2話 3つの神力
神々の代理ゲーム 2話 3つの神力
……代理人?
「そう 代理人だよ」
「最高神のじいさんが言うには 神々のしごとで一番大切なのは最高神しか創ることができない 魂の管理なんだってさ」
……へぇ~ 最高神様しか魂は創れないのか
「それで 最高神になるには魂を上手く扱えるものがふさわしいと言ったんだよ」
……5千年の戦争は何だったんだ?
「まったくだね」
「まぁ というわけで高位神たちに自分の力で“これぞ”って思うような 魂を見つけてきて」
「そいつらに戦わせればいいということになったのさ」
……ふぅ~ん なるほど
……え?
「…………殺し合いですか?」
「ハハッ まさか ただ殺し合わせるなんて不毛だし つまらないよ」
……つ つまらないって
「ルールはね なんでもいいから 相手に負けを認めさせるんだって」
……負けを認めさせる?
「そうだよ さっき言った 最高神のじいさんが創った世界〈アリアオーネ〉でね」
………あれ? …それって戦争と魔物の世界じゃ?
「いや 今では戦争はしてないようだよ? まぁ 神たちが戦争させてたんだ」
「その神たちからの干渉が無ければ 平和に暮らそうとするだろうさ」
……平和な世界なのか
「もっとも 魔物は死ぬほどいるけどねぇ」
………そうでした
「というよりは 魔物が強すぎて戦争なんかしてる暇がないそうだね」
「今では ほとんどの種族が国をつくってお互いに協力しているらしいよ」
……神様が創った目的とは真逆だな
「そして もうわかってると思うけど 我が暗黒神サイドからは君に行ってもらうんだ」
……やっぱり
……というか お願いじゃなくて決定事項になってる………
「せっかく ここまで説明したのに やめる じゃぁ 僕の説明が無駄になるだろう?」
………くっ 説明させたらダメだったのか
「まぁ あきらめなよ 得意なんだろう?」
一応 悩んでみたが
…………………はぁ
俺に選択肢は無さそうだ。
……わかった 諦めるとする
「物分かりがよくて助かるよ 無理やり押し付けるのは心苦しいからねぇ~」
…………声が笑っているぞ
「そんなことないさ プッハハハッ!」
……今までで一番の笑いだな……
「……もぉ いいです! でも いくら武道やってた 俺だってドラゴンや魔界があるような場所じゃ 即死だと思いますよ?」
………イメージ的に考えてさ
「たしかにね その世界でも最強種と呼ばれてる魔物たちを狩るには国家規模で動くか 英雄なんて呼ばれてるやつらが集まるらしいし………」
……やっぱりか……
「でも 今回は大丈夫だよ なんたって この僕の代わりに行ってもらうわけだからね」
……え?
「当然! 力を貸してあげるよ!」
……おお!
「と いっても ほかの神の代理人も力を貰っていると思うけどね?」
………それはそうだ
……敵は魔物以外にもいるんだった……
「しかも 今回は最高神のじいさんが使っていい神力を決めていてね」
「無茶な願いも聞けないんだよ」
……無茶な願い?
「そうだよ 例えば 不死身とか存在最強みたいなものは無理かな」
……まぁ それじゃ勝負にならないからな
「というわけで 願いを3つかなえてあげれるよ」
……3つ?
「そう じいさんが言うには 3つの能力と1つの神器を持たせろってね」
「それじゃ 何が欲しいかな?」
……うーん いきなり言われてもな……
「ん?! おっと! ヤバいなぁ 時間がなくなってきたよ 早く決めてくれるかい?」
……な! この状況で焦らせるとか …鬼畜だろ
「そうだった! 言い忘れてたけど 今回は神力に制限があるからね!」
「ものすごく強い能力を1つ選ぶと 残りの2つは神力不足で弱い能力になってしまうんだ!」
「そこらへんの 計算もしなくちゃならないよ!」
……おいおい 面倒だな
……くそっ 突然すぎて 頭が回らないぞ……
……もっと 情報はないのか……
「ああ! ダメだ! 最高神のじいさんが早くエントリーしないと失格だってさ!」
……え? 大丈夫なのか? それ?
「大丈夫じゃないって!! っち! 仕方ない! 今望んでいるモノを3つあげるから頑張れよ!」
「……ちょっと待ってください! いくらなんでm―――」
「くっそ~! 候補者探しをさぼるんじゃなかった!」
「締め切り当日に言うとか ひどいよな! 完全に忘れてたし!」
『-------------』
文句を言おうとしたが
暗黒神にさえぎられる。
しかも暗黒神が何かつぶやくと 目の前が真っ白になってしまう。
『頑張れよ! 負けたら! 僕の世界に連れてきて不死身にしてから永遠に! 発狂も許さない拷問だからな~~!』
暗黒神の空間から消える瞬間に
届いた言葉は空耳だったと思いたい……
こうして 俺は良く分からないまま
良く分からない能力を手に入れ
魔物という化け物だらけの世界へ落とされることになり
神々のゲームに参加させられた。
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