた。


嬉しさが込み上げてきて少し大きな声で「ありがとうございます!」と言うと周りの冒険者が僕らを見てきたので恥ずかしくなってしまった。


「ふふふ、初依頼成功はつい嬉しくなるものね、ジンは上手く説明出来たかしら?

ギルドの書庫にも薬草の種類や採取の方法が書いた本があるからそれも読んでみてね?勉強になると思うわ。

ギルドの施設はギルド員なら無料で開放しているから有効に活用して頂戴。

今日は魔物の素材を持ち込んでないから戦闘はなかったかもしれないけど、これからどんどん戦闘も増えて来ると思うから極力怪我の無いようにね。

…報酬の準備が出来たわ、これが今回の報酬の銀貨4枚大銅貨3枚よ、普通は他の依頼と一緒に見つけた薬草を採取するからこれ位の値段になるの。

ギルドにお金を預け入れておく事も出来るけどどうする?…そう今回は必要無いのね。

全てのギルドで引き出しが可能だから何時でも利用してね。

それじゃあ今回はお疲れ様、これからの活躍に期待しているわね」


僕らは貰ったお金の内銀貨2枚と大銅貨3枚をジンさんに渡して銀貨1枚ずつカイルと僕で貰った。


本当はジンさんにもっと渡したかったんだけどこれで良いってジンさんは言うし、お金を貯めたいから有難く貰っておいた。


明日は。今日初依頼だった事もあり思ってるより疲れてるだろうからと依頼をしないとの事だ。


だから明日は鍛錬の後に父さんの残してくれたお金をギルドに預けるのと書庫を利用しようと考えながら家に帰った。

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