入学式の桜
ふと上を見上げるとそこには満開の桜と
その隙間から見える青空。
「この景色、あなたも見ていてくれてるよね…」
今思えば、私のすべてはあなたに捧げてきた。なのになんで…"消えちゃったの…?"
_________5年前__________________
ある春の入学式。
橋田明日香は西嶋高校の校門を
くぐり、ざわざわとした教室に淋しく座っていた。
「おっはよぉ★」
大声で廊下から走ってきたのは…
水樹波留だ。噂の大阪からの生徒だが
ここにいる誰もを知らないはずなのに
軽々しく声をかけ、たくさんの人々を
集めていた。
すると急に風が
ビュゥーーーー
とふき、明日香がふと窓の方を向いた。
「わっ!!」
明日香は隣にヘッドホンで音楽を聞いている
男子がいる事にきずき、驚きを隠せず
大声でクラスを張り詰めた。
「 ど、どうしたの橋田さん?」
こう声をかけたのはこのクラスで1番可愛い
西園寺茉莉恵。西園寺は西園寺弁護事務所の
社長を父に持つお嬢様。手首には金に光る
物をつけていた。
西園寺のおかげでクラスの空気が戻った。
「はぁよかったぁ。」
すると明日香はヘッドホン男がこちらを見つめている事にきずく。思い切って
「ねぇ何中から来たの?今何聞いてんの?」
と、少し妹っぽく上からで質問攻めをした。
そのヘッドホン男子は
「東春海中。」
と答えた。無口な割には意外にも声を返してくれた。
明日香は続けて質問。
「じゃぁ名前は?」
「坂口俊介。…あのさ、こっちも質問していい?」と、答える。
明日香は
「なになに?」
と、興味深々に待つ。
俊介は数秒間黙り
やっと口に出した。
「あんたってさ、橋田明日香だよね。
今日空いてる?行きたいとこがあるんだけど。」
いきなりの誘いに明日香は固まった。
「うん。暇だし!じゃあ一時に夕美公園で。」とりあえずこう答えた。
そして約束の一時。
一人公園で明日香は彼を待っていた。
三十分後、彼はヘッドホンを着けて
のろまにこちらへ向かって来た。
「いこうか。」
遅れた事に謝りもせずに彼はこういった。
でも明日香は作業着姿の俊介を見て、
バイトだったんだと思い、怒鳴りはしなかった。
公園を出て徒歩で歩いた。
五分くらいたったその時
俊介がいきなりの明日香にアイマスクを着けた。
「えっ、ちょちょっと…。」
明日香は戸惑いを隠しきれない。
俊介は明日香の抵抗を押しながら明日香を誘導し
そして少し静かな場所に立たせた。
明日香は少し嫌な気配を感じていた。
ホテルなんかにつれてかれたらどうしよう。
そんな事を考えてるうちに
「もうとっていいぞ。」
明日香がアイマスク外す。
するとそこには…