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悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【事件簿】数話で完結する短編集

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碧色は死を招く色(7)

「小麦農家の長男のジャック氏。農薬を入手しやすい立場です。彼が」

「彼が犯人で決まりじゃないですか! 幼なじみなんですよね? 子供の頃からそのジャックはパン屋の娘に懸想していた。でも相手にしてもらえず、カッときた。殴り殺したらすぐに犯行がバレる。そこで自分が疑われないよう、貴族が犯人だと思われるよう、サファイアティーの名を語って硫酸銅をセシリアに飲ませた。以上、終了では?」


 ライアスはアレスの言葉を遮り、持論を展開する。その上で――。


「パン屋の娘が毒殺されたことなど、僕には関係ない。今日の取材は僕の成功について聞くのが目的でしょう?」


 これ以上腹の内を探られたくないと思ったのだろう。強引に話を切り上げた。だがそこでロバーツが口を開く。


「きっと名前など知らずに挨拶を交わしていたのでしょうな、オルニオン殿は」

「なに……?」

「亡くなったパン屋の娘のセシリア嬢。彼女のこと、オルニオン殿は知っているはずですよ。ご自身の商会のすぐ近くのパン屋の娘です。何度も彼女と会っているはず。会っているどころか、ご自身の馬車に彼女を乗せたこともあるのでは? 記者ですからね、その辺り、いろいろな人間に話を聞いているんですよ」


 ロバーツの指摘にライアスは「うっ」と黙り込み、でもすぐに話し出す。


「お、驚きましたよ! あのパン屋の娘が! まさか! そうでしたか、セシリア、という名だったのですね。知りませんでした。ええ、確かに商会の近くにパン屋があり、僕も利用していましたよ。美味しいパンです。そこの看板娘が……セシリアもよくサービスをしてくれました。新作のパンを味見にどうぞと無料でつけてくれたり。気立てのいい子でした。たまに街中で歩いている彼女を見つけ、声をかけ、馬車に乗せてあげました。両親に頼まれたお使いで、重い荷物を持っていたので、歩いて運ぶには大変です。それで馬車で家まで送ってあげることがありました」


 そこでライアスは胸元からハンカチを取り出し、目尻を拭う。


「そうか。あの娘が……かわいそうに。葬儀はきっとこれからですよね。花束でも贈るようにします」


 そこで扉がノックされ、ライアスがホッとした表情になる。

 取材が中断することで、これ以上セシリアの件について触れられずに済むことに安堵しているように見えた。


「お待たせしています。パンケーキが焼きあがりましたので、お届けに参りました」


 柔らかいブラウンの髪に蜂蜜色の瞳をした真面目そうな青年が、パンケーキの載ったワゴンを押しながら室内に入って来ると、甘い香りが漂う。私は思わずうっとりするが、ライアスの顔が引きつる。


「な……貴様、何をしにここに来た!」


 いきなりワゴンを押す青年を怒鳴りつけた。

 青年は表情を変えずに答える。


「パンケーキをお届けに参りました」

「ふざけるな! 貴様は農家の息子で農夫に過ぎない! この高級ホテルのスタッフのわけがない! まさかお前、セシリアが死んだのを僕のせいだと思い、そのパンケーキに……毒でも仕込んだのか!?」


 ライアスが椅子から立ち上がり、大声で怒鳴った。

 だが青年は落ち着いて応じる。


「いえ、そんなことは。ただ本当に」

「黙れ、黙れ、黙れ! ロバーツさん、アレクサンドリア局長、こいつです! こいつが犯人ですよ! セシリアの幼なじみのジャック! 農夫で農薬を簡単に手に入れることができる! こいつは僕とセシリアが仲良くしているのを妬んでいた! 自分になびかないセシリアに愛想を尽かし、彼女を殺すことにしたんだ。そして農夫のくせにホテルのスタッフのふりをして、今度はこのパンケーキに毒を仕込み、僕を殺そうとしている!」


 ライアスはロバーツとアレスのそばに身を寄せ、ジャックを指差し、叫弾した。


(まさかここでセシリアの幼なじみであるジャックが登場するなんて! これは私は勿論、ロバーツにも、ライズ隊長にも知らせていないことだわ! アレスったらこんな切り札を用意していたなんて!)


 アレス以外が驚き、そのアレス自身は――。

 ライアスを見て、アレスは冷静に指摘する。


「毒殺犯というのは、えてして計画的に犯行を遂行し、自身の手口に圧倒的な自信を持ちます。ですが犯行を遂行した相手が情愛に関わっていたり、さらにもともと人を強く疑う性格だった場合。疑心暗鬼に陥りやすく、自身が毒を盛ったように、誰かに毒を盛られるかもしれない……そう考える傾向があります」


 突然、アレスにそんなふうに言われ、ライアスは目が点になっている。


「ジャックくん。君が知る真実を教えてください」


 アレスに言われたジャックは「はい」と応じると、パン屋の娘毒殺事件の恐るべき真実を語り始めた。

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