16話 魔法を学ぶ
神々の代理ゲーム 16話 魔法を学ぶ
―――3年後―――
俺が代行者の2人を倒し
暗黒神と話してから3年がたっていた。
あの後 暗黒神からの連絡はない。
もう一度だけ連絡すると言っていたがしてくる様子はないし
こちらからじゃできないので もう気にしないことにしている。
それに俺は手に入れた2つの神器を使いこなすべく 訓練に明け暮れていたので気にしてる暇もなかった。
しかし そのおかげで上級魔物すら倒せるようになってきた。
これは すごいことだろう。
上級魔物は基本的に災害といってもいい
もし小国なら単体で滅ぼせるかもしれないのだ。
個人で狩れるのなんて昔の神代の戦争時代に 神の加護をもらってた奴らにしか無理だったろう。
まぁ 俺も似たようなものなので慢心しないことにしている。
なぜなら 俺に出来るということは他の戦闘用神器と能力を持った代行者たちにも狩れるということだ。
というわけで 自分を鍛えるのをやめることはしない。
そして 今日は
……チェコ 今日はノムランさんのとこに行こう
(あのおじいちゃんのとこ? 今日は研究なの?)
……ああ そうしようと思っている
ノムランさんとは村のはずれに住んでいる
元冒険者 兼 魔法研究家のおじいさんだ。
ただ 彼は冒険者で稼いだ大金のほとんどを本に使って
嫁さんに逃げられた 過去を持つほど
本が好きだ 本が好きだ 本が大好きだ
そのすごさは この村じゃ村長の次に大きな家に住んでいるのに
家の9割が本で埋まっているほどだ。
この世界では結構本は高価なのだが
それが 家の大部分を占めているのは驚愕の一言だろう。
というか 本を買うために稼ぎの良い冒険者になったらしい。
まぁ チェコさえ いれば
どんな優れた本の知識も一瞬で検索可能なんだが
通っている理由は俺が本好きなのと
ノムランさんがすごい人だから
簡単に言えば 誰も教えていない上に勉強もしてないのに
難しいことを知っていたら 異常だということ
ゆえに 村人にはノムランさんのところに遊びにいってることにしている。
ノムランさんは年のせいと 元々頭が良すぎて
何を言ってるのか わからない時があるので
村人は彼の話は半分くらいしか本気で聞かないし 理解もできない
ゆえに ノムランさんに教えてもらったとか
ノムランさんの本に書いてあったといえば
大抵のおかしなことは通ってしまうのだ。
まぁ そのおかげで頭がいい子だと
大人からはほめられるが 子どもたちからは本の虫と笑われている。
彼らは いまだに冒険者志望で訓練して
最近では 大人と一緒に狩りをしているので
本ばっかり読んでいるように見える俺のことを軟弱な奴だとでも 思っているのだろう。
もっとも 年が離れているので暴力的ないじめにはならないが
少しからかってくるのはうざいもんだ。
と ノムランさんの家に向かいながら考えていると
「ハァ! フッ! ヤァ!」
と 発声しながら剣を振っている少女がいた。
彼女はエデルさんの娘のコリエルフィンさんだ。
コリーとか呼ばれていて たしか12歳くらいだったはずだが
彼女も女性では少ない冒険者志望だ。
しかも 村の子供の中じゃ最強らしい
まぁ 6年前にエデルさんが帰ってきた当初から訓練を受けていて
エデルさんとともに下級魔物を狩りに行く日々をすごしているらしいから当然かもしれない。
エデルさんも1時間以上の激しい運動はダメだろうと思うのだが
可愛い娘からの頼みは断れないし
下級魔物に激しい運動なんてするわけない
と言って よく出かけては村人に心配と笑いを起こしている。
そんな彼女は長い銀髪をポニーテールにして
両親譲りで美形な顔を不機嫌そうに歪めながら 型らしい動きを繰り返していた。
元武道経験者から言わせれば
荒いけど 速いし たぶん才能はあるだろうと思う。
まぁ S級冒険者の娘だしな
と思って 邪魔にならないよう通り抜けようとすると
ジロリと一瞬だが睨まれた。
俺は えっ?と思ったのだが
すぐに フン と鼻を鳴らして
プイッと顔を逸らしながら 素振りに戻ってしまった。
まぁ 良く分からないが
少し見ていたのが気に食わなかったのかもと考えて
彼女は他の子供と違ってからかってくることはないが
不躾な目で見ていたなどと
変なこと言われたら困るので 立ち去ろうと
駆け足でノムランさんの家に急いだ。
ノムランさんの家につくと
「……こんにちわー」
といって 玄関を開けて中に入っていく。
おもいっきり 不法侵入だが
こんな小さい村で気にするような人はいない。
ノムランさんは気難しい人だし
この家にも本の盗難防止用に 許可がないと入れない結界などが張ってあるが
すでに 俺はこの家の住人であると登録してもらっているので スルーできる。
そうして 中に入っていくと
「また来よったか 悪たれが」
と言って 顔をしかめたおじいさんが出てきた。
「……今日も本を見せてもらいに来ました」
と俺が言うと
「かってにせい」
といって 台所に向かっていった。
ノムランさんは顔が怖くて 口も悪いが
来ると 必ずお茶と茶菓子をくれるし
家の結界についても何度か来て 本を見てるうちに
いつのまにか外されていた。
なので 拒否されているわけじゃなく
単に 年寄り特有の頑固なだけだろうと前世で 師匠との2人暮らしを体験している
俺は考えてるし 実際その通りだと思う。
その後 ノムランさんにもう一度挨拶をして
いつもの場所に行く
まぁ いつもの場所といっても本で埋まっている
この家で生活スペース以外に読むスペースを自分で作っているだけだが。
そして ノムランさんの本の中から
高等魔術大系論と魔導機械工学の2つを選んで
それの参考になりそうな本を数冊探す。
その後 それを読み始めると
ノムランさんが2人分のお茶の準備を持ってきた。
そして 自分と俺の分を入れると
俺の近くに1つおいて 自分の読書スペースに歩いていく
ノムランさんは俺が読んでいる本の内容は知っている
とてもじゃないが6歳児が読むもんではない。
しかし 俺が通い始めたころに寂しそうな顔で
「力とは過ぎれば 恐怖になる 気をつけい」
と言ったきり 俺については何も聞いてこない。
俺としてはありがたいし
何かわけありっぽいので
俺もノムランさんについては聞いていない。
そして ノムランさんから貰ったお茶に礼をいって飲みながら
これも ノムランさんに貰った 何度でも洗って使える羊皮紙に思いついた 発明やアイデアを書いていく。
完全記憶さえあれば書かなくてもいいんだが
紙に書いてあると
時々 ふとした拍子に並べたら面白いイメージが湧くことがあるし
ノムランさんに見てもらうと突拍子もないアイデアをくれるので なるべく書いておくことにする。
俺の魔法は チェコが先生だが異世界の魔法やこの世界の魔法についての
教科書の知識を教えてもらったようなものだ。
もちろん それを使いこなしていたつもりだが
歴戦の魔術師であるノムランさんによれば まだまだ教科書魔法らしい
さらに 真面目過ぎてつまらんとも言われた。
もちろん 異世界の技術については なるべくこちらの世界の魔法技術に似せてやったのだが
「魔法について 理解はしとるが体得しとらん」
と言われてしまった。
まぁ 実際に俺が考えた魔法だと
魔力不足の机上の空論や俺の能力を前提としたものが多かったので
使い勝手のいいものを増やせと言われている。
そこで 最近ハマっているのは
誰もが日常的に使える魔法技術の開発だ。
これもノムランさんからのアドバイスだが
実際に 誰でも使えると言うことは
魔力が少なく 難しくなくて 使いやすい上に
日常的に使う必要があるほど 便利なものを考えなくてはならない。
これは魔法を理解したうえで
さらに さまざまな効率面についても考えてと結構難しいんだが 楽しく感じてしまってる。
しかも 最近ではノムランさんが何も言わないから
異世界の魔法技術も結構さらしているんだが
ノムランさんからは
「この世の魔法体系にあっとらん 無駄が多いわ 改良せんか」
と言われた。
一瞬 ビクリとしたが
まぁ ノムランさんだからいいかと思っている。
というか 俺の頭脳についてこれてる ノムランさんはかなり化け物クラスの天才だろう。
そして いつものように書きためたのをノムランさんに持っていく。
ノムランさんは鋭い目つきで俺のことを見たが
これがノムランさんの通常だから気にしない。
ノムランさんは俺の乱雑なアイデア集を次々に見ていく。
ぶっちゃけ 思いつきで書いてるので
順番がめちゃくちゃだったり
落書きみたいなものもあるのに きっちり理解してくれる。
こちらとしても清書しなくて楽だからありがたいことだ。
もっとも 清書しても魔導師クラスの知識と天才的な魔法センスがないと
文字の羅列か 6歳児の落書きにしか見えないだろうが…
そんなことを考えていると
「ほう なるほどのう 面白いんじゃが…」
「雑さがない まるで芸術品のようじゃ」
「効率と精度を求めたんじゃろうが」
「これでは使い手によっては すぐ壊してしまうじゃろう」
「もっと雑に使ってもよいものをつくるんじゃな」
「雑な魔法でも 効果が出ると言うことは構築スピードがあがるということじゃ」
「さすれば 戦闘中なども それはいきてくるしのう」
と言って 自分の読書に戻った。
俺としては かなり頑張ってみたんだがまだまだらしい。
こうやって ノムランさんの知識は
この世界についての「生きてる知識」として俺はありがたく 教えてもらっている。
チェコの情報は完璧に正しいのだが
知識については 辞書や広辞苑のような知識なのだ。
逆に言って ほどほどの知識ともいうべきか
雑な知識を調べるのは面倒なのである。
しかも 未来が見えないということは新発明品がわからないので 開発するには自分でやるしかない。
なので ノムランさんに俺の魔法技術について口出ししてもらっている。
いくら天才の頭脳でも 学んでないのに知ることはできないからな。
それにノムランさんの知識は元冒険者だけあって
戦闘中に必要なことも さりげなく教えてくれる。
それが 結構役に立つし
面白かったりするので何度もここに通っているのだろう。
そうして 俺はダメだしされた資料をまとめて
自分のスペースに戻ろうとすると
「そうじゃった ワシはもう少ししたら出かけるからの」
「……出かける?」
俺が疑問に思ったのは単に外出するだけなら
俺がいても普通にしているからだ。
わざわざ 俺に教えることはない
「そうじゃ 街にの 新しい本がないか探しに行くんじゃ 2週間ほど空けることになるじゃろう」
「鍵は結界があるから必要ないからのう」
「空けて行くから 留守中はかってにせい」
と言って また本を読み始めた。
俺は不用心なのか 信頼されているのか
どっちだろうと思ったが
本持ち出し禁止の結界に自信があるのだろうと結論した。
そして
「……わかりました ありがとうございます」
と お辞儀をした後 自分の場所に戻る。
その後 チェコと一緒に
あーでもない こーでもないとか研究していたら
いつの間にか ノムランさんは出かけていた。
第2章入りました
ハーレム書くぞー 女の子書くぞーと思っていたら
お爺さんかいてました><
まぁ 章の1話なので複線はろうと頑張ったらこうなりました
たぶん 次から女の子出てくると思います