10話 盗賊退治
神々の代理ゲーム 10話 盗賊退治
さとて 決意をしたので後は実行だと思い
ローグガルフとの戦いで止まっていた
この世界のことについての勉強をすることにした。
(というわけで ギルドにはランクがあってね)
(それによって 強さが決まっているのよ)
(といっても ギルドの貢献度とか 仕事の達成率が関係しているから)
(LV=ランクじゃないのも少しはいるらしいけどね)
今日はギルドや国の兵士とLVの関係性についての勉強だ。
ギルドで仕事を斡旋したり 報酬を貰ったり
または 魔物の遺骸を買い取ったりしてることは
前に この世界について勉強で教えてもらったっていたが
まずは 世界観について知りたかったのですぐに必要じゃない 一つ一つの知識は後回しにしていたのだ。
しかし もう世界観については だいぶ分かったので
今は 面白そうなものか 将来的に必要そうなものを中心に教えてもらっている。
……ふむ なるほどな
……任務達成とLVによる 完全実力制か
(えぇ 国の兵士もLVによる 実力制度はあるけど)
(そっちは 家柄や身分も 結構大切なのよ)
(しかも 貴族の人間は 本気で死ぬようなギリギリの戦いなんてする人は)
(武門貴族の中でも少ないのよね)
(だから 本当に強い人たちは 国に属さないでギルドにいる方が多いわ)
(まぁ それによっての対立もあるんだけどね)
……対立?
(そう 貴族ってのは建国時に活躍した英雄の子孫が大半なのよ)
……英雄って言うと
最初に教えてもらった LVの相対関係を思い出す
LV10 一般人
LV20~30 狩りが得意な人
LV50~100 見習い兵士・冒険者 F
LV100~200 一人前の兵士・冒険者 D E
LV200~300 ベテランの兵士・冒険者 B C
LV300~400 一流の兵士・冒険者 A
LV400~500 宮廷騎士団 S級冒険者
LV500~600 宮廷騎士団長&爵位 憧れのSS級冒険者
LV600~700 国の中枢につくことができる 伝説のSSS級冒険者
LV700以上 英雄 国を造った人たち
LV900以上 勇者
確かこのようなものだったか
まぁ 少し例外もいるらしいけど 思い出したくない。
とはいえ 大半の人は一生を戦いに費やしても 350が限界らしい
天才といわれる者でも 600を超えたら上がらなくなるのだとか
それ以上の人は 千年前の神代の戦争時に神様から特殊な加護を貰っていたから
そこまで いけたのだと言われているが
まぁ 基本的に言えば 長寿種ならともかく
LVが上がるより 戦士としての寿命が先に来るのだそうだ。
それに 魂のLVが上がるのは魂の濃度と器が成長するからだそうだ。
つまりはLVが上がれば 魂の濃度も大きさも
強く巨大になっていくらしい。
だから 下級魔物をいくら倒しても ある一定以上になると
下級は魂の濃度もサイズも 薄く小さいため
150位で 急激にあがらなくなってしまうのだとか
そうなると 中級魔物に挑むのだが
中級の魔物に勝つには努力だけではなく 才能か人数がいる。
才能持ちなら また 上がっていけるが
才能がないと人数が大量に必要なため
貰える経験値が少なくなってしまう。
故に 中級を少人数で倒せるかどうかが
凡人と優秀な者の差だと言われているらしい。
……だったよな?
(そうよ 国を作られ始めたのが)
(約1000年前から400年前の間の建国期と呼ばれてる時代だから)
(かなり時間が経ってるんだけど)
(いまだに 英雄やその子孫の力って 強いのよ)
(権力的にも 実力的にもね)
……ん? 実力的にも? それなら問題ないんじゃ?
(いや 才能があるって言った方がいいかもね)
(神様の加護を少し受け継いでるのよ でも 才能を磨かないの)
(そのせいで 最初は神童なんて言われるけど)
(途中で 実践型や努力型に追い抜かれるのよ)
……なるほど
(しかも 神童なんて 呼ばれてたせいでプライドが死ぬほど高くてね)
(大人になると 大した能力が無くても家柄の自慢で生きてるの)
(その分 ギルドにいる人達は ほとんどが平民なのよ)
(しかし そこで生きて行けるってことは貴族の人より実力も優秀な人が多いから)
(名ばかりの貴族や 祖先の栄光に浸ってる馬鹿共と思ってるし)
(貴族は貴族で 血筋も神の加護もない 野蛮な奴として嫌いあってるのよ…)
……腐敗した国の臭いが ぷんぷんするな…
(確かに 最近 国の中枢が不正と賄賂で成り立ってる)
(なんて言われる国もあるらしいわよ?)
……予想通りかよ
(まぁ 長寿種なんかは神代の戦争か建国期を知ってる人や その子供や孫がいるから 酷くないらしいけど)
(寿命が短い種族は 大変な時代を知らずに 生まれた時には約束された人生があるからね)
(歪んだ人になっても おかしくないんじゃない?)
……鬱になる話だな
……だが ここで文句を言っても かわらないか
……次の話にいってくれ
(ん~ そうね じゃあ次は…)
と話してる時だった。
北のダンジョンへ 送った中級守護者から<通信>の連絡がきた。
……ん? 少し待ってくれ チェコ
(なに? どうしたの?)
……ああ 守護者から連絡が来た
(連絡? 何それ?)
……守護者には 基本行動プログラムというのが入っているんだ
……これは 単純に言えば いろいろと問題にならないように作った
……良心機能みたいな感じなんだが…
……迷惑掛けるな 人間を襲うな できれば人間を助けろ
……そんな行動基準を命令が矛盾しないなら とるようにな
(へ~ そんなのがあったんだ)
……ああ そして 今 <通信>があった
……これは 何か行動基準に問題が起きたら送るようにした
……エラー信号だな
(え? ということは大変じゃないの?)
……そうだな <接続>で様子見するか
……チェコも見に行くか?
(そうね 一緒に行くわ)
……なら 頭に乗れ ………<接続>!
俺はチェコが頭に乗ったのを確認すると 中級守護者に意識を飛ばした。
一面に血と剣戟が舞っていた。
「おらぁ 死ねやぁ!」
「くはははぁ! 血がたぎるぜぇ!」
「かこめ!かこめ! 回る込むんや!」
「…おカネ おカネ」
「くそ! 守れ! 馬車には近づかせるな!」
「いってぇー! しぬぅ~ やべぇーよ!」
「うわぁーん だずげでーーー!」
守護者は地面の中にいるが 目を外に出して木陰に隠れていた。
……これは 強盗か?
そこには 20人ほどの身なりとガラの悪い男たちが馬車を取り囲んでいる。
そして 商人らしい男とその家族を守っている―おそらく―冒険者8人と戦っていた。
(そのようね 調べたら このあたりをなわばりにしている盗賊団のグループみたいだわ)
……助けないと やばいな
冒険者はそこそこの腕を持っているらしく まだ守れているが
あきらかに劣勢だ このままでは殺されるだろう。
……ふむ 人を助けろの命令だが
……両方とも人だったから エラーが出たのか…?
(どうするの? 助けるんでしょ?)
……そうしたいのは 当然だが……
俺は答えに困ってしまう
(どうしたの? 何か問題でもあるの?)
……いや この中級守護者は中級魔物を倒すように作ったからな
……人を無効かできるような捕縛や攻撃魔法を入れてない
……最弱魔法でも 簡単に死ぬな…
(ええ! じゃあ どうするの?!?)
……それを 今 考えてるんだが…
……っち!
…………チェコ この場合 盗賊を殺したら問題になるか?
(えっと どの国でも盗賊は極刑だけど……)
……ふむ…
……そうか…………
今でも 悲鳴は聞こえてくる
早く決断しないと助けれないだろう。
しかし 天才の頭脳による高速思考で
前世で警察官になろうと考え 決意した時を思い出した。
〔俺は 叔父みたいなやつが許せなくて〕
〔それで不幸になる人間を出したくなくて〕
〔少しでも助けたくて あの時 決意したんだろうが!〕
俺は目の前の戦いに意識を戻す
その時に 心の葛藤も動揺もなかった。
ただ 守りたい! その気持ちだけあった。
……<石風弾>!
盗賊団の一番後ろにいて命令を出していた
獣人族の男の頭が吹っ飛んだ。
そして 馬車から離れている盗賊たちに次々と撃ちこんでいく。
これは<石弾>とは違い 風の魔法で石を強化してあるので
威力は段違いに上がっている。
「なんや? どした? 何が起こった?!」
盗賊の1人が事態に気付いて叫ぶと
盗賊団も冒険者も次々に盗賊たちが
吹っ飛ばされていくのに驚いて 動きが止まった。
10人ほど殺すと
……これ以上は冒険者に当たるかもしれないな
わけも分からずに 狼狽しながら周囲を警戒してる
盗賊たちの地面に移動する。
……<連土槍>
こちらも 強化して一度に複数撃てるようにした
<土槍>が盗賊たちの足元から同時に飛び出して
串刺しにしていく。
「ひへぇえええ~! なんだこりゃ!」
「何しやがった! くそ! やべぇ!」
たった2人の盗賊は瞬時に避けようとしたらしく
手足を負傷したが生きていた。
さらに 冒険者に罵声を浴びせながら逃げようとした。
しかし 人を殺そうとしといて 自分が危険になったら逃げようとする
その考えにキレていた俺は
……<土牙口>!
逃げようとした男たちの周囲を取り囲むように牙が生え
バクンッ!
まるで獣がかじったかのごとく 男たちは首から下を食べられた。
……はぁはぁ っち! 気分が悪いなっ!
俺は自分がやった惨劇を見渡してから
いまだに 呆然としてる冒険者や商人家族が無事なのを確認する。
そして守護者に また魔物狩りを続けるよう命令をして
<接続>を解除した。
部屋に戻ってくると気分が落ち着いてきた
……ああ 殺ったな…
(でも! 人を助けるためだったじゃない!!)
無言でいた チェコは俺の独り言に反応して 大声をあげた。
それに 驚きながらも自分の心情を話す
……いや 大丈夫 後悔はしてないさ
……覚悟はしたし 後悔は助けた人への侮辱だしな…
助けたことを後悔してはダメだろう。
だけど
……ただ クルものがあった ……それだけさ………………
(………………)
チェコが顔をしかめて 黙ってしまったので
俺は逆に頭が冷えて アホなことを言ってしまったことに気付く。
とっさに 空元気を出して
……そうだ 授業の続きだったろ?
……また 何か教えてくれよ 俺は大丈夫だし
……代理ゲームを続けていけば また何かあるかもしれないんだ
……落ち込んでいられないさ
数秒の間 俺の顔を見ていた チェコだったが
俺の気がまぎれればいいと 思ったのか
急に元気をだして 授業を話してくれた。
でも 俺はそれを聞きながら まったく頭に入ってこなかった。
他のことを考えていれば 当然だし
チェコの授業も脈絡がバラバラで動揺してるのがわかったので
聞いてるふりをしながら
殺したことは忘れないが 後悔はしない と決意した。
泣きそうになるのを我慢して……
魔法が味気ないかな~と思い始めた今日この頃です