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悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【事件簿】数話で完結する短編集

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碧色は死を招く色(5)

 王都で一番人気の高級ホテル『ザ・ロイヤル』のエントランスホールに到着すると、そこにはブラウンのジャケットに、ベージュ×オリーブのチェック柄のズボン、ズボンとお揃いの生地の帽子を被った男性が待っている。


「ライズ隊長、ご足労いただき、ありがとうございます」


 アレスが声をかけると、ライズ隊長は背筋を伸ばし、敬礼する。


「いえいえ、こちらこそ、自分を一員に加えていただけて光栄です」

「そちらが映像機器ですか?」

「はい。最新の機器で、カメラというものです」


 ライズ隊長のそばには木箱があり、そこにカメラ本体や三脚などが収められていた。


 この世界、カメラは最近出始めたばかりで、個人所有しているのはごくわずか。新聞社や出版社、王都警備隊などの組織で所有しているのがメイン。今回、ライアス・ニール・オルニオンからパン屋の娘セシリア毒殺を自白させるため、本物の取材と信じさせる必要がある。そのため、カメラの手配が必要であり、かつその自白を聞き届ける役目をライズ隊長にお願いしたわけだ。


「鍵の受け取りは完了です。予定時刻三十分前なので、まだライアスは到着していない。先に部屋へ行き、準備しましょうか」


 ロバーツの言葉にアレスが頷き、改めて皆を見る。


「まさに役者は揃いました。今日は若き実業家であるライアス・ニール・オルニオンの独占取材ということで、ロバーツさんに記者であり、尋問役をお願いします。ライズ隊長にはカメラマンに扮していただきつつ、自白を聞き届けていただく。わたしとティナは不測の事態に備えつつ、現場に立ち会います。わたしは彼が限りなくクロであるという見立てです。では、客室へ行きましょうか。部屋番号は二〇六号室です」


 アレスの合図に移動を開始、二〇六号室に着くと、ロバーツは取材のセッティング、私はルームサービスで飲み物とお菓子を注文。アレスはライズ隊長のカメラ組み立てを手伝った。


 用意は滞りなく終わり、開始時刻五分前に扉がノックされる。


「では、開幕です」


 アレスが頷き、ロバーツが扉を開けた。


 ◇◇◇


「……なるほど。在学中に起業されたのは、一学年上のコルディア公爵の存在を知ったからなのですね」


 ロバーツの言葉に、ライアスは椅子の背もたれにふんぞり返るように座りながら、「ええ、そうなんです」と大仰に頷く。ゴールドのフロックコートを着たライアスは、青年実業家というより、前世で言うならチンピラのように見えてしまう。ゴールドのいかつ指輪をつけ、ゴールドの派手な装飾のステッキを持参しているからか、なんだかギラギラしすぎて、胡散臭く見えてしまう。


「オルニオン殿にとって、コルディア公爵は憧れの存在ですか?」

「憧れ……そうですね。昔はそうでしたが、今はお互い肩を並べる存在になれたかと」


 どうやらライアスは一歳しか年齢が違わないアレスのことをライバル視しているようだ。自身の商会は赤字で火の車であることを忘れ、アレスと肩を並べるのは自分だ……なんて言い出していることには笑いを堪えるので大変だ。


「コルディア公爵と言えば、最近、婚約されましたよね。大変美しいマルティウス伯爵令嬢と」

「ああ、死を招く紅茶の広告塔の女でしょう。あの女との婚約はコルディア公爵の挫折の始まりでしょうね。何せあの女が広告塔を務めるサファイアティーで毒殺事件が起きたと言うじゃないですか。父親毒殺疑惑が一度はかかったような女と婚約したから、悪運を招くことになったのですよ。残念だが彼はもうダメじゃないですかね。サファイアティーは大失敗だ」


 この場にアレスと私がいると一切気づいていないライアスは言いたい放題だ。

 腹の底ではカチンときているが、ここは我慢するしかない。


「なるほど。ところでオルニオン殿は婚約されないのですか? コルディア公爵に遅れをとっていますね、恋愛に関しては」


 ロバーツは冗談めかして言ったが、ライアスの表情は一瞬で険しくなる。


「貴様……遅れ、だと? 違う! 僕には心から愛する人がいたんだ!」


 ライアスが声を荒げるが、ロバーツは動じることなく聞き返す。


「そうなのですね! それはおめでとうございます! 婚約されるのですね!」

「ち、違う! こ、婚約はしない」

「!? 心から愛する人がいるのに、婚約されないのですか? あ、まさか……高嶺の花で、オルニオン殿では手が届かないのですか?」


 ライアスは椅子から立ち上がり、ロバーツの胸倉をつかむ。


「貴様、馬鹿にしているのか!? 僕が望んで手に入らない女なんて、いないんだぞ!」

「オルニオン殿、失礼しました。うちの記者が未熟で。ですが先ほど『愛する人がいたんだ』と過去形でした。その令嬢とは別れた、ということでしょうか」


 アレスがライアスを落ち着かせ、椅子に座るように促す。

 ライアスは椅子に座り、しばし俯いた後、顔をあげる。


「僕の愛する人は……別の男と婚約してしまった。だから……もう、僕と婚約することはない。彼女の意志ではなかった。家の都合だ。貴族にはよくある話に過ぎない」

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