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神々の代理ゲーム  作者: AAA
第一章
15/21

14話 代行者の最後

神々の代理ゲーム 14話 代行者の最後



















俺がチェコと ドワーフの少年に近付いて行くと



まだ 結構離れているのに



「誰? 魔物?」



と ドワーフの少年は話しかけてきた。



……ふむ すごいな 気配を読めるようだ



(まぁ そんなに難しいことじゃないわよ?)



……俺は苦手なんだよ



(私に頼ってばかりだからじゃん)



……別にいいだろうが それより早く答えんとな



……誤解で攻撃されたらたまらんぞ



と思って なるべく優しそうに



「……いや 魔物じゃないよ」



「……だから 武器をしまってくれるかな?」



と言いながら 姿を現したんだが



……おい 何故だ? 何か敵意がハンパないぞ?



(う~ん なんとなく 予想つくけどね~)



……笑ってないで教えろよ



(これは 私の推測だからね 情報じゃないダメよ?)



チェコが 半笑いでいるのに腹が立ったが



今は そんな時じゃないので



何故か 俺のつま先から頭のてっぺんまで見るかのごとく観察して



怒りに震えている少年に



またもや 優しそうな声で



「……いや 敵じゃないからさ」



「……そんな 警戒しなくていいよ」



そうすると さらに警戒しながら



「何者なの? ここらへんにドワーフ以外の子供がいるわけ ないんだけど?」



……ああ なるほど それを疑っていたのか!



(…やっぱ ミストって面白いわ)



……ん? 何か言ったか?



何かチェコがぼそっと言った気がしたが



首を左右にふって なんでもないと言うので放っておくことにする。



ただ 相手の疑問に答えるのと



答えた直後に



いきなり攻撃されないようにの 2つ意味で守護者とチェコを見せることにする。



……これなら 守護者にビビって



……話の主導権をくれるかもしれんしな



(なんか せこくない?)



という チェコをスルーして まずは名乗る。



「……私かな? 私は君と同じ代行者だよ」



そして 名前を言おうとしたら



「代行者? っつう!」



急に飛び退って 槍を投げれるように構えてきた。



……うお! 予想外だな 日本出身だろ?



……戦いには不慣れだと 考えていたんだが



……やる気100%って感じだ



と思いながらも 目的を果たすべく



「………ああ 戦いに来たんじゃない」



「……話し合いに来たんだ」



と言って 落ち着かせてから続けようとする。



しかし こっちを馬鹿にするような 笑みを浮かべて



「話し合いだって? どんな話があるんだよ?」



「代行者の戦いは20歳からだろ?」



と言ってきた。



……やはり 皆そんな考え方なんだろうか?



というか 話を途中で切らないでほしいんだが



とか 思っていると



(まぁ フライングしようなんて)



(セコイことを思いつくのはミストくらいじゃない?)



チェコの軽口には ムカッとしたが



いつものことなので またスルーした。



そして 本題を話すべく



「……いや 決着をつけるのは20歳からだけど」



「……その前に何かしてはいけない なんてルールはないよ」



と 俺の計画を話そうとした。



しかし またもや



「ふん! なら何の用なんだ?」



と話の腰を折ってきた。



……それを 今から話そうと思ってるんだが はぁ…



と ため息を内心つきながら



相手にも事情がわかるように説明し始めた。



「……なに 私と君はね 同じ世界の出身なんだよ」



「……しかも 日本からのね」



と 最後のセリフは日本語で言ったので分かってくれるだろう



やはり ピクリと反応した後で



「本当? 嘘じゃない?」



と やや険のとれた表情になってきた。



安心させるために こちらの手札もさらそうか



「……嘘じゃないよ 私の神器で調べたから」



「……君は日本の17歳の少年だったんだろう?」



これには さすがに驚いたらしく



「な!!! ……ふーん まぁ いいや」



「それで 何のようなの?」



……ふむ 立ち直ってきたか?



……まぁ そちらの方が話しやすいか



こちらの計画を聞いてもらおうと



「……なに 君は殺し合いのゲームに参加して」



「……大丈夫だと思ってるのか?」



「……日本に住んでいた 私たちがさ」



と 危険性を説くことにする。



実際に 他の代行者は戦争体験者で



君の数倍の速度で成長している。



このままいけば 殺される可能性が高いんだ。



ということを話そうと思ったのだが



「フン! 大丈夫に決まってるだろっ!」



「僕には 神器があるし 強いんだよ!」



と 怒鳴ってきた。



……こいつは …何も考えてないのか?



……他の代行者だって 神器くらいもらってることに気がつくもんだろ?



……いきなり 異世界に連れられてきて



……心のバランスをとるために狂ったのか?



……はぁ しかたない ここは一度現実を見せないとな



と考えて 少し現実を教えてあげようと



「……でも 私より 弱いよ?」



「……今 戦えば 君は死んでしまうんだ それがわかってるのか?」



と言ったんだが そしたら 急に笑い出して



「嘘つくなよ お前も お前の横にいる魔物も 強くないだろ!」



「この短剣はな 相手の強さを見抜くんだ! お前たちは僕より弱い!」



……ふむ その余裕は そのためか



……良く分からないが あの剣は相手の実力を見抜くのか



……だが ならなぜ 私や守護者の強さに反応しないんだ?



と考えてると



(<陰行>で隠してるからじゃない?)



それを聞くと ふむ なるほど と納得できたので



……現実を見てもらうか 彼のために



と思って <陰行>を解除した。



そしたら 顔面蒼白になって ガタガタ 震えながら



「なな な なんだ お前」



と聞いてきたので 



ようやく 自己紹介ができると思い



「……私か? 私は暗黒神の代行者 ミストだよ」



ついでに 目的も言っておく



「……君を殺すつもりはない」



「……私に神器を渡して 平和に暮らしてほしいのさ」



「……そうすれば20歳になったら 神器を破壊してあげるから」



「……君は この殺し合いゲームから逃げれるんだ」



と言い切り 長かったと思いながらも



安心させるために ニコッと笑った。














―――創造神の代行者 ドアーグンド―――



やばいやばいやばいやばいやばいいって!!



暗黒神の代行者だって?!?



てことは 魔王じゃん!!



しかも!



殺すつもりはない? 神器を渡せ?



ゲームをやめて 平和に暮らせ?



そんな! そんな!! そんな!!!



しょっぱなから ラスボス戦なんて おかしいって!



僕の勇者生活が終わっちゃうじゃんか!



というか 始まってもいないよ!



まだ 最初の村を出発もしてないんだよ?



絶対におかしいって!!



なんでなんでなんでなんだよ~~!!



あれ? いや まて! おちつっくんだって!!



やっぱり おかしくないの?



こいつが言ってることが本当かなんて わからないよ!



何か 別の目的があるんじゃないの?



…あっ! わかった!



もしかして これって 神様が僕に与えた試練なんじゃない?



RPGじゃ よくある絶対に勝てないけど



ストーリーを進めるために必要なやつだ!!



ある行動すると フラグが立つって やつじゃないかな?



おそらく 少し戦うと



〔ふむ ならその心意気を見込んで命だけは取らないでおこうか〕



みたいな ノリになるんじゃないの?



なるなる そっか これはオープニングなんだ!



勇者の修行時代に 魔王と会って世界の危機に気付くって シナリオなんだな?



ま ありがちだけど テンプレも悪くないね。



そうとなると いつまでもビビってちゃ ダメだなぁ



ここは勇気をふりしぼって 健気に立ち向かうシーンだね!



命の危険がないとわかれば 怖くないって!



震えも止まったし 覚悟を決めた顔をして



「…ふざけるなよ! 僕は世界を平和にするために!」



「代行者になったんだ!」



「自分の命をかけるなんて 覚悟はとっくにできてる!!」



「自分より強い相手と戦う?」



「自分より弱い相手としか戦えないなんて意味ないだろうがぁ!!」



「僕をなめるんじゃなっいぃぃ!!!!」



最後に 槍も投げておくことにした。



こいつは 自動で相手の心臓に飛んで行くから



相手にこちらの実力を見せることができるはず!!



倒せるかどうか わからないけど



倒せたら 魔王の魂力(ちから)を吸収して 最強の勇者になれるし



倒せなくても その心意気は良しって 展開になるって!



と思っていたら



ブズッ!



っと 狙い外れずに心臓に刺さった。




















俺は舐めていたのかもしれない。



元日本人の少年に命をかけることなんてできないと…



俺は誤解していたのかもしれない。



この戦いに代行者として参加することを…



確かに 俺が代行者に選ばれたのは暗黒神の気まぐれが大半だったろう。



何か理由があったかもしれないが



俺は知らなかったし ゲームに参加する理由もなかった。



単純に 死にたくないのと



あわよくば 2度目の人生なのだから



前世じゃできなかった 幸せな家族を手に入れて暮らしていけたらな と思っていたくらいだ。



だから こんな神器を奪うだなんて 暴挙に出たのだろう。



相手が何を考えて この代理ゲームに出たかなんて



ほとんど考えてなかった。



そして そのことが! そんな短慮が!! そんなふざけた妄想が!!!



今の目の前に 起こった出来事の原因だ……












ドワーフの少年は



俺が<陰行>を解くと 顔を強張らせ 震え始めた。



少しやりすぎたかなと思って



……ふむ ビビらせすぎたかな?



……だが これくらいで震えすぎじゃないか?



村長のエデルさんは 俺よりLVが高いし 封印もしてないが



みんなが怯えたことなんてないし



俺だって 怯えたことはないので疑問に思っていると



(たぶん あの剣がお互いの実力差を計っちゃったんじゃない?)



(知らなければ どうってことないけど)



(実際にわかると怖いものだしね)



とチェコが言ったので



なるほど そういうものか と考えていると



いつの間にか ドワーフの少年は震えが止まり



その顔は 創造神の代行者になっていた。



それに気付き 俺が話しかけようとするが



「…ふざけるなよ! 僕は世界を平和にするために!」



「代行者になったんだ!」



「自分の命をかけるなんて 覚悟はとっくにできてる!!」



「自分より強い相手と戦う?」



「自分より弱い相手としか戦えないなんて意味ないだろうが!!」



「僕をなめるんじゃなっいぃぃ!!!!」



と魂からの叫びを発しながら 槍を投げてきた。





その瞬間 俺は思考が停止した。



戦いに躊躇するなと 相手を舐めるなと



それは絶対に 後悔につながるのだから



さんざん 師匠に言われて 俺もその通りだと思っていたことなのに



平和な国の日本の少年には



戦闘経験も 信念もないだろうと侮り



忘れていたことに気付いたからだ。



そして その一瞬の思考の空白が致命的だった。



ブズッ!っと



何故か 狙い澄ましたかのごとく 心臓に刺さったのだ。



「ゴフっ な…ぜ…?」



口から血が流れている。 心臓から血がにじんでいる。



ギリギリ即死じゃないが完全に致命傷だとわかる。



そう 倒れかけている創造神の代行者が







俺には 防護魔法が5重にかかっていた。



これは 話し合いの前に万一を考え かけておいたものだが



使うはずないと思っていたので 結構強力なものをかけておいた。



ある意味 威嚇になるかもと思っていたからだ。



しかも 魔法技術の高さをわかるように



この5重の防護魔法は すべて違う魔法である。



1番外側にあるのが <吸収>魔法で 魔力などを吸収して



弱くするか 無効化するものだが



2番目の魔法は <反射>である。



これは 魔法・物理を関係なく 跳ね返す。



そして 彼の槍も反射された。



その後 主に向かって飛び



彼の心臓を貫いたのだ。



この事実に 俺はさらに固まった。



戦闘中にこれほどの隙を見せたのを師匠に知られたら 殺されるかもしれないが



ここには 怒る師匠はいなかった。



そして 俺が固まった瞬間



守護者たちは とっくに動き始めていて



俺を攻撃した 倒れかけている代行者を



1体が縦に真っ二つにした後



2体目が さらに 首と胴体を切り離して



もはや 致命傷だの なんだの言っていることじゃなくなっていた。



さっきの心臓が貫かれた位なら



俺が異世界の魔法全てを使えば 



もしかしたら 助けられたかもしれない



しかし 体が4つに分断され 頭もつぶされている



これでは どうやっても助けられない。



さらに 追加攻撃をしようとする守護者を止めて



俺は 呆然としていた。



こんなことになるなんて と



こんな計画ではない と









しかも 俺は彼の覚悟を聞いていた。



世界を平和にしたいんだ と



そのためには命すらかける と









俺は 涙を流した。



盗賊を殺した時は



正義心に助けた人たちがいたから 大丈夫だった。



しかし 今回は俺が大馬鹿だったからだ。






そのあと 俺はかなり泣いていた……



だが 泣いて 泣いて 泣いた後には



俺も覚悟を決めようと思った。



いきなり 殺し合いのゲームに巻き込まれ



わけもわからず とりあえず 強くなり



死にたくないと 卑怯なことをしようとして



この結果(ザマ)だ。





俺が最初から 覚悟を持っていれば



こんなバカみたいな 結果にはならなかったはずだ。



20歳になって 本気の死闘をした後に



どちらが勝っても 納得できたかもしれない。



しかし 



俺が根性無しだったから こうなった



俺が覚悟を持ってなかったから こうなった







ひたすらに後悔の念に襲われるが



彼の信念を聞いた俺が



彼を殺した俺が



泣いていてはいけないと思った。



だから!




ならば 根性を持とう! 絶対に負けないと!!



ならば 覚悟を決めよう! 俺がこのゲームを終わらせると!!



泣き止んだら そうしようと思いながらも



ただただ泣き続けた。









私が一番好きだった鉄平君(創造神の代行者)が

前世の名前も出さずに死んでしまいました 残念です


主人公の精神的成長のため 何かしらの犠牲が必要だったのですが

気づいたら鉄平君がお亡くなりに・・・・合唱



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