嵐の前の
年内最後の投稿です。
今回バトルシーンはなしです。ただ、次回は新キャラ続々でバトルもバチバチです(多分)。
それと今更ながらXを始めました。フォローお願いします。
藤本ユウマというアカウントです。
Xも小説も最近始めたばかりの新参者ですが、読んでくださった方本当にありがとうございました。来年もバンバン書いていきます。楽しみにしてくださると幸いです。
来年もよろしくお願いいたします。
ピロリン、ピロリン
軽やかな電子音が、静かな部屋に鳴り響きました。
音の正体は、パソコンに届いたテレビ電話の通知でした。
「はいはーい」
通話に応じ、画面の向こうへと手を振るおじさんの名は、佐久間開桜といいました。
「いやーー、久しぶりだねー、与一くん」
画面の相手は、那須与一といいます。
「ご無沙汰しております。佐久間様」
「いやー、本当ならゆっくり歓談といきたいところなんだけど、そうもいかないんだよね?」
「はい。少々、緊急事態でして」
「それはこっちも同じ状況かもねー。たぶん、もう一人来るんじゃないかな?」
ピコン
新たな参加申請が、佐久間のパソコンに届きました。
「ほら、きた」
佐久間は迷うことなく許可を出しました。画面は二分割され、左に那須、右に一人の老人が映し出されます。
「あれ? わしが最後か。すまんの」
「いえいえ、僕らも今しがた集まったところですよ、松爺」
老人の名は、松笠久次郎。
「あぁ、そうかそうか」
「では、全員揃ったことですし、それぞれ報告しましょうか」
「ふむ。なら、遅れてきたわしから話そう」
松笠が、静かに口火を切りました。
「どうやらイブニングでは、金田と郷田が妙な輩と接敵したようじゃ。連中は拳銃を所持し、丸い宇宙船のようなものに乗って現れたらしい。数は四体。そのうち二体は撃破。ガムを噛む少年と、キャンディーを舐める少女の二体は行方不明とのことじゃ」
「うーん。ヌーンも、ほとんど同じ状況だねぇ」
佐久間が続けます。
「桃太郎が接敵して、一体は撃破。ただ、宇宙船の座席配置から見て、三体は取り逃がしたみたいだねぇ」
「ナイトについては、浦島様からご報告がありました」
今度は、那須が言葉を継ぎました。
「浦島様は豊玉様と合力されましたが、四体すべてを逃してしまったそうでございます。そのうち一人は、奇天烈な技を用いていたとのこと。水の鏡のようなものを出現させ、物を吸収あるいは射出していたようでございます」
「ふーん。そんな報告は、こちらには来てないねぇ」
「わしも同じじゃ。どうやら、数体は固有能力を持っているのかもしれんな」
「固有能力、ねぇ……」
「……佐久間様。大丈夫でございますか」
「ん? 何がだい?」
一瞬の沈黙が、部屋を包みました。
「狙われているのは、貴方方かもしれません」
「んー……まあ、確定じゃないからねぇ。とりあえず今は、敵の数が最も多いナイトに増援を送るべきだ。早急に部隊を編成しなきゃね」
「……そうですね」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ。僕もまだまだ動けるよ。自分の身辺くらい、自分で守れるさ」
「その通りじゃ。佐久間は、そう簡単にはやられん」
「……ですよね」
時を同じくして、ヌーンのある場所に、一人の謎の男がいました。
「見えてますかにゃ」
「ええ、見えていますよ」
「で、何か見つけたのか?」
謎の男は両手を広げ、手のひらから液晶を射出していました。どうやら、それが彼らの通信端末のようです。液晶の向こうには、金田たちが目撃した少年と少女、そして浦島たちが接敵したシーバルドの姿が映っていました。
「にゃにやら、重厚な建物を見つけましたにゃ。ここがニッポニアの心臓部に違いないですにゃ」
「ちょっと待てよ。まさか、俺たちもそこへ行けとか言わないよな」
「その、まさかですにゃ」
「……マジか」
「我々を寄越すということは、それなりの策があると考えてよろしいんですね」
「もちろんですにゃ〜。お三方と“鬼”たちには、空間転移装置でこちらへ来てもらいますにゃ」
「うーん……空間転移装置は、いまだに慣れませんが……策があるというなら、信じましょう。シャット」
にゃーにゃーと語尾を鳴らすその者の名は、シャットというようです。
「ええ。必ず、成功させますにゃ」
シャットは、怪しく口角を吊り上げました。
バヂバヂバヂバヂバヂバヂ
草木が生い茂る小さな森の影で、まばゆい閃光と破裂音が轟きました。炸裂の中心には、シャットの姿がありました。
光が収まると、そこにはシーバルド、少年と少女、そして複数の男女の姿が現れていました。
「あー、痛えんだよな。この空間転移装置」
「文句は慎みなさい、ヘンゼル。というか……あなたたちも痛みを感じるんですね」
愚痴を言う少年にシーバルドが軽く叱りました。
少年の名は、ヘンゼルというようです。
「あ? 当たり前だろ。馬鹿にすんな」
「お兄ちゃん。今は仲間割れしてる場合じゃないよ」
「……ちっ」
「グレーテルちゃんは、いくらか人間味があるようですね」
少女の名は、グレーテル。
彼女は鋭くシーバルドを睨みつけました。対してシーバルドは、にやりと口角を上げます。
「グレーテルの言う通りですにゃ。今は、目の前の敵に集中するにゃ。それと別行動になるやも知らないにゃ端末の録画機能はオンにしといてにゃ」
「わかっていますよ」
「けっ、俺はやらねえぞ」
「うーん。まぁどちらでもいいですにゃ」
シャットたちの視線の先には、威圧するように聳え立つ、ひときわ立派な建物がありました。




