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神々の代理ゲーム  作者: AAA
第二章
21/21

20話 解き放たれた魔人

小説お気に入り登録が1500を超えました。応援してくださってる人たちは本当にありがとうございます。

神々の代理ゲーム 20話 解き放たれた魔人















俺は酷く混乱していた。



彼女の血が顔に降りかって来たのだ。



「……あが、 うぁ ぁあっぁ… ぃぁあぁ ■■が■■ぁ■……■ぃ■■…」



自分の口からは言葉にならない何かが漏れている。



今 目の前で起きたことが理解できないのだ。



いや 違うだろう。



頭では理解できている。



ただ単純に心が受け入れてくれない。



確かに ノムランさんたちの死は俺の精神に限界近いダメージを与えた。



しかし そこまでなら、まだ何とかなったのかもしれない。



でも もうダメだ。



もうダメだ!



もうダメだ!!



もうダメなんだ!!!!!!!!!



受け止めた彼女の体を抱きしめながら、自分の心が保てなくなっていくのがわかってしまう。



「……ぁ■■ぅ■■! ■ぁ■…■■が■…■■!」



心の奥底にあったものが、心の無意識の部分に封印していたものが出てくるのがわかる。



「……■■ぃ■■ ■ゃ■■ ■」



前に暗黒神が俺を代行者に選んだ理由がわからないと言ったが、単に気付きたくなかっただけかもしれない。



自分が壊れてしまわないように。













精神 つまり心には壊れてしまわないように 無意識にバランスをとるための防衛機制というものが備わっている。



例えば 〔合理化〕と言って失敗や嫌な出来事に理由をつけて 心に仕方のなかったことだと誤魔化す方法。



例えば 〔昇華〕と言って不安や葛藤などをスポーツや違う目標を作って、達成することにより 本来の不満を忘れる方法。



そして〔抑圧〕。 これは嫌な出来事、辛いことなどの気に入らない感情・欲動の全てを心の奥底に抑え込んで一切思い出せないようにしてしまう方法だ。






俺は前世で幼いころに両親をなくし、叔父に騙され、すべてを失った。



そのような出来事を体験した俺の心は大丈夫だったのか?



もちろんそんなわけがない。



その時 俺の心がとった行動は受け入れたくないものを、感情の大部分を、心の奥底に閉じ込めることだった。



当然だ。そんな辛い現実を8歳児だった俺には受け入れなかったのだ。



不安定だった俺を師匠は愛情と稽古で、なんとか日常生活を送れるようにしてくれたが、それは感情が少し出てくるようになったということだけだ。



かわらずに俺の心は根底に抑圧されていた。



考えてみれば、



諦め癖だったのは 単純に不満を心が無意識のうちに抑圧していて感じていなかったから簡単に諦められただけだ。



正義心が強かったのは 嫌なことはすべて奥底に閉じ込めてあったので 前だけを向いていただけだ。



そうやって 俺の心は前世の8歳の時からあらゆる嫌な出来事を奥底に封印してきた。



しかも 師匠との稽古によって、無力なのがいけなかったと合理化して 勉強や武道にうちこんで忘れようとしていた。



それこそ せっかくやり直せると思った今世でも 母や村人と一緒にいる時間を多く取らなかったのは無意識のうちに前世のことを思い出さないようにしていたのかもしれない。



しかし



もうダメだった。



ノムランさんたちの死だけだったら、自分がいないところで起きてしまったことだと誤魔化せたかもしれない。



コリエルフィンさんが倒れていることも、彼女が勝手に飛び出したことだと理屈をつけれたかもしれない。



どちらかだけなら 何とかなったかもしれない。



しかし 力があるのに全てを失おうとしている。そのことが俺を確実に壊してしまっている。



もう耐えれなかった。



「……ククククハハハハハ カカカッカカカカカ!!!!!」



何より もう耐えたくなかった。



もうすべてが どうでもよくなってきてしまった。



だから



動かない彼女を抱きしめながら 笑っていた。



そんな彼女を見ながら 俺は笑っていた。



そして



「……こんなこと 認めないよ」



口調はいつもの俺じゃなかった。



「……こんなこと 認めてやるもんか」



ポツリポツリと口から出ていた。



しかし ふらついていた視線が、暴走して暴れていた俺の魔力に驚いて固まっていた男たちに固定されると



「……こんなこと(げんじつ)認めてやらねーよ!!!!」



そう叫ぶと同時に 地中に潜ませていた10体ほどの守護者が敵に飛び掛かっていった。



しかし それで固まっていた敵も反応して我を取り戻し動きだした。



だが そんなことを見ていなかった。



なぜなら 俺は神器の中に “神々の知恵庫”の中に入っていたからだ。



そして ある情報を見ていた。



ある禁忌とされる魔法を見ていた。



この世界で最も嫌われている人物の魔法を見ていた。



そして 一瞬で全てを見ると



「……<魔人転生>」



ある禁断の秘義を発動させた。



影から闇が立ちのぼり 体を覆う。



闇に覆われて見えなくなった瞬間。



視界が反転して 立っているのさえ難しい激痛が走る。だが意地でも倒れないように唇を噛み締めて 現実(てき)を睨めつける。



そして 体中が激痛とともに 創り変わっていくのに耐える。



きれいな銀髪だった髪は漆黒に。



紅色だった瞳は白眼の部分さえも全て黒く染まり。



肉体も6歳児の体から戦いに相応しいものに強引に成長させていく。



爪がとがり、体の各所に魔力で角らしきものすらできた。



そのように体のあちこちが創り変わるが 同時に掌握していく。



1分ほどで激痛が終わり 自分が自分で無くなったことを認識すると同時に新たな自分に適合していく。



そして10秒ほどで全てを終えて 目の前の戦いを見る。



目の前の派手な甲冑どもは守護者10体と互角に戦っている。



当然だろう。



殺さないように命令してあったし、協力者の能力なら全力でやらせても互角に戦えるかもしれないほどの能力は持っていた。



だから 10体に戦いをやめさせる。



そして 自ら戦おうと 俺を見て顔面を蒼白させていた騎士の1人の顔を掴むが



クニャリ



何の抵抗もなく拳は握りこんでしまった。



その時になって 騎士全体が俺の変化に気付いたのだろう。



ほとんどの騎士たちは顔を蒼白にさせている。



そこに 俺は



「……ダークエルフなんて狩らなくても もっとすごい功績を上げれるぞ?」



「……よかったな 伝説の英雄たちへ仲間入りのチャンスだ」



と言って 戦闘神の神器を軽く振るい 1人の首を落とす。



そうすると 法衣を着た神職らしい男が



「くく 黒目黒髪に…禍々しい魔力…‥‥… ま まま まじん?」



俺は笑いながら



「……すごい正解だ 物知りだな~」



とそいつの横にヒュッと反応できない速度で移動して肩を叩くが



パー―ーンッ!



叩かれた男は体の半分が消滅した。



そうすると 3人も()られて ようやく



「た たたたたた たおせ! 倒すんだ!! 魔人だぞ!!」



御輿(みこし)に乗った あの協力者が(わめ)き始めた。



俺はそれに



「……そうだぞ? お前の能力を使えば 俺を殺せるかもしれん」



ニヤニヤと煽ってやる。



実際に あの協力者の能力は強力なものだった。



その能力とはあいつが広げた力のフィールド内にいる味方の兵士の力を1つに合わせるというものだ。



最初の不意打ちの魔法の時だって 俺が気付いてからの短時間で撃たれた魔法なのに地面を吹き飛ばすほど強力だったのはそのせいだ。



簡単に言えば 200人分の魔力で撃ったんだからな。



『魔弾の射手』が弾かれたのだって200人分の防御力を貫けなかったからだ。



一応 千人までしか無理なようだがそれでも凄いことだろう。



しかも そのフィールドは高位神からもらった能力だった故に、その中にいた他の兵士たちやギリギリ入っていたコリエルフィンも チェコの検索から違和感を感じるくらいになってしまっていた。



と神器から情報を冷静に推察していくが



……まぁ 今さらどうでもいいことだ



と考えなおして



果敢にも槍を突こうとしてきた甲冑の攻撃を掴み、曲げて、持ち主の頭にさしてやる。



そして 周囲に響くように



「……オイオイ! 何やってんだ?! 数が減ったらピンチになっちまうだろうが!!」



とご機嫌に嘲笑(ワライ)ながら叫んでやる。



その言葉に少しは冷静になったのか、集団で攻撃しようとするが



俺が戦斧を巨大化させて 横に振るっただけで20人ほどが上半身と下半身がお別れしてしまった。



「……クカカカッカカ!! ほれほれ 早くしないと能力の強化がなくなっちまうぞぉ!!」



と言いながら 次々に屠っていく。



半分近く そうやって殺していくと



「ににに 逃げろ!! 逃げるんだ!!」



と 御輿から飛び降りて すでに逃げている あのクズ男が目に入った。



俺は一番最後に殺してやろうと思っていたのだが、



仲間を置いて逃げていく後ろ姿を見ていると 急につまらなくなって



「……っち! 俺の敵なら 敵らしく戦えぇぇっぇええええ!!」



と言ったんだが そのセリフを聞いても さらに悲鳴をあげて逃げるだけだった。



俺は完全に興味を失って、1人1人楽しく殺してやろうと思っていたのにと残念に思いながら 広範囲魔法で消し飛ばそうかと思ったが面白いことを思いつく。



騎士たちは リーダーが逃げたからか 全員逃げ始めている。



それを薄く笑いながら 地面に手を触れる。



そして



「……喰らってやれ <百鬼夜行>!」



また禁忌とされる魔法を発動させた。



逃げている騎士を見ながら 魔法が発動するのをニヤニヤ笑いながら待つ。



俺が発動させたのは条件が厳しいものだったが 運良く条件が整っていた。



そう今この場には 最初に俺が殺した800人の兵士が埋められている。



しかも 100人ほど追加で死体が散乱していた。



そいつらが ズズズズズズ と動き始め または地面から飛び出して逃げていく元仲間を喰らい始めたのだ。



「ギャーー なんだこれh―」



と叫ぼうとした男は 死後の世界に行こうとしていたのを 無理矢理戻された魂に取り込まれて心が壊され、死霊たちに喰われた。



「神よ! 聖光神さま! どうか我らをお救いください!」



と叫んでいた奴も叫びを終わると同時に甲冑を着た死体たちに喰われた。



そんなパニックになった騎士たちを見ながら、地獄絵図ともいえる場所を歩いて 腰を抜かしている1人の男に近づいて行く。



そいつは死霊たち囲まれて動けなくなりぶつぶつと



「おかしい おかしい おかしいぞ 巫女姫様に【最善】を見てもらったのに 何故だ? 何故なんだ? 何故こんなことになっているんだ!」



独り言を言っていたが、俺に気付くと



「たた たたた 助けてくれ!! 私は便利だぞ! 戦場で役に立てる男だ!!」



「お前に いやぁ 貴方様に協力します!! 協力させてください!! 忠誠を誓います!!」



と縋りついてきた。



俺はそれを見て にっこり笑うと



「……そうか じゃあ協力してもらおうかな」



とやさしく言ってやった。



たちまち クズ男は笑顔になって



「ほっ本当ですか! ありがとうございます!! さすがは魔王さまだ! 見る目がある!」



と媚を売りはじめた。



俺はそれを見ながら 笑顔でクズ男の胸にあるものを押し付けた。



「こ これは? 何でございましょう?」



と疑問を聞いてきたクズ男に答えてやる。



「……こいつはな “創造神の神鉄板”と言ってな」



「……力を注入することによって 武具が創れるんだ」



クズ男はポカンとしたまま よく意味がわからなかったのか



「そそうですか それは素晴らしいものですね」



と良く分からないまま褒めていたが



「……そうだろう? それでな お前に任務をくれてやる」



「えっ に、任務ですか?」



「……そうだ 俺に忠誠を誓うのだろう?」



「はっはい! 喜んで受け賜ります!」



その言葉に俺は笑いながら



「……そうか それは良かった」



「……じゃあ 魂力を全てくれ」



そう言って笑うと クズ男は意味がわからなかったのか



「えっと? どういっぐううぐぐがあがあっがあああああ」



聞こうとしたが 途中で胸に神器をねじりこんでやった。



そして 魔力やら魂力などの力を全て 神器に注入するとミイラになった死体を投げ捨てて 死霊どもに喰わせる。



新しく出来た武器を手で弄びながら



敵がすでに1人もいなくなっているのを確認すると



「……ふぅ さて 最後の我がままだな」



と言って 何故か 死霊どもが近づかない空間の真ん中に横たまっている 彼女の方へ歩いていった。







コリーは助かるのか!!


主人公はどうなるのか!!

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