表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【事件簿】数話で完結する短編集

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/104

侍女の悩み事(1)

 マルティウス伯爵家にお仕えするようになって、そしてティナお嬢様の侍女になってからの日々。

 それはまさに波乱万丈です。

 貴族の令嬢、しかも伯爵家の上位クラスの令嬢ともなると、”深窓の令嬢”と評されることがしばしあります。ティナお嬢様も本来は伯爵家の深窓の令嬢として、デビュタントを迎えるその日まで、お屋敷深くで蝶よ花よと大切に大切に育てられていたとしても、おかしくないのですが……。


「ハンナ。お願い。私、どうしても心配なの。お父様は商会経営で成功しているけど、ライバルもとても多い。執事長に聞いたの。ライバル関係にある商会が雇った暴漢に、お父様は昔、襲われそうになったこともあるって。私、お父様を守りたいの。大切な肉親をもう失いたくないから! そのため、お父様に悪いことをしない人がいないか、人を雇って調べてもらおうと思っているのよ」


 ティナお嬢様は突然、そんなことを言い出すのです。しかも目星をつけた怪しい人物と会うつもりだけど、そのことはマルティウス伯爵様には黙って欲しいと言い出したり……。


 この時はティナお嬢様の必死さに胸が打たれ「分かりました」と応じてしまいました。ですがティナお嬢様が行った場所は、なんとマルティウス伯爵とはライバル関係にあるパウエル男爵が経営するカフェだったのです!


(よもや敵の本拠地にティナお嬢様が乗り込むなんて……!)


 ここ最近のティナお嬢様の行動力は、並みの令嬢のものではありません。私はただただ侍女として、ティナお嬢様の邪魔をしないよう、見守ることに徹していたのですが……。


「ハンナ。あんたのこと奥様、呼んでる」


 最近、伯爵邸では、異国の使用人が増えています。マルティウス伯爵が遂に後妻を迎え、新たな伯爵夫人となったアマリア様は、異国の人材を使用人として雇用するようになったからです。この件についてメイド長はこんなふうに言っています。


「アマリア様によると、貿易業を家業にしているなら、人種にこだわる必要はないと。有能な人間は、国を問わず、採用するべきだって。それは一理あるわよ。でも言葉が通じないのは……。水が必要なのになぜか熱湯が出て来たりで、大変だわ。使用人として雇う前に、ある程度、言葉ができるような教育を受けさせてあげるのが、先なんじゃないのかしらねぇ」


 メイド長が言うことは尤もでした。今も私に声をかけた、海を渡った遠い島国出身のグルゼは言葉が片言。しかも本人は言葉ができないことを恥じており、常に何でも分かったふりをするので、失敗も多いのです。その失敗の尻ぬぐいは、侍女の私もしたことがあるぐらいだったのですが……。


 今回はアマリア様に呼ばれていることを伝えてくれました。文法ができていないので、ぶっきらぼうな物言いになっていますが、意味は通じています。お客様相手ではないので、それでも今はいいでしょう。でもグルゼはアマリア様の小間使いのように動き、たまに彼女を訪ねてやって来る商人の対応もしているのです。その際の会話は、聞いていていつもヒヤヒヤです。


 ヒヤヒヤはしますが、アマリア様は自身がこうと決めたことを変えるような性格ではありません。特に下々の者の意見に耳を傾けることなんて、ないのです。それでも古参の使用人の中には、アマリア様に物申した者もいます。マルティウス伯爵もいる前で意見した者もいました。そういう時、アマリア様は「まあ、ごめんなさいね。私、伯爵夫人としてはまだまだ未熟だわ。教えてくださり、ありがとう。明日から提案してくれたものに変えるわね」と、実に従順に応じます。


 でも……。


 後日、アマリア様に意見をした使用人は屋敷から姿を消すのです。その理由は「本人の体の不調」「身内での不幸」「本人が退職を希望した」などではあるのですが……。真相は不明のままです。何せ全て事後で知ることになるため、本人に確認のしようがない。気付いたら、誰それがいない、となり、確認すると「もう屋敷を去った」なのです。


「アマリア様、グルゼです。ハンナ、連れて来ました」


 アマリア様の部屋に私を案内したグルゼが片言で来訪を伝えると、すぐに扉が開きます。開いた扉から顔を覗かせているのは、アマリア様の腹心と言われているシャロンです。アマリア様の侍女であり、彼女がこの伯爵邸に連れてきた、たった一人の使用人でもあります。


「ハンナはこちらへ。グルゼ、ご苦労です。仕事に戻っていいとアマリア様が言っています」

「分かりました、シャロン様」


 グルゼが去り、私はアマリア様の部屋に入りました。前室のソファで寛ぐアマリア様は、にこやかな笑顔で私を迎えます。


「ハンナ。あなた、ティナの侍女としていつも頑張ってくれてありがとうね」


 アマリア様はそう言いながら、私にソファへ座ることを勧めました。


「いえ、私は仕事中ですから……」

「仕事……もう仕事中ではなくなったのよ、ハンナ」

「え、それは……」

「あなたにぴったりの結婚相手を見つけたのよ。私の知り合いの銀行家の令息よ。彼ね、とても優秀で、近いうちに男爵位を授かるわ。そうなったらあなたも男爵夫人。よかったわね、ハンナ。おめでとう。既に荷物はあなたが部屋にいない間にシャロンがまとめてくれているから、今すぐ、家へ帰りなさい」

お読みいただき、ありがとうございます!

【事件簿】シリーズの開幕です。

ストックなしですが、書けたら更新優先にします。

……もし誤字脱字に気付いたらお知らせいただけると嬉しいです。

作者の目は節穴凹

いいねや評価やブックマークなどの応援いただけると原稿の筆がスピードアップ⤴

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索してご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ