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悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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63:死のリンゴ

「待ってください。それはどういうことでしょうか。瓶はマルティウス伯爵の屋敷で見かけたとは聞きましたが、なぜティナ嬢が容疑者となり、拘束されるのですか!?」


 最初に抗議の声を上げてくれたのは、コルディア公爵だ。


「ティナを拘束する!? 毒殺未遂容疑!? そんなこと、認めん!」


 コルディア公爵とほぼ同時で声を上げてくれたのは、父親だった。


「お二人とも、落ち着いてください。容疑者になるのも、拘束するにも、理由があるのですから」


 ライズ隊長がそう言うが、コルディア公爵と父親は一歩も譲らない。


「ではまず、その理由を説明してください」

「そうだ。その説明なくして、ティナを拘束することは認めない」


 コルディア公爵と父親はそう言いながら、私の両サイドに駆け寄った、王都警備隊の隊員を牽制。隊員は困った顔でライズ隊長を見る。


「分かりました。説明をするので、皆さん、一旦座ってください」


 ライズ隊長はそう言うと、隊員に目配せをする。私の両サイドにいる隊員は距離をとったが、いつでも私を捕えることができる配置につく。さらに扉の近くにも隊員が待機し、私がこの部屋から逃げ出さないようにしていると分かる。


「そんな監視するようにしなくても……」

「そうだ。ティナは何も悪くない。逃げも隠れもしない!」


 コルディア公爵と父親がそう言うと、ライズ隊長は「まあまあ」と二人を宥め、医師のサムに声を掛ける。


「先程の件を話してください」


 ライズ隊長に促された医師のサムが話し始める。


「小瓶とこちらの侍女が見つけた瓶の中身は一致していました」


 コルディア公爵と父親が何か言おうとする前に、サムが話を続ける。


「そして持参していた毒のサンプルと照合した結果。一致したんです。とても珍しい毒でした。それはモロッカ諸島の固有種であるマンチニールです。この木は葉から枝から実に至るまで、すべてに毒を踏んでいると言われています。その毒は水に溶け出しやすく、この木の下で雨宿りしただけでも毒の影響を受けると言われているぐらいです」


 これを聞き、その場にいる全員が驚きの表情を浮かべた。サムは淡々と話を続ける。


「別名『死のリンゴ』と評されるのは、その実が小ぶりのリンゴに似ているからですよ。そしてこの実、甘みがある。よって毒とは思わず、食べてしまうと……。喉は腫れ上がり、激痛をもたらし、胃にも不調がもたらされる。そのまま何もしないと死亡するとされています」


「まあ! なんて恐ろしい毒ですの!? その小瓶がボックス席にあったということは。その毒が主人のブランデーに入れられていた可能性がある……ということですよね!?」


 アマリアが尋ねると、ライズ隊長が強く頷く。


「可能性、ではありません。盛られていたんですよ!」

「それはどういうことですか!?」


 ヴィオレットが悲鳴のように叫ぶ。

 ライズ隊長がサムを見る。


「マルティウス伯爵の飲んでいたブランデーのグラスも回収されています。そちらでも確認できたのです。その毒がグラスでも発見されました」


 サムの言葉を聞き、アマリアの顔は青ざめ、そして――。


「そんな、お父様……!」


 ヴィオレットが崩れ落ち、シャロンが慌ててその体を支える。


「いや、待って欲しい。その毒を飲んだ(?)らしい僕はこの通り、喉は腫れていないし、激痛もなければ胃に不調はないんだ!」


 父親に続き、コルディア公爵も口を開く。


「マンチニールについてはわたしも知っています。モロッカ諸島と言えば、スパイス諸島で知られていますし、交易を模索した際、その地域についてはよく調べました」


 落ち着いた様子の公爵は話を続ける。


「マンチニールが甘い毒であることから、各国のスパイ組織が暗殺の薬として用いることもあると聞いています。とはいえ、モロッカ諸島への船の乗り入れは制限されています。そう簡単に手に入れることは……」


 そこでコルディア公爵はハッとする。


「……なるほど。マルティウス伯爵の商会は、モロッカ諸島への船の乗り入れが認められています。入手しようと思えばマンチニールの毒は手に入れられるということ。つまり瓶はマルティウス伯爵の屋敷で、彼の書斎から発見され……たわけではない? まさかティナ嬢の部屋から見つかったのですか!?」


 驚愕しながら尋ねるコルディア公爵に、ライズ隊長は頷いて見せる。


「元々はマルティウス伯爵の書斎にあったのかもしれません。それをティナ嬢が盗み出し、自室のクローゼットにしまった。綺麗な布に包まれていましたが、それを侍女が発見しています」


 ライズ隊長がシャロンを見て、彼女は力強く頷く。


「中身が何であるか分からないし、まさか毒物とは思わないため、そのまま見なかったことにして放置していたわけです。そして先程部下と共にマルティウス伯爵の屋敷へ向かい、ヘッドバトラー立ち合いの元、ティナ嬢の部屋に踏み込みました。そこで瓶が発見されたのです。侍女によると、『量が減ったように思える』とのこと。つまり今回の犯行に使われた可能性が極めて高いのです」

「そんな! ではお義姉様がお父様のブランデーに毒を盛ったのですか!?」

「信じられないわ。ティナが実の父親にそんなことをするなんて! でも確かに、主人にブランデーの入ったグラスを渡したのは……ティナだわ! こっそり毒を入れたのかもしれない……」


 ヴィオレットとアマリアが同時に叫び、その場は一旦シンとしたが……。

お読みいただき、ありがとうございます!

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