表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/104

67:すぐに犯人を……

 幼いコルディア公爵の命を守るため。彼の父親が毒殺であることは伏せられた。


 前世であれば。毒殺だったのに病死で処理するなんて、まず無理なことだと思う。司法解剖も行われるし、捜査は念入りに行われる。しかしこの世界では、科学捜査はまだまだ発展途上。捜査体制も万全とは言い難い。しかも公爵家が事件性を伏せたいと願ったのだ。そのまま病死として処理されることになった。


「病死として処理されたと知り、犯人の女は安堵したと思います。息子であるわたしに顔を見られたものの、病死であれば自分は疑われないと、確信したことでしょう。ヘッドバトラーの目論見は上手くいき、わたしは命を狙われずに済みました」


 そこでコルディア公爵はアイスブルーの髪をサラリと揺らし、実に悔しそうな表情を浮かべる。


「わたしは女の顔を見ていました。父親の遺した日記から、犯人像も掴むことができたのです。動機も分かっています。何より印象的だったのは、ローブを胸の前で留めていたブローチです。アメシストで作られた蝶の形のブローチ。いろいろと分かっていることが多い反面、女の名前は分かりませんでした。日記に書かれていた名前、それは偽名だったのです」


 大きくため息をつき、コルディア公爵は紺碧色の瞳に悔しさをにじませる。


「しばらく泳がせることになっても。犯人の女を特定し、不意打ちで逮捕できるだろう。そう考えていました。女の顔も分かっているので、すぐに似顔絵も作成していたのですが……」


 そこで言葉を切り、チラリとアマリアを見た後、コルディア公爵は話を続ける。


「女性は化粧ひとつで顔つきが簡単に変わってしまう。さらに髪の色も。フードの下に見えていたのはブロンドでしたが……。染めたり、かつらを被ったりすれば、髪色も頼りにはなりません。さらに助産院での記録を調べても、やはり嘘の情報ばかり。犯人の女に辿り着けませんでした」


 女が何者なのか。どこへ消えたのか。その足取りも消息もつかめない中、苦労は重なる。


「当時六歳だったわたしは、次期公爵家当主になるべく、いろいろと学ぶことが山積みでした。勿論、後見人である父親の弟がついていましたが、当主になるための学びに追われ、犯人捜しどころではありません。ヘッドバトラーは探偵などを雇い、捜索を続けてくれましたが……結局、女を見つけることができませんでした」


 もはや自身の父親に毒を盛った女を捕らえることはできない。そう思っていたら……。


「毒はおそらく飲み物に、ワインや洋酒に盛られていたようです。ですがグラスも瓶も、毒が入っていた容器も含め、すべて犯人の女が持ち去っていました。ですが亡くなった父親の遺体から、毒の抽出には成功していたのです。ただ、毒の特定はできていませんでした。そちらの調査は秘密裡にアカデミーの研究所に依頼していたのです。そしてようやく毒の特定ができました」


 コルディア公爵がその場にいる一人一人にゆっくり視線を向け、そしておもむろに口を開く。


「マンチニールです。わたしの父親が盛られた毒はマンチニールの木に由来するものでした。そしてマンチニールは、そこら辺で見かける木ではありません。スパイス諸島と言われるモロッカ諸島の固有種です。そこでわたしはモロッカ諸島への交易で船の乗り入れの話が浮上した時。なんとしてもその権利を得たいと考えました。ですがそこは運悪く、選ばれなかったので、非公式でオランジェ王国の貿易会社に接触を試みましたが……。ダメでした」


 ロバーツが調べたコルディア公爵の動き。それは何としてもモロッカ諸島でスパイスを手に入れたいからではなかった。自身の父親を死に追いやったマンチニールについて、調べるためだったのだ。


「毒の特定はできたものの、さらなる研究はできず、犯人の女は見つからない。それでも諦めるつもりはありませんでした。わたしの生涯をかけ、犯人を見つける。そう決意していたのですから。そしてつい最近、転機が訪れたのです。犯人の女は、化粧やかつらなどでその見た目を変えてしまった。だが変わらなかったものがあります。それがブローチです」


 そこでコルディア公爵がヴィオレットを見た。


「デビュタントには国王陛下に言われ、渋々参加しましたが……。そこでティナ嬢との楽しい出会いがあり、わたしとしてはそれで十分でした。まさかそこであの因縁のブローチを見つけることになるとは、思ってもいませんでした」


「ブローチ……? それは先ほど言っていた犯人の女のローブを留めていたブローチのことですか、コルディア公爵?」


 ライズ隊長の問いに、コルディア公爵は大きく頷く。


「ええ、そうです。濃い紫色のアメシストで作られた蝶のデザインのブローチです。そのブローチをヴィオレット嬢がつけていたのです、デビュタントに同行した際に着ていたドレス。その胸元につけられたブローチを見た時は……衝撃でした。すぐにでも彼女にそのブローチについて問い詰めたくなる衝動を抑えるため、その場から即、立ち去ることになったぐらいです」


 これを聞いたヴィオレットは「ち、違います!」と慌てた様子で声をあげる。


「そのブローチは私のものではなく、お義姉様のものです! あの日、お義姉様が私に貸してくれただけで、私のものではありません! お、お義姉様が私に罪をなすりつけるために」

「ヴィオレット」


 変な言い逃れを始めたヴィオレットを牽制するため、私はその名を呼んだ。

お読みいただき、ありがとうございます!

次話はブックマーク登録してお待ちくださいませ☆彡

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索してご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ