9話 ◎一緒に帰るΩ
花壇に土をやり種を蒔いた。
ここは光の玉が見えた所、花が無いのに花の力とやらが見えたぐらいなので余程いい花が咲くのか期待している。
水をやり作業は終了。
放課後まだ空は明るい。俺は日舞さんと鈴白さんと一緒に帰る為2人を待っていた。
2人が近寄ってくる。
「よろしくね!」
「それでは帰りましょう」
日舞さんと鈴白さんが挨拶してきた。その瞬間――!!
クラスではとんでもない声量のざわざわ音がクラス中を埋め尽くす。
「何であいつが」「どういう関係なの」「一体何が!?」「ふざけんなよ」
不思議がる声から罵詈雑言まで様々な声が聞こえたが「例の花壇じゃない?」と言った声が聞こえた所で周りの声も小さくなる。
俺が日舞と鈴白さんの2人に小声で声を掛ける。
「出ようか」
「はい」
鈴白さんがうんと頷き日舞さんも共にまだ少しざわついている教室を後にした。
帰り道、この日は2人とも無事に家に着けた。
◇
翌日。
俺は昨日行った日舞さんの家に電車で迎えに行った。
家は普通の一軒家で窓越しから家の中にヒマワリの花が飾られているのが見える。
俺は家のインターホンを押……緊張するな。
押そうと思ったが緊張してやっぱり押すのを躊躇う。
日舞さんは学校1と言ってもいいくらいの人気と可愛さ。そんな人の家に尋ねるのは、なんか恥ずかしい。
が、押さなければ前へ進まない!
俺は勇気を出して家のインターホンを押す!
「ピンポーンピンポーン」
家のチャイムがなった。
すると中からがたかた音がなる。
「ゴーメーン寝坊しちゃったちょっと待って!」
インターホンから日舞さんの慌てた声が聞こえた。
しばらく待つとガチャッと音を立てドアから制服姿の日舞さんが出てきた…
「日舞さん目にすっごい隈できてるけど大丈夫?」
日舞さんの目の下には遠目でも分かるぐらいの隈が付いていた。
「あ!うん大丈夫かな授業で寝ればいいから」
「それは大丈夫じゃないんじゃないの?」
「えへ、一睡もできなかった」
「嘘!大丈夫?今日学校休んどく?」
目に凄い隈を作った日舞さんに俺が心配になって提案する。
「いやいいよ芯葉くんといないと危ないんでしょ?なら行くよ芯葉くんとは同じクラスだし!」
そこか、確かに。
「昨日私もお母さんから聞いたの。ビックリした家のお母さんも全部知ってて、知ってるんだったらもっと早く教えてほしかったって思うけどダメなんだよね」
「あー」
「私達が早く会うと呪いも早く始まっちゃうかもしれない、呪いが起こった代は高校生の時に起きてるから近すぎず遠すぎない距離にいたんだってね」
それは昨日俺も母から追加情報として聞いた。
それなのに小さい頃俺は鈴白さんとあの場所で出会っていて、聞けばかなり危なかったらしい。
「そうらしいな。でもこれからは呪いが始まったんだしい、い一緒にいてもいいらしいからよろしく…」
「うん!よろしく!」
俺は少し自分で言ったことに恥ずかしくなりながらも近くの駅に向かって日舞さんと歩いて行った。
駅に着いた。
来るときも降りたがここが日舞さんの殺された場所。
日舞さんの後ろの人たちは殺意があってやったのか?いや、一緒に落ちたらしいし多分たまたま…本当に呪というか神の天啓みたいなものか…
防ぎようあるのか、これ?
考えながら駅に入る電車待ちの列が並んでいるが前にならないよう後ろに並ぶ。周りのことも警戒しているが、おかしなやつのように見られてないか心配だ。
「えへ、」
「ん?どうかした?」
急にちょっと笑った日舞さんに俺は質問した。
「いやちょっと可笑しくて男性に守られるヒロインみたいだなーって」
「ん、確かにそうかも実際ボディーガードも兼用だからね」
「ボディーガード…あっ!」
何かをひらめいたような顔をして日舞さんが話す。
「ボディーガード雇ってみる?」
唐突な。
「でもダメなんじゃないかなあ天啓的なものに近いし俺達以外ではどうすることもでなさそう」
そっかーと落ち込む日舞さん
「……」
間が空く。
「ねえ芯葉くん。もうここまでされてるんだし芯葉くんって君付けで呼ぶの辞めていい?」
「ああ全然いいよ」
「なら私のことも日舞でいいよ」
「分かった」
「日舞さー」
「何?」
「なんか偉そうじゃない、俺?」
「えへ、そうかなー大丈夫だよ」
「そっか」
名前の呼び方をちょっと変えただけでなんか少しだけ距離が近づいた気がする。俺、恋愛経験ないからか…?
そう考えてる内に電車が来て2人で乗る。
結構満員だ。
電車にも乗れ学校にも着き特に事件なく着くことができた。
学校に着くまで人は少ない。教室に入るも誰もいない。少し2人だけの時間になりそうだ。
「そう言えば日舞さん好きな食べ物とかは?」
「カレーパン!大好きだよ」
話していると、ガラガラッドアの開く音がした。