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悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【事件簿】数話で完結する短編集

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

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碧色は死を招く色(1)

「ティナお嬢様、見てください!」


 王宮で行われたバロン・ヤン・ヘルトケヴの特別公演を楽しんでから一週間経った日の朝。

 侍女のハンナが血相を変えて寝室に入って来た。


 ◇◇◇


 サファイアティーの広告塔を務めることになっている私は、その準備で忙しい日々を送っていた。コルディア公爵……アレスとの婚約式の準備も同時進行ではある。しかしそちらは結婚式と違い、仲間内でこぢんまり行うもの。ようはいろいろ忖度の必要がないので、気持ち的にかなり楽だった。


 対してサファイアティーのお披露目イベントは、業界の関係者、前世で言うところのインフルエンサーたる人物の招待なども必要となる。そういった調整には気を遣うし、抜け漏れがあると大変だ。よって起床し、私が顔を洗っている間にアーリー・モーニング・ティーと新聞を準備してくれていた侍女のハンナが「ティナお嬢様、見てください!」と慌てた表情で寝室へ来た時。


 サファイアティー関連で何かあったのかと思った。


 そしてそういう予感というのは的中してしまう。


「見てください、これ!」


 窓際のテーブルセットの椅子に腰を下ろした私に、ハンナは新聞を差し出す。

 新聞を受け取った私は、ハンナがティーカップに紅茶を入れてくれている間に、記事に目を通すと――。


『碧色は死を招く色。この紅茶を飲んだら死が舞い込む!?


 今、巷で話題のサファイアティー。現在完全予約販売となっており、貴族令嬢の間で爆発的な人気となっている。人気のきっかけは「碧色は幸運を招く色。この紅茶を飲んだあなたにも、幸運が舞い込むかもしれない――」というキャッチコピーだ。サファイアティーの広告塔は、ティナ・ラニア・マルティウス伯爵令嬢で、あのアレス・ウル・コルディア公爵の婚約者である。しかし彼女の名を多くの人が知ることになったのは、毒殺令嬢疑惑事件の時であろう。マルティウス伯爵令嬢は、父親殺しの毒殺犯疑惑をかけられ、大ピンチに陥る。そのピンチから彼女を救い、実は継母と義理の妹の陰謀と明らかにしたのが、コルディア公爵だった。しかもマルティウス伯爵令嬢の継母は、コルディア公爵の母親のことまで毒殺していたのだ! 毒殺令嬢疑惑事件のマルティウス伯爵令嬢であるが、今回サファイアティーの広告塔に選ばれ、そのイメージはすっかり変わっている。だがしかし! 毒との因縁とは切っても切れないのだろうか。なんとサファイアティーを使った毒殺事件が起きたのだ!』


 まだ読み終わっていなかったが、ここまで読んだだけで、「なんですって!」と私は椅子から立ち上がっていた。


「お嬢様……」


 ハンナが心配そうな顔で紅茶の入ったティーカップをテーブルに置いてくれる。ベルガモットの柑橘系の香りに昂っていた気持ちが少し落ち着く。


 椅子に座り直して、記事の続きに目を通す。そしてクールダウンのために、ゆっくり紅茶を口に運ぶ。


『殺害されたのはパン屋の娘のセシリアだ。彼女は何者かに贈られたサファイアティーを飲み、死に至った。彼女は家族にその毒入りサファイアティーを、特別な人から贈られたと言ってという。そして家族に分け与えることなく、自分一人で飲み、死に至った。夜に飲み、真夜中に激しい腹痛に襲われていたようだ。家の外にある厠の中で意識を失っているのを、翌朝、家族が発見。病院に運ばれたが、その後、死亡。検視が行われ、記者が独自取材した結果、彼女が一人で口にした飲み物がサファイアティーであることが判明している』


 読み終わった私は深呼吸と共に紅茶を口に運ぶ。

 ハンナが心配そうに私を覗き込む。そこで私は新聞を折り畳み、口を開く。


「……おかしいわ。サファイアティーは発売前で、予約受付をしている状態。そう簡単に手に入らないわ。限られた人物がサファイアティーを飲むことができるけれど……。それこそ犯罪に使えば、犯人は自分ですと、と告げるようなものよ」


 発売前のサファイアティーを誰に渡したのか。それはアレスの方で把握しているはずであり、その中にパン屋の娘を毒殺するような人物は……いないと思うのだ。なぜならアレスと深い交友関係にある人は、社会的地位が高かったり、その道で有名な者だったりで、パン屋の娘を殺害して失うものが、あまりにも大きすぎるのだ。


(仮にそんな身分にありながら誰かを殺害するなら、すぐに足がつくような手法をとらないと思うわ。毒入りのサファイアティーなんて使わず、それこそ大金を払い、暗殺者でも雇うはずよ)


「なるほど! ということは……正規に手に入れたサファイアティーではない。つまりは盗んだのでしょうか!?」

「確かに倉庫に在庫はあるけれど、そもそも敷地に警備員がいるわ。倉庫に鍵だってかけている。そう簡単には盗めるようにしていないわよ」

「それは……そうですよね。そうなると、犯人はどうやってサファイアティーを手に入れたのでしょうか……?」


 ハンナは考え込むが、私も見当がつかない。ここは……。


「アレスと話したいわ。公爵邸を訪ねてもいいか、確認をとってもらえるかしら?」

お読みいただき、ありがとうございます~

週末ミステリーということで土日に1話ずつ「碧色は死を招く色」を公開していきます。

コーヒーや紅茶を片手に真相を推理しながら、のんびりお楽しみくださいませ☆彡

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