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悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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49:世界が変わる

「奥様。そろそろティナお嬢様は、出発された方がよろしいかと。公爵は時間を重視されています。もし予定時刻より遅れれば、それはティナお嬢様へのマイナス評価だけでは終わりません。マルティウス伯爵家に対する、低評価につながります。特に旦那様が不在の今。マルティウス伯爵家を仕切るのは、奥様です。ティナお嬢様が遅刻した場合。旦那様が留守であるため、奥様がもたついているからこうなったと、判断されかねません」


 ヘッドバトラーが、私が困っていることに気が付き、ナイスアドバイスをしてくれた!


「冗談じゃないわよ! そんなことで私の評判が落ちてたまるものですか! ほらティナ、早く馬車に乗って! シャロンも早く」

「お母様!」

「ヴィオレットは部屋に戻りなさい!」


 もうドタバタしながらも、なんとか私は馬車に乗り込み、公爵邸へ向かう。


 慌ただしい出発となったが、何とか公爵邸に到着。すると世界が変わる。


 アイスブルーの髪に紺碧色の瞳。スラリとした長身がまとうのは、セレストブルーのセットアップだ。美貌の顔に煌めくような笑顔で、コルディア公爵が私を迎えてくれる。


「マルティウス伯爵令嬢。お待ちしていました。今日は手紙の続きを話したいと思います」

「芳醇で深い味わいがありながら、酸味をある程度抑えたコーヒーを作る件ですよね?」

「ええ。そうです。適度な酸味はコーヒーの味わいを引き締めますが、そのバランスが難しいですよね。君が言っていた豆の選定から焙煎、抽出の際の温度や時間など、より細かく話したいです」


 こんな会話をしながらコルディア公爵のエスコートで歩き始めると、後ろにいるシャロンは……。


「では侍女の方は別室の控え室へどうぞ」

「分かりました」


 大人しく応じ、同室しようと主張することもない。だが応接室へ移動し、そこで公爵と話すことは――。


「ゴールデン・スプーンの新作アイス、召し上がりましたか、マルティウス伯爵令嬢?」

「はい! 初日に並んで手に入れました!」


 コーヒー豆の話などしない。コルディア公爵は六歳の頃から後見人がいながらも、貿易業について学んでいる。コーヒー豆に関して、私から知識を授かるレベルなどではなかった。コーヒー豆について話していると、アマリアやヴィオレットに思わせるため、一芝居を打ったわけだ。目の前であの会話を聞いたシャロンは、アマリアやヴィオレットに「確かにコーヒーについて話していました」と報告するはずだ。


 だが実際はティータイムにピッタリなスイーツな話やお互いの好きな物についての話をしていた。あくまで気軽に寛ぐための時間を共有していたのだ。


「新作アイスは召し上がったと。ではこちらの店舗限定味はどうですか?」

「! それは王都限定のプラム味ですよね!? 確か十個のみの販売で、入手不可能と言われていたフレーバーでは!?」

「ええ。ですがゴールデン・スプーンを運営する商会に、わたしは出資しているんですよ。新作は勿論、限定味も味見は必要でしょう?」


 これにはビックリ。


(彼が持つ商会は数が多いわ。でも出資までしていたなんて! 出資まで含めると、ほとんどの産業にコルディア公爵家が関わっているのではないかしら!?)


「どうぞ、召し上がってください」

「ありがとうございます!」

「召し上がりながら見て欲しいのですが、東方からの舶来品で珍しい物が手に入りました。これは何だか分かりますか?」


 こんな感じで美味しいスイーツを味わい、お互いの興味が赴くままに話をすることになる。時間はあっという間に過ぎてしまい、そして別れ際は――。


「標高が高く、涼しい地域で栽培された豆は、酸味とフルーティーさが特徴になるんですよね? 低地で温暖な地域で栽培された豆はどうなるのですか?」

「コルディア公爵、そちらについて話し始めると、この立ち話では終わりません」

「そうですよね。申し訳ないです。この話の続きをよろしければまた、来週お願いしたいのですが」

「ええ、では手紙を送ってくださいませ。お母様もきっとお許し下さると思いますわ」


 こんな会話をして、次もまたコーヒー豆談義を続けると、まずはシャロンに思わせる。シャロンはアマリアに報告し、そこへコルディア公爵からの手紙が届く。シャロンの報告と手紙の内容は一致しており、「またコーヒー豆? いい加減、コーヒー豆なんて、どうでもいいのでは!? もっとヴィオレットでも話ができるような、甘い物や演劇の話でもしてくれればいいのに!」となるだろう。しかし私がまた翌週、コルディア公爵邸を訪問することを、アマリアは渋々許すしかない。


 こんなふうにして一週間に一度の楽しみができ、五月の終わりを迎えた。


 この週末にヘルトケヴの公演がある。アマリアとヴィオレットは公演へ向け、ドレスや宝飾品選びに余念がない。


 私には「この日の主人公はヴィオレットなのよ。ティナはお姉さんとして、妹を立ててあげるのよ。ドレスはなるべく落ち着いた色味を選びなさい」と言われているが……。


 むしろこれが正解。コルディア公爵はイブニングドレスでも派手な露出やゴージャスさより、控えめを好むことは……二人に伝えるつもりはない。「公爵はどんなドレスが好みなのか、ティナ知っている?」とも聞かれていないのだから。


 こんな感じでドレスや宝飾品選びをしている時に朗報が届く。


「皆様、旦那様から手紙が届きました。金曜日に王都へ戻って来るようです。船は既に港町へ到着しています!」


 まるでヘルトケヴの公演に間に合わせるかのように。父親が帰国してくれたのだ!

お読みいただき、ありがとうございます!

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