桃太郎
暇な時間にポツポツ書きます。
漫画やイラスト化などしていただけると嬉しいです。
それなりの長編を予定していますので覚悟して読んでください。
誤字や言い回し等気になる箇所がありましたら気軽にご連絡ください
昼の都 ヌーン
むかーしむかしのそのまたむかし。
宇宙に浮かぶ一つの惑星がありました。その名は、惑星"ニッポニア"。太陽と月の間に存在する、静かで穏やかな星です。
その星に、一人の青年がいました。
漆黒のスーツに身を包み、腰には一振りの刀。黒い鞘には、逆さまのハートを思わせる白い紋が刻まれています。
青年の名は、百田桃太郎。
この日も彼は、パトロールのため、都の街をあてもなく歩いてました。
「……?」
ふと足を止め、百田は空を仰ぎました。視界の端を、“何か”が横切ったのです。
「あれは……宇宙船、か?」
百田は目を細め、その物体を睨みます。次の瞬間、それは空中で小さな爆発を起こし、制御を失ったまま地上へと落下していきました。
ゴォォォォ――
数百メートル離れているはずの場所から、衝撃が地を伝い、百田の足元を震わせます。
「あの方角……日射ヶ丘公園か」
百田は即座に駆け出しました。
百田が逃げる人混みを押し除けてたどり着いたここは日射ヶ丘公園。かなり広い公園ですが遊具も古くなっており、現在使っている人はほとんどいません。
ブシューーー……
日射ヶ丘公園についた百田の目に飛び込んできたのは、黒煙を吐き続ける小型の宇宙船でした。機体は半壊し、無惨な姿を晒しています。
「……何だ、これは。なんか見たことあるデザインだな。」
慎重に歩み寄り、百田は船体を一周します。
「……?」
側面には、大きな風穴が。墜落による損傷とは、どう考えても一致しません。
――そのとき。
背後に、微かな気配がありました。
百田は首を動かさず、黒目だけをわずかに動かしました。
百田が言います。
「背後に立つな……殺すぞ」
静かな声でした。だが、そこには刃のような鋭さが宿っていました。
百田の背後には、謎の男が立っていました。威嚇にも反応せず、沈黙を保ったままでした。
一瞬の静寂が、空間を支配しました。
シャキン ブン
百田は振り返りざまに抜刀しました。
刃は男の首筋で、ぴたりと止まりました。――寸止めです。
男はびくともしません。
「ふん」
鼻で笑い刀を下ろした百田は言います。
「頭がイカれてるのか……それとも、俺の寸止めを見切ったか」
百田が続けます。
「俺はこう見えて、国の治安を守る仕事をしてるんだ。前者なら、治安維持のためにお前を殺す。ただ、後者なら……」
一拍おき、再び口を開きます。
「気に食わねぇから殺す」
ブン!
刀が振り上げられ、男の頭へと振り下ろされます。男は半身になってかわし、そのまま右拳を突き出しました。
ガッ
百田は拳を、鞘で受け止めました。
ズザーー
衝撃で百田の身体が後方へ弾かれます。靴裏が地面を削り、二人の間に間合いが生まれました。
男は右手で即座に地面の砂を掴み、百田の元へ駆け出しました。
距離が一足まで縮まった時、男は百田めがけて砂を放ちます。
「……だせぇやり方だな」
百田は呟き、目を閉じました。同時に重心を前へ移します。
刹那――男の右手刀が、百田の頭上へと振り下ろされました。
ズバァ―
視界0の状態にある百田の刃が閃きました。
刃は男の腕を正確に捉えました。
切り落とされたそれが、百田の眼前に転がりました。
男は半歩後方へ跳び、距離を取ります。そして再び砂を掴もうと残った左手を地面へ――
グサッ
刀が左手を、地面ごと貫いていました。
いつの間にか、百田は間合いを詰めています。刃は深く突き立ち、男の動きを封じました。
百田は刀を引き抜き、そのまま素早く首筋へと添えました。
「……口が利けるなら答えろ。お前は何者だ。目的は何だ」
返答はありません。
沈黙だけが、重く落ちました。
百田は苛立ちを隠さず、刃に力を込めました。
その瞬間――
男が再び半歩後ろへ跳びました。同時に、切断された左腕を大きく振り上げました。
血が噴き出します。
赤黒い飛沫が、百田の視界を覆いました。
「……はぁ」
百田が小さくため息を吐きました。
「さっきから、イライラする手ばっかだな」
百田は刀で血を受け止めました。
「もういい」
それは低く、冷え切った声でした。
「死ね」
男は踵を返し、走り出していました。
百田は静かに構えました。
「芝斬一刀流……」
百田の踏み込みが地面を揺らします。
ドンドン
逃げる男との距離がみるみるうちに縮まります。
ズバァ
「三足一閃!」
三歩目と同時に、刃が閃きました。
男の首が、宙を舞います。
ドッドッドッ
首が転がり、止まりました。
「……はぁ。なんなんだ、こいつは」
百田は髪を掴み、首を持ち上げます。
彼はそのまま、宇宙船のもとへ戻ります。
シャキン
百田は宇宙船に向かって一閃を放ちました。
船体は、容易く断ち割られました。
百田が内部を覗きます。
「……座席が四つ」
そこには見たことのない装置がありました。人類の技術とは、明らかに異なっていました。
「……やっぱり宇宙人の類、か」
刀を納め、百田は呟きました。
「……総隊長に連絡だな」
その声には、これから始まる“厄介事”への確信が滲んでいました。




