13話 代行者の邂逅
神々の代理ゲーム 13話 代行者の邂逅
神器で2人の情報を調べてから
2日がたった。
……さて いくか?
(うん 準備はできてるわ)
2日あけた理由は魔力の回復と
新技の開発をしていたからだ。
ずいぶん前から考えていたのだが 失敗したら危険なので
これだけは時間をかけて研究していたのだ。
しかし 最近は失敗率が0になったのと 魔物でおこなった実験で安全性が確認されたので
自分でも試してみようと思ったのだ。
……じゃあ やるぞ?
(うん どうぞ)
頭の中で陣を思い描き 儀式魔法を発動させる
……それじゃあ <転移扉>
村から少し離れた 林の中で隠れていた守護者に向かって 魔法を放つ。
そうすると 守護者の腹が縦に割れて
いつぞやの <倉庫>のような異空間につながる穴ができた。
そして その扉に入りながら
……まぁ 行きますか このゲームをおわらせに
(やっぱ いいのかな~)
ニヤニヤ笑う少年に 苦笑する聖霊が続く
<転移扉>によって出たのは またもや 守護者の腹の中からだ。
転移で一番難しいのは 入口と出口を固定することなのだが
今回は 両方に守護者を使うことで安全性を高めてる
……ふむ? 少し暑いか?
(ドワーフが住むのはね 火と鉄があるとこだもん)
(近くに火山があるわよ)
……ホントか? というか大丈夫なのか?
(ドワーフやエルフは精霊と交信ができるの)
(ドワーフは 火と土の精霊と仲がいいから精霊にお願いして そこらへんは大丈夫らしいわ)
……ああ なるほど 精霊魔法か
……そんな 使い方もあったんだな
(そうね でも 彼らは魔法って言ってほしくないらしいけど)
……確か 暗黒神のヤツが伝えた技だからか?
(そうよ 彼らの精霊術は創造神と その眷属神が伝えたものだからね)
(使ってる力も 魔力と精力で 違うし)
(何より 暗黒神様って ほとんどの種族に敵視されてるのよね~)
……あの話は やめてくれ
……俺が2代目だと 思われたらどうするんだ
(もう 思われてるんじゃない?)
1000年前の代理戦争
通称 神代の戦争は
さまざまな神様が
さまざまな種族を創って戦わせた。
そして 創った神様と種族の関係性というのはこうだ。
まずは 聖光神サイドが創ったのは人間だ。
聖光神は正義と万能の神らしい。
ゆえに 人間はなんでもできる素質を手に入れたが
全ては受けつがれず 能力は平凡になってしまったそうだ。
しかし 正義心が強いと聖光神の加護を貰えて
光の勇者と呼ばれる存在になったそうだ。
次に 戦闘神サイドは獣人を創ったらしい。
彼らは戦争をするなら なんでもできる器用だが平凡な奴らより
生まれつき 何かに特化していて
それぞれの 専門家を作った方がいいと考え
力が強い者 素早い者 飛べる者 賢い者 など
さまざまな 種族を創ったのだ。
これにより 獣人族は種族数がかなり多いし 戦うのも得意なものが多い。
そして 創造神サイドが創ったのは精霊族と呼ばれる亜人たちだ。
代表的なところで エルフやドワーフなどがあるが
共通しているのは 何か物作りが得意なことと
精霊術と呼ばれるものが使えることだ。
また 智慧神サイドが創ったのは魔族である。
というのも 彼らの創った種族は賢かったが
智慧神という性質上 戦闘能力がほとんどなかったのだ。
そこに 暗黒神が現れて戦争を盛り上げるために魔法という技を教えたらしい。
これにより 戦う力を手に入れたが
力が強すぎて 精神が壊れていたり
短絡的なアホになったりもしたらしい。
しかも このせいで魔族はずるがしこいとのイメージができたとか
最後に平和神たちが創ったのは天族と呼ばれている。
彼らは戦争が終わるときに創られて
最高神の命令により 戦争を止めようとした平和神たちの手足となり
各種族の族長と話し合い 戦争を止めたのである。
これにより 彼らは平和の使者や神の使いなどと 呼ばれることもある。
さて これで 5つの派閥の神様たちの種族が出たのだが
我らの暗黒神がでてきてない
それも当然である。
彼は種族を創らなかったのだ。
え? と思うかもしれないが
良く聞いてほしい
暗黒神が創ったのは魔人と呼ばれた
男 1人だけなのだ。
ただし 彼は暗黒神が全ての魔法を教えて最強だったらしい。
その強さは
神代の戦争時代 神の加護を受けた
歴代最強の勇者と呼ばれた人は LV982だったそうだ。
これは 千年たった今でも破られたことはないそうだが
その魔人はLV4763だったらしい。
彼は 快楽主義者で 享楽主義者で 殺人狂だった。
村を襲い 犯し 燃やして回るのが趣味だったらしい
最後は 戦争が終わり 平和になっても
まだ 暴れていたので
最強の勇者が率いる
各種族の最強の英雄たちが 集まって倒したらしいが
その残虐性と強さにより
魔王にして魔神とまで呼ばれたらしい
その名残として 今でも種族分けの時に
亜人と 獣人と 魔族で 分けるのだ。
魔族に 魔人というのは戦争になるくらいの最大のタブーになっている。
……はぁ 暗黒神もやり過ぎだろう
こんな 化け物が俺の前の前任者なのだ。
他の奴らには とてつもなく嫌われている
(まぁ 仕方ないんじゃない? 過去のことはさ)
……そうは言うがな 話し合いに応じてくれる可能性が低くなるだろ?
(もともと 話し合いに応じてくれるか分からないと思うけど?)
……こんな 殺し合いのゲームに参加だなんて
……嫌じゃないか? 普通は?
(普通の人は 選ばれないんじゃない?)
……俺が暗黒神に選ばれてるんだ
……普通の人が選ばれてる可能性はあるだろ?
(……………………ノーコメントで)
……なんだ? 引っかかる言い方だな?
みたいなことを しゃべりながら歩いていると
森の中で魔物と戦っている子供を見つける。
それを遠くから 観察しながら
……あれか?
(そうみたいね 検索したけど わからないもの)
チェコに調べれないということは代行者だということだ。
……ふむ ならいくか?
(ご自由にどうぞ あっ でも もう1人の方はいいの?)
……ああ 大丈夫だ
……あちらは話し合いなんて してくれるはずないからな
……上位魔物とも そこそこ戦える守護者を
……殺傷魔法を禁じ 殺さないように命令して 2体送った
……いくら強くても LV52じゃ勝てるわけがない
(ふーん そうなんだ)
……そういうことだ じゃあ 話し合いに行こうか
……まぁ 念のため <召還>!
守護者を 1体呼び出して
<転移>に使った守護者と一緒に2体で左右を守ってもらう。
……ふむ 戦うつもりはないが
……交渉しやすいようにな
(めちゃめちゃ 戦闘準備じゃない?)
さらに 防護魔法を 幾重にもかけていると
チェコにつっこまれたが気にせず かけていく
……よし パターンAで行動しろよ お前ら
守護者にも 俺とチェコを守るように指示しておく
そして 全ての準備がおわると
……いくか
(そうね はぁ…)
ため息をついている チェコを無視して
俺はドワーフの少年に近づいていく
―――創造神の代行者 ドアーグンド―――
今日もいつものように遊びに行くって!
家族に言って 森に来たんだ。
そして 神器の“創造神の神鉄板”で作った
短剣で獲物を探すことにしたよ。
この短剣『主を守る護剣』は持ち主の身体能力を上げてくれるし
自分より 強い魔物や敵が近づくと警告してくれるんだ!
一番最初に作った武器だけど
これがなかったら さすがに普通の少年だった上
今は3歳児の子供の僕じゃあ 魔物とは戦えなかったね。
そして 魔物を見つけると
2番目に作った 槍の『敵を貫きし者』で戦うんだ。
これは体が自動で戦ってくれる能力がついているし
投げると相手の心臓か核に飛んでいく 能力もついてるんだ。
ぶっちゃけると 身体強化だけじゃ
さすがに 倒せなかったんで作ったんだよ。
でも 今はこの2つだけしか装備がないんだよね。
だって ほんとは いっぱい作りたかったんだけど
これ1個作ると 2~3日 寝込むことになるんだ!
一応 成長して力が上がれば改善されるって
神器の中の知識にあったんだけど
ま コツコツ行くしかないかって!
努力してるんだ!
そして 今日は順調に魔物を倒し終えたらね。
僕の2番目の能力「危険を察知できる」がピリピリと違和感を感じたんだ。
「なにかな? 短剣の方に反応がないから」
「強い魔物じゃ ないと思うんだけどなぁ」
でも この能力は結構小さいことでも反応するし
命にかかわるような すごい危険ならピリピリじゃなくて ビリビリや吐き気がするような
衝撃がくるから あまり大事だとは思わなかったんだ。
そうしていると 村の方から誰か来る気配があったんだ。
「誰? 魔物?」
一瞬で戦闘態勢に入ったけど
そんなに緊張してなかったんだ。
だって 短剣が反応しないってことは僕より弱いってことだもん!
そうすると 木の陰から少しして
「……いや 魔物じゃないよ」
「……だから 武器をしまってくれるかな?」
って 言いながら 僕と同じくらいの少年がでてきた。
その瞬間 僕の中でこいつは敵認定をしたんだ!
だって! だって! だって!
子供とはいえ
チビで!
ごつごつした筋肉質で!!
今からでも強面なのがわかる!!!
ドワーフじゃなくってだよ!!
すらっとした体型!
なぜか 今からでも色気が漂う 線の細い体!!
そして 子供の時からでもわかるイケメン面って!!!
しかも きれいな褐色の肌で! 銀髪の! 紅目だよ!?
こっちなんて 目も髪も茶色だよ!
肌だって 日に焼けた肌色だ!!
村じゃ 時々 剣とか買っていく商人か冒険者しか ドワーフ以外の種族は見なかったけど
こいつほど イケメンだと分かる奴なんって!
見たことなかったんだ!
だから こいつは僕の敵だ!!
なんてこと 考えていると
「……いや 敵じゃないからさ」
「……そんな 警戒しなくていいよ」
とか 言いやがったんだ
「何者なの? ここらへんにドワーフ以外の子供がいるわけ ないんだけど?」
商人や冒険者は 大人しかいない
魔物がいる世界で 村の外に子供が出られるわけないからだけど
そういうと そいつの後ろから
かわいい妖精と 2体の人型の魔獣が現れたんだ。
しかも 妖精はそいつの肩に乗るし 人型の魔獣はそいつの左右で止まってるんだ。
いろんな意味でこいつのことが さらに敵になったよ。
「……私かな? 私は君と同じ代行者だよ」
「代行者? っつう!」
イケメンの言葉が理解できた瞬間
距離をとって 完全に戦闘態勢に入ったんだ。
そして いつでも“敵を貫きし者”を投げれるように かまえたんだ。
「………ああ 戦いに来たんじゃない」
「……話し合いに来たんだ」
そうしたらね! 知的さがわかるように!
こちらを馬鹿にしているような!!
ゆっくりとした しゃべり方でイケメンはしゃべりかけてきたんだ!!!
―これは 単なるミストの癖なのだが―
「話し合いだって? どんな話があるんだよ?」
「代行者の戦いは20歳からだろ?」
「……いや 決着をつけるのは20歳からだけど」
「……その前に何かしてはいけない なんてルールはないよ」
「ふん! なら何の用なんだ?」
さっきから 少し腹が立っていたけど
今じゃ だいぶ落ち着いてきたから話を進めようとしたんだ!
「……なに 私と君はね 同じ世界の出身なんだよ」
「……しかも 日本からのね」
ビクリって 反応しちゃった。
だって 最後の言葉はもう2度と聞けないと思ってた 日本語だったんだもん!
「本当? 嘘じゃない?」
「……嘘じゃないよ 私の神器で調べたから」
「……君は 日本の17歳の少年だったんだろう?」
「な!!! ……ふーん まぁ いいや」
「それで何のようなの?」
相手のペースにはまりそうだったから無理やりに 話をもどしながら
何故か 「危険を察知できる」 能力が少しづつ強くなってきたのを感じていた。
「……なに 君は殺し合いのゲームに参加して」
「……大丈夫だと 思ってるのか?」
「……日本に住んでいた 私たちがさ」
僕の顔は 今 どんな表情をしたか 分からかったけど
「フン! 大丈夫に決まってるだろっ!」
「僕には 神器があるし 強いんだよ!」
そうさ 僕は創造神に選ばれた勇者なんだよ!
世界を救う英雄になるんだって!
「……でも 私より 弱いよ?」
「……今 戦えば 君は死んでしまうんだ それがわかってるのか?」
っぷ くふふふふふ 脅してきたな。
そんな嘘は “主を守る護剣”が反応してない時点で
簡単にバレるんだよ バーカ!
「嘘つくなよ お前も お前の横にいる魔物も 強くないだろ!」
「この短剣はな 相手の強さを見抜くんだ! お前たちは僕より弱い!」
そうすると イケメンはビビって逃げ出すかと思ったんだけど
何故か ふむ とか言って 何かをつぶやいた。
その瞬間 短剣は警告しっぱなしになり
「危険を察知できる」能力は今までで
最大の警鐘をならしてきたんだ。
「なな な なんだ お前」
僕は あまりの出来事に頭の中が真っ白になりながら聞くと
「……私か? 私は暗黒神の代行者 ミストだよ」
「……君を殺すつもりはない」
「……私に神器を渡して 平和に暮らしてほしいのさ」
「……そうすれば20歳になったら 神器を破壊してあげるから」
「……君は この殺し合いゲームから逃げれるんだ」
と言って
にこっと まるで 悪魔の笑顔のように笑ってきた・・・
武器にもルビ振ったほうがいいですかね?