1話 神々の事情
神々の代理ゲーム 1話 神々の事情
目を覚ますと周りは真っ暗だった。
とりあえず、電気をつけようとベッドからスイッチの方向に手を伸ばそうとするが、
おかしかいことに気がつく。
ここは自分の部屋じゃない。
それどころか体の感覚がない!
というか体が存在していない!?!
一瞬パニックになって何があったのか、思い出そうとすると、
叔父に殺されたことを思い出す。
「……あぁ、俺、死んだのか」
ため息をついたが肉体がないので出来たか分からない。
諦めてボケっと、死後の世界なんて信じてなかったが、この真っ暗なところがそうなのかな~と思っていたら。
「そうだよ。きみは死んでしまったんだよ」
凄みがあるのに、どこか若々しい少年のような、何とも言えない声が響いてきた。
「……だ、誰ですか?…ど、何処にいるんです?」
口調が丁寧になったが、その声にはそれをさせるだけの何かがあったと思う。
「ハハッ、僕かい? そうだねぇ、神様かな。……………もっとも暗黒神だけどさ」
……神様か、…まぁ、死んでしまったのだからしょうがない。
……納得しよう。うん、神様。神様。
………ちょっと最後に物騒な単語が聞こえたけど勘違いだろう。
「いやぁ、勘違いじゃないよ。ほかの神からは暗黒神や混沌神とか邪神なんて呼ばれているね」
……え?口に出してないのに。
「ここは僕の空間だからね。まぁ、思考を読むくらいできるさ」
「……そ、そうですか」
そんなこと言われると考えがまっしろになってしまうじゃないか。
まぁ、だけど、しかたない。
ここは落ち着いていこう。
「……えっと、俺って地獄にいくんですか?」
……暗黒神って…。
……あんな死に方したのに さらに地獄行きかよ。
……俺ってなんかに呪われてるのか?
……何か悪いことしたっけな?
「ん? ああ、違うよ。僕の管轄は地獄でも冥界でもないさ」
……え?
「暗黒神という名におどろかせてしまったかい?」
……???
「あぁ、困惑してるね? ハハッ、じゃあ、からかうのはこのくらいにしておこうかな」
……からかってたのかよ…。
がくっと力尽きそうになるぞ。
「じゃあ、僕も忙しいし、そろそろ説明をするよ。聞いていてくれ」
まぁ、こちらとしても早く説明してもらいたい。
おとなしく聞こう。
「さてと、まず、さっきも言ったけど、“僕は暗黒神だ”」
最後の一言は、厳かな・圧倒的な力を感じさせる声だった。
神といわれても納得できるほどの格を感じさせる。
体のない意識だけの現状じゃ、声だけで消滅しそうな気さえする。
「とは言っても、力の性質では闇属性が強くて、神の中じゃ一番闇を使うのが上手かったから、そう呼ばれているんだけどさ」
声のトーンが戻る。
少し震えるが、話の内容を理解しようとする。
……てことは別に悪い神様じゃないのか。
「次に、きみをここに呼んだ理由だね」
俺の思考には返答せずに、どこか楽しげな声に変えて説明を始める。
「普通は死んだらその世界を管理してる神か、その天使あたりによって何らかの処置をされるんだけど……………」
……なんだ。…なんか悪い笑顔してる気がする。
「きみにお願いがあってね。無理言って連れてきたのさ」
……お願い?
「そう!僕の代理人としてね、とあるゲームに参加してほしいんだ!」
……???代理人?ゲーム?どういうことだ????
「まぁ、話せば長いんだけどね。簡単に言うと最高神の後継者争いだよ」
……後継者争い?
「むかし、最高神のじいさんがさ」
どこか懐かしげで、楽しかった過去を振り返るようにしゃべり始める。
「神々たちにランク決めして、もっとも優秀だったやつに最高神の位を譲るって言ったんだよね」
……へぇ~。
「最初は高位神の中で話し合いだったんだけど、戦いの得意な“闘神”や“戦神”の連中がね。優劣を決めるのには戦いが一番だって、ほかの神々にケンカを売ったのさ」
……なんて893な神様だ。
「神々も乗り気じゃなかったんだけど、あっちから襲ってくるんじゃ仕方なくって反撃したんだよ。もっとも最高神を決める戦いだから、始めは高位の神たちしか参加してなかったんだけど」
……まぁ、そりゃそうだ。
「でも、戦いが不得手な高位の神たちが協力したり、上位神や下位神たちも巻き込んでね」
……ん?
「そうなると、ほとんどの高位の神たちも上位神や下位神に協力するよう要請してね。そして、それが泥沼化しちゃって神々たちでいくつかに別れて戦争になったのさ」
……オイオイ、神様たちの戦争かよ。恐ろしな…。
「ただ、神ってのは不滅でね。体をバラバラにしてもチリにしても少し時間がたてば元に戻るのさ。そんな訳で不死身たちの戦争なんて、いつまでたっても終わらなくてねぇ」
そして、困ったようにため息をついた。
「ま、五千年ほど殺し合いしてたんだけどね。飽きてきた上に自分の世界の管理が滞ってさぁ」
……口調がだらけてきたな、…あきれてるのかな?
……というか五千年ってどんなけやってんだよ…。
「管理ができなけりゃ、ランク決めに響くってんで代理戦争をすることになったんだ」
……代理戦争?
「そうさ、最高神のじいさんに頼んでね。とてつもなく頑丈で広大な高位世界〈アリアオーネ〉を創ってもらったのさ」
……高位世界〈アリアオーネ〉?
「そして、そこに自分たちを信奉する種族を創ったり、管理してる世界の住人を連れてきたりして代わりに戦争させたんだ」
……か、代わりに戦争って!
「ただね。創れる種族ってのは自分の性質に影響されてしまってさ。当然、弱い種族も出てきてね。神たちの力で強化や加護したんだけど、当然相手だってしてくるし、神力を多く注ぎ込みすぎると魂も肉体も持たなくて5分もたたずに死んでしまうんだ」
……そりゃ、神様の力なんて大量に注ぎ込められたらな。
「まぁ、特攻隊として、やってた神もいたけど」
……………ひどくないか?…神様。
「そこで、それを打開しようとして登場したのが!
殺した相手から魂力の一部を奪って、徐々に強くなっていくという!
≪魂力殺奪成長評価制御術式≫!
通称“LVアップシステム”さ!!」
どこか自慢げな声とタメをつくっているが、物騒な単語が入ってるな。
「これなら魂や肉体に力を慣れさせながら強くなれるからね。しかも、知の神たちがどんな種族でも倒せるような経験値として、下位神に魔物というモンスターを創らせてさ」
……なんか、いきなりゲームみたいな展開だ。
「そいつらを殺して強く成長させてから戦争させたんだ」
……殺されるために創られたのか……、悲惨だな……。
「ただ当然、相手も同じようにやり始めてね。結局、ほとんど戦局的には意味なかったんだ」
……意味ないとか……、魔物…、不憫すぎだろ……。
「でもね。魂力の一部を奪うってシステムは相手が強ければ強いほど、奪える力が多くてね。またもや、知の神たちが今度は徐々に強い魔物を創って段階的に強くさせようとしたんだけど……。
相手も真似してってことになったんだ。
まぁ、ぶっちゃけると後半になったら魔物創りを楽しんでたやつもいたんだけどね」
……魔物創りを楽しむって、……人からしたら迷惑だな。
「それに下位神どころか上位神たちも思いつくままにどんどん創ってさ」
……いいのか それ?
「しかも、そのうちダンジョンや迷宮なんかも創ってね。
悪乗りでボスモンスターなんてものまで創って、倒すとレアアイテムが入手できるようにまでしたんだよ! ハハッ!」
……神様……落ち着いてくれ。悪乗りとか、やめてやれよ………。
「ただ、そうなってくると自分たちの創った種族たちから英雄がでて、どんどん強くなっていくのが楽しくなってね。
高位神たちまで競って迷宮を創り始めてしまったんだ」
…………高位の神様たち、最初の目的忘れてないか?
「そうして創っていくうちに最後には高位世界〈アリアオーネ〉の中に異界まで創ってしまってね。戦争そっちのけで魔界や竜界なんてものまで見栄で創ってしまったんだ」
……なぁ、完全に忘れてるだろ! 最初の目的!
「だけどね~。
そこで、ランク決めの結果を聞きに来た最高神のじいさんに管理をさぼってたのがばれたんだ。
しかも せっかく創った最高位の世界〈アリアオーネ〉は魔物だらけになっていて、
そこに住む種族は戦争と魔物によってボロボロになっている。
これには、さすがにじいさんもブチ切れて、ランク決めは中止。その世界に干渉することも禁止してしまったんだ」
……最高神様。…遅いです。
「それで、それから千年ほどたったんだけど」
……千年か、時間感覚が違うな。
「今度は最高神のじいさんが自らルールを決めて、ランク決めをやることになったんだ」
……最初から、そうすれば良かったのに。
「ハハッ、自主性を重んじたんだとさ」
……………何も言うまい。
「というわけで本題だよ。長かったねぇ」
……いよいよか。
「っふぅ…、状況説明だけで面倒になってきたかも」
「……え?いきなり、やる気ダウンですか」
……自由すぎません?
「神なんて、そんなものさ。基本的に気に入ったことしかしないよ」
……世界は大丈夫なのか? それで……。
「なぁに、天使たちが勝手に面倒なことはやってくれるだろうさ」
……天使さん、がんばってください。
「まぁいい、続けるかな」
こうやって、俺の悪夢は始まった。
「というわけで、最高神のじいさんが決めたルールってのは管理に影響がないように代理人でやることになったのさ」
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