世界は廻る
君は、ぼくのことが好きだと言った。
ぼく以外の男は男に見えないと言った。
なんて変な奴だと思った。
手を繋いだ。
ふししって君が笑った。
何なのってぼくが聞いたら
この手の繋ぎ方赤ちゃんとお母さんみたいって言った。
訳わかんないよってぼくが言うと、
君はもっと楽しそうに笑った。
ほんと変な奴だなあって思ったけど、なんかわかるような気がして
ぼくも ひふっ、て笑った。
たぶん僕らは似ているんだ。
僕らにしかわからない世界が確かに今ここに存在している。
ぼくと君以外は立ち入り禁止なのだ。
一生この世界に常識はいらない。
必要なのはぼくと君と雑学と愛の言葉だけだ。
君がいなくなったら、この世界は崩壊する。
ぼくも崩壊するし、愛の言葉だっていえない。
きみがいなくなったら、ぼくはどうやって生きていこうか。
まず、君の写真を毎日眺めるよ。
それから昨日食べたものと今食べたいものを話すよ。
ぼくらにしかわからない話をこしょこしょ話でするよ。
必要だったら盛り塩だってする。
それで君が笑ってくれるならね。
でもさ、君は笑っているんだろうか?
ぼくはたぶん君に気づいてあげられない。
見えなくなって、幽霊になった君をきっと見つけてあげられない。
君は寂しがり屋だからきっとワンワン泣いてるだろうね。
ぼくの頭をずっと叩いてるんだろう。
そんな事されててもぼくは気づけない。
もう君の姿は見れない。
愛の言葉を囁いても、君の照れた顔を見れないんだ。
それはちょっと嫌だな。いやだいぶ嫌だ。
どんな顔して笑っているのか、
それより泣いていないか、それだけがぼくは心配だ。