4話 とりあえず生き残ろう
神々の代理ゲーム 4話 とりあえず生き残ろう
―――2ヶ月後―――
俺が羽虫こと 本の聖霊チェコと出会って
2か月がたった。
あの後、お互いに自己紹介をしようと思ったのだが
なんと羽虫には名前が無かった。
しいて言うなら 〈“神々の知恵庫”の聖霊〉 になるらしい。
俺が、それは役職だろうと思って つっこんだら
今まで必要なかったから無いといったので、いつまでもお前では味気ないし
俺がつけることにした。
最初は〈知恵庫〉からとって 知恵子 にしようかと思ったのだが
バリバリ ファンタジーな妖精の外見に
純和風の名前は合わなかったので
知恵子 → チエコ → チェコ となった。
まぁ 別に呼びやすければいいだろうと思って深く考えなかったのだが
羽虫は とりあえず喜んでいたから良しとしよう。
次には 俺の名前を紹介したのだが
まぁ当然 八島涼也は 前世の名前だ。
今の名前は 母が話してる言語が理解できず
分からなかったのだが
本の能力で調べた チェコに教えてもらった。
神の神器を使って 最初に自分の名前を調べるとは……
……アホみたいだが 仕方ないだろうさ
というわけで 今世の名前は
ミスト・フェルター・ゼルムス・フォーラン・クラッケム だそうだ。
“天才の頭脳”の完全記憶がなかったら覚えるのに時間がかかったことだろう。
しかも 俺は名前から てっきり外人だと思っていた。
ぼんやりだったが 母の顔も黒髪に赤の入った褐色の肌だったので
そう思っていたのだが
良く見えるようになってから 母の顔を見たら
とがった耳! 紅い目! 人間離れした美貌!!
と ぶっちゃけ人じゃなかった……
チェコに聞いたら ダークエルフという種族のようだった。
暗黒神の話では いろんな種族がいるとは聞いていたが
当然 人間に生まれたものだと思っていたので 正直ビビった。
ついでに聞いた 俺の外見は
とがった耳と銀髪 紅目で褐色の肌というものだった。
ダークエルフの中では特に目立つようなものではないと言ってたが
前世の感覚で 不良じゃないか と思ってしまった……
確か ギャル男とか 言ってた気がする………
まぁ 俺の外見は置いといて
いろいろなことをチェコと話した。
最初は 俺の命をかけることになるだろう神器についてだ。
この本は 調べものをするたびに魔力を消耗するらしい。
最初の虚脱症状は 契約時に魔力を使ったことと
チェコが顕現するために大量に使ってしまったから起きたらしい。
しかも 調べる知識がアクセス権限の低い方なら魔力は少なくて良いのだが
高位の神の知識を調べるには 莫大な魔力が必要で
今の状態では不可能だとわかった。
まぁ 成長して増えれば出来るかもしれないと言っていたし
高位の神の知識なんて 人に必要か 分からないので気にしていない。
ああ ついでに
チェコが 最初 アホの子みたいな
しゃべり方をしていたのは俺が完全に本と契約してなかったかららしい。
本にさわって 持ち主と認められたため
俺とのつながりが強くなり 完全に顕現できたそうだ。
そして 次に話したのは
この代理ゲームのことだ。
俺がこの良く分からない状態になっている原因とも呼べるものだが
良く考えてみると暗黒神から
負けを認めさせればいい としか聞いていない。
というわけで チェコに聞いたのだが
やはり もっと詳しいルールがあった。
というか 代理ゲームという名称からして正確じゃないらしい。
暗黒神に ふざけんな! と思ったが
本当の名称は最高神が名付けた とてつもなく長くて面倒な名前であった。
まぁ 今ではいちいち 言うのがめんどいので代理ゲームと言っている。
そして 代理ゲームの解説をしてもらったのだが
まず 代行者と呼ばれる存在は 俺を合わせて6人いるらしい。
なんでも 昔 5つにわかれて
戦争していた派閥の代表が選んだそうだ。
1つ 数が合わないと思ったら
戦いが嫌いな 平和主義者の神たちのグループらしい。
一応 名称は
1 聖光神サイド
2 戦闘神サイド
3 創造神サイド
4 智慧神サイド
5 平和神サイド
6 暗黒神
の6つだそうだ。
なぜ 我が暗黒神様はサイドがついてないかというと
………暗黒神 1柱しかいないから
…え?
と思って 聞いてみると
昔の戦争時に かなり好き勝手やっていたみたいだ。
管理よりも 殺し合いの方が楽しかったらしく
ひたすら 負けそうな方を助けては 戦争を長引かせてたらしい。
暗黒神がいなければ戦争は100年もかからなかったと言われてるほどだ。
しかも 神の戦争から代理人の戦争になったのも
暗黒神VSそれ以外の神 になってしまった戦況を覆すためにやった攻撃で
3000ほどの世界を滅ぼしかけたからだそうだ。
……はぁ
さらに ぶっちゃけると
暗黒神が 最高神に一番近い実力を持っているのだが
享楽主義者で 最高神の位に これっぽっちも興味が無かったため
わざわざ ランク決めをして
自分の力を自覚してもらおうとしたのに
むしろ 神界を乱すだけになったらしい。
それで今回は 戦争に参加しなかったはずの平和神サイドまでも
暗黒神が 最高神になるのを防ぐために参加したそうだ。
……もう 負けた方がいいんじゃないか
とも 思ったが
負けたら 永遠に拷問されることになっている。
それに死にたくないので とりあえずは生きるために頑張ることにして
深く考えないことにした。
そして 今度は 勝敗の決め方だ。
暗黒神からは 負けを認めさせればいいと聞いたが
正確には
20歳に成長したら お互いの位置がわかる
レーダーのような力がもらえるから 相手を見つけて
1 代行者同士で 何かゲームをして 相手に負けを認めさせる
2 相手の神器を破壊する
3 相手を殺す
のどれか1つでいいそうだ。
………おぉっぉっぉぉっぉおおいいいいいいい!!!!!
2と3聞いてないぞ!!!!
特に3つ目ぇぇっぇええええ!!!
と 錯乱したが
チェコが言うには
おそらく 最高神様が 高位神たちに説明した時に
暗黒神が ちゃんと聞いてなかったからでは ないかといっていた。
………はぁ なんて言ったらいいんだ?
ついでに言うと 1か2で決着だった場合、
生きていても もらった3つの能力は弱体化するため
凡人に戻るのだそうだ。
しかし 俺以外の代行者は戦闘用神器ばかりなので
全員が2か3を狙ってくる可能性が高いらしい。
その上 神器を破壊されると
チェコは 死んでしまうらしい。
なので 2は絶対に禁止となった。
俺としても いきなりの異世界で唯一 しゃべれる相手として
情も愛着も あったため 承諾した。
……………はぁ
そして 最後に この世界について教えてもらった。
言語は 共通語がある。
しかし 古代語やら特殊言語もあるらしい。
まぁ とりあえずは共通語を教わることになった。
種族は ほんとうにいっぱいいた。
あまりに多すぎて天才の頭脳じゃなかったら
覚えるのは不可能だったろう。
ただ おおざっぱにいって 魔族 獣人 亜人の3種だそうだ。
すこし例外もいるらしいが まぁいいだろう。
思い出したくもないことだからな。
ああ ついでに言うと 人間は亜人に分類されていた。
特徴は 平均的な能力、そこそこの成長力、大抵のことはできる、数が多いであった。
俺のダークエルフも亜人だったが こちらの特徴は
エルフに 魔族並みの魔力・魔法技能、高い身体能力を足したものらしい。
馬鹿みたいにハイスペックだった。
なぜだ? と思ったら
理由としては 千年前の代理戦争の時に
平和を愛するエルフが戦いを強制された結果。
一部のエルフが力に狂い 敵だった暗黒神にさえ 力を願ったらしい。
その結果 戦闘種族と呼んでいいほどの能力を手に入れたが
エルフからは 裏切り者として嫌われている上に
もともとの数が少なく
しかも ほとんどの男が戦闘狂で早死にするため
数が増えなくて いまだに国すらつくってないそうだ…。
まぁ 戦いの才能があるのは有利なので
深くは考えない。
…………はぁ
他にもいろいろ 教えてもらったが
まぁいいだろう 面倒だしな
機会があったら思い出す。
そして いよいよ 今日は魔法を使ってみることにしたのだ。
まぁ 魔力があったのだから 魔法もあってもおかしくないが
元地球人としては ちょっと興奮してしまう。
魔法の理論は1週間前から
チェコに教わっていたので
いろいろと研究してみた。
しかも 本の力を使うと さまざまな異世界の魔法術式まで
知ることができるので 天才の頭脳によって
魔法の改良や合成まで できてしまった!
チェコが言うには
魔法の改良なんて普通は十年、二十年単位で おこなうものらしい。
まぁ 高度魔法文明世界の術式を この世界風にアレンジして
いろいろ便利そうな付加魔法を混ぜただけだから
改良というより翻訳と整理だったかもしれないけどな………
……そんじゃ やるか!
(!! なによ ミスト いきなりどうしたの? )
……魔法を試すんだ
……初めてつかうが なんか出来そうな気がするから 大丈夫だろう
(暴発して 死なないでよ?)
…………やる気をなくさせる言葉を言うな
………ふぅ
……んじゃ やるぞ?
俺は意識を集中した。
とりあえずは4話まで修正しました。
読みやすくなったのでしょうか?