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悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【事件簿】数話で完結する短編集

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碧色は死を招く色(4)

 ライアス・ニール・オルニオン。


 オルニオン侯爵家の次男で、父親は綿花の輸入を手がける商会を経営していた。次男であり、爵位を継ぐことのないライアスは、十代のうちから自らの手で商会を立ち上げる。それは砂糖の輸入を行う商会だった。


 若くして商会を立ち上げる。


 その心意気は立派であり、誰もが容易くできることではない。ただ立ち上げた商会を成功させることができるかは――また別の問題。心意気ではどうにもならないこと。そしてライアスは商会経営の才能には……恵まれていなかった。


 ただ、彼は容姿に恵まれていた。


 シルバーブロンドの髪は右側の前髪をおろし、左側は後ろに流し、形のいいおでこの下には切れ長の瞳。その目は白水(はくすい)色。武術の嗜みはないので、痩せているが引き締まった体躯というわけではない。それでも身長があるので、スタイルはよく見えた。


 そんなライアスであるから、モテる。


 モテるライアスは来るもの拒まず、去るもの追わずというスタンス。告白されれば付き合うし、別れたいと言われれば、あっさり別れる。ようはこの世界のプレイボーイだった。


 常に同時進行で交際している女性が多数いるが、その全員に優しく接する。なぜなら……うまく行かない商会経営の補填を交際している女性から巻き上げたお金でやりくりしていたからだ。交際している女性に本命などいない。金蔓として大切にしているだけだった。


「ライアスに関する情報は以上です」


 ロバーツと居酒屋で会った翌日。

 アレス、私、ロバーツの三人は同じ馬車に乗り、王都で一番人気の高級ホテル『ザ・ロイヤル』に向かっていた。ザ・ロイヤルの客室を取材部屋として押さえていたのだ。


「去るもの追わずのスタンスだが、去って行く女性は致し方なく去っている。ライアスに貢がされるだけ貢がされて、もう貢げるものは何もない。そんな状況になり、ライアスから嫌われたくないと、自然と身を引いてしまう……。奴は女の敵であり、本来、取材する価値などない人間です」


 そんなライアスを取材するのは他でもない。ライアスがパン屋の娘毒殺事件の容疑者と踏んでいたからだ。


「ライアスの商会は、毒殺されたセシリアが働いていたパン屋のすぐ近くだった。奴がパン屋に足を運ぶ姿は度々目撃されている。ただ、二人が交際していたかというと……。何度か、二人が同じ馬車に乗る姿は目撃されていた。でもその頻度は他の女性とは比べ物にならない。セシリア以外の令嬢とは王都内のレストラン、オペラ、劇場、演奏会などで多数目撃されている。例の劇場の支配人にも話を聞いた。魔女逮捕でお世話になった支配人。彼はライアスが同伴者をとっかえひっかえで変えて来場するのをばっちり目撃していた」

「公演チケットを購入していたのは?」


 対面の席で一人座る深緑色のスーツ姿のロバーツに、私の隣に座るグレーのジャケットを着たアレスが尋ねた。


 今日のアレスはコルディア公爵としてではなく、ロバーツの上司の若き局長アレクサンドリアに扮している。口髭をつけ、眼鏡をかけ、髪もオールバックで普段とは全然違う印象だ。


 そんなにアレスに問われたロバーツは肩をすくめて答える。


「ライアスが自身のお金を使うことはない。すべて女性側が手配していた。レストランの食事もそう。どこに行くにしても、女性がお金を払っていた」

「その女性たちは皆、貴族令嬢ですか?」


 アレクサンドリア局長の秘書に扮する私は、グレーのドレスに黒のジャケットを合わせている。その私が問うと、ロバーツは「その通りです」と頷く。


「平民であるパン屋の娘セシリアでは、オペラのチケットなんてまず無理で、レストランだって貴族が行くようなお店は……。それでも劇場や演奏会はピンキリです。だからといって安いチケットが手に入っても、ライアスは満足しないはず。そう考えると、ライアスにとってセシリアと交際するメリットは何もない……ことはなかったのかもしれないな。パンを買いに行った時、一個サービスしてもらうことぐらいは……。その御礼で馬車でデートをしていたのかもしれない。犬の散歩をするように、馬車で散歩……とか」


 前世ならドライブデートがあったように、この世界で馬車デートがあるのかというと……。


(ない、ないわ、そんなもの。そもそも馬車は移動手段に過ぎず、快適な乗り物とはいうわけでもない。馬車でライアスとセシリアが散歩?デートをしていたとは考えにくいと思う)


 それでも平民であるセシリアが唯一接点を持っていた貴族がライアスだった。しかもプレイボーイだ。もしかするとセシリアがライアスに執心してしまい、さしもの彼も、来るもの拒まずとはいかなくなったのではないか。ストーカーまがいのセシリアが手に負えなくなったわけだ。


(別れの話のもつれで、ライアスはセシリアを消そうと考えたのでは……? そして入手しやすい硫酸銅を手に入れ、セシリアに飲むように仕向けたのではないかしら?)


 そんなことを考えていると馬車はザ・ロイヤルのエントランスに到着した。

お読みいただき、ありがとうございます!

事件の謎を推理しながら、次回の週末更新をお楽しみください~♪


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『悪役令嬢の決断』

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└悪役令嬢にならずに済んだと思ったら、この世界は残酷な決断を私に迫る。

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