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悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【事件簿】数話で完結する短編集

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侍女の悩み事(5)

「ハンナ、あなたも部屋に残ってちょうだい」

「え、でもティナお嬢様、これからコルディア公爵様と、結婚式の衣装についてお打ち合わせをされるのではないですか?」

「ハンナ。仕立て屋には十五時半に来るよう、伝えています。よってそれまではこの三人で話すので問題ないです。ティナから話を聞きました。マルティウス伯爵家の離れの裏口で嫌がらせが続いていると。詳しく聞かせていただけませんか」


 コルディア公爵がアイスブルーの髪をサラリと揺らし、紺碧色の瞳を細めて微笑みます。


 秋空のようなスーツ姿のコルディア公爵は大変爽やかです。ティナお嬢様と並ぶと美男美女。彼は王族の血を引く、由緒正しい家柄で、もうその姿は王子様みたいです。見た目も素敵ですが、侍女である私にもとても丁寧に、そして親切に接してくれます。ティナお嬢様が大切にしている方をコルディア公爵はお嬢様と同じように大事にしてくださるのです。


「ありがとうございます、コルディア公爵様、ティナお嬢様。ではお時間をいただき、裏口の件、話したいと思います」

「ええ、そうしてください。ティナの横にお座りください」

「え!」

「ハンナ、もたもたしては失礼よ。座ってちょうだい」


 ティナお嬢様にもそう言われ、クリーム色のドレスを着るお嬢様の横に座ると、メイドが私の分の飲み物を用意してくれます。


「ありがとうございます」と御礼を伝え、勧められるままティーカップを手に取ります。飲み物は、今、巷で大人気のサファイアティー。あまりの人気で予約受付販売となっており、その予約は来年の春まで埋まっています。こうしていただくことができるのは、ティナお嬢様がサファイアティーを扱う商会の責任者だからです。


「その嫌がらせはいつから始まったのですか?」


 落ち着いた様子のコルディア公爵に尋ねられ、私は「いつから……」と思い出します。


 そこでメイド長の言葉が頭に浮かびました。


 メイド長は『どこの誰だか知らないけれど、暑さが収まったからと言って、こういう悪戯は困るわ』と言っていたのです。


「秋になってからでした。まるで涼しくなり、悪戯しやくなったとばかりに」

「なるほど。置かれているのは動物の骨、虫の死骸、釘、ガラス片なのですね?」

「はい。そうです」


 コルディア公爵は頷きながら、質問を続けます。


「時間はいつも朝ですか?」

「そうなんです。朝からそんなものを見せられ、使用人たちは気分をとても悪くしています」

「他の時間帯に置かれたことは?」

「ないですね。日中は誰かしらの目があると思います」


 そこでコルディア公爵は腕組みをして考え込みます。


「誰かかしらの目……。伯爵邸には門番もいますし、私と婚約して以降、警備兵もつけています。その目をかいぐぐって、そういった物を置いているのでしょうか?」

「そうですね。早朝は門番も警備兵も入れ替えがあります。それでいて馬丁や庭師、一部の使用人はその時間でも動いていますし、市場からの食材も届くので屋敷に人の出入りがあるのです。そこに紛れ、嫌がらせの品を置くことは……できるのではないかと思います。夏に使用人の大量解雇もあったので、その逆恨みではないかとも言われているのですが……」

「逆恨みは……あるかもしれませんね。解雇した使用人のうち、何人かはあの魔女を庇うような言動をしていたので、推薦状も与えなかったと聞いています。ですがここは王都。クビにされ、職もなく生きていくのは難しいでしょう。すぐに街を出たはずです。そんな嫌がらせをする余裕などないと思います」


 そこでティナお嬢様もご自身の考えを披露されます。


「もし次の仕事をなんとか見つけて、働きながら毎朝そんな地味な嫌がらせをするなんて……。嫌がらせをするなら、もっと派手にしないかしら? たとえば赤いペンキをぶちまけておくとか。捕まった時の言い逃れで中途半端なことをしているの……?」

「ティナの言う通りです。嫌がらせにしては地味です」


 コルディア公爵も同意し、私もそうだと思いつつ、メイドの言葉を思い出します。


「実は呪術の(たぐい)ではと考える使用人もいます。呪いが込められたものではないかと。怪しい叫び声を聞いた人もいるのです」

「……なるほど。それならば動物の骨や釘である理由がよく分かります。とはいえ、呪術を込めた物なら、それを呪いたい相手が手にしたり、所有しないと意味がないと思うのです。そうなると呪術の類ではなく……あ、本当に毎朝置かれているのですか?」

「毎朝、あ、はい……いえ、違います。置かれていない日もあります。雨の日の朝は置かれていません」


 これにはティナお嬢様が笑っている。


「嫌がらせなのに天気が悪いとさぼるなんて。随分とのんびりしているのね」

「それは……そうですね」


 私も苦笑していると、コルディア公爵が静かに告げる。


「犯人が分かりました」

「「えっ」」


 ティナお嬢様と私の声が揃います。


「まずは天気を確認します。もし明日が晴れであれば、犯人を見つけることができるでしょう」

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