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悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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19: 変化

 父親がアマリアと再婚し、ヴィオレットが一緒に暮らすようになってから、屋敷の雰囲気が何というか明るくなった。


 おしゃべり好きの女性二人が加わることで、食事の最中もティータイムも常に笑い声が絶えない状態になったのだ。さらにヴィオレットがパステルカラーを好むので、屋敷の中に飾られる花もカラフルなものになり、アマリアも「絨毯やカーテン、そろそろ新調しましょう」と、これまでの落ち着いたアンティークグリーンから一転。ローズ柄のカーテンに変えたり、真鍮製の装飾をゴールドに変えたりしたので、物理的にも屋敷が明るくなっていた。


 変化は屋敷の内装だけではなかった。


 夏の早朝。

 乗馬の練習をしようと厩舎に行くと、褐色の肌の見知らぬ男性がいる。


(どなた様!?)


 驚いてしまったが、それはアマリアが新しく雇った馬丁だった。


「貿易業を家業にしているなら、人種にこだわる必要はないと思うの。有能な方は国を問わず、採用しないと!」


 アマリアは前世で言うなら、まさにダイバーシティ&インクルージョンを実行していた。それはとても革新的な考え方ではあったのだけど、気づけば古参の使用人の数が減っている。


 だが再婚した直後から、父親は貿易業が忙しくなっている。

 それはレッド侯爵夫人と手掛ける新規事業、さらにはパウエル元男爵の跡を継いだポールのコーヒー豆の輸入業を手伝う……業務提携を行うことになったからだ。よって家のことはアマリアに任せ、父親は早朝に家を出て、深夜に帰宅することが増えた。


 そんな、父親と会話する機会が減っていたある夏の日のこと。


 ヴィオレットと二人、ダンスのレッスンを受けていたが、私だけアマリアに呼び出された。


「ごめんなさいね、ティナ。ダンスのレッスン中だったのに」

「いえ、お母様。何かありましたか?」

「そう……実は、これね」


 アマリアの私室に呼び出され、ローテーブルを挟み、対面で向き合う形でソファに腰を下ろしていた。東方出身という黒髪に焦げ茶色の瞳の新しいメイドが、紅茶をローテーブルに置き、退出すると、アマリアが封筒を取り出した。


 トンとローテーブルにアマリアが置いたクリーム色の封筒、そこに書かれた私の名前を見てハッとする。


 この文字は……。


「現当主のパウエル男爵。名前はポール。彼と文通をしているようね」

「はい。そうです。ポールはカフェで店員として働いた経験はありますが、コーヒー豆について詳しいわけではありません。私は……その、お父様の書斎で本を読み、多少コーヒー豆についての知識があったので……。焙煎前に未熟豆や欠点豆は取り除いた方がいいなど、初歩的なことですが、手紙でアドバイスしていたのです。前男爵が利益追求でやっていなかったことを、ポールにはするべきだと伝えていたのですが…」


 チラリと封筒に目をやると、それはペーパーナイフで開封されていることに気付く。

 そのことに驚く気持ちはない。

 この世界は前世と違い、個人のプライバシーが尊重されるような価値観はなかった。プライバシーよりも、家門の名を傷つけるようなことが手紙に書かれていないか。未婚令嬢として不適切な手紙のやりとりをしていないか。監視するために親が子供の手紙を確認することが当たり前の世界だった。


 とはいえ。


 見られて困る手紙のやりとりはしていない。困るとしたらロバーツとの手紙だが、前パウエル男爵は既に王都にいないのだし、これ以上の調査はいらないだろうと、一旦連絡は止まっていた。よってロバーツと手紙のやりとりは、父親が再婚してからは行っていなかった。


「そうね。この手紙を見る限り。問題になる内容は一切なかったわ。そこは……お母さんも安心できたのよ」


 そこでアマリアはティーソーサーを手にとり、ティーカップを掴むと、紅茶を口元に運ぶ。


「でもね、ティナ。あなたは未成年で、これから婚約者を見つけるのよ。不必要に親しい間柄の男性がいることは、縁談話に傷がつくわ」


 それは……そう言われてしまうと、その通りだった。


「パウエル男爵のことも、あなたはポールと呼んでいるけど、それは行き過ぎよね?」


 これにはぐうの音も出ない。

 確かにファーストネームで未婚の男女が呼び合うなら、それは婚約者同士だ。私は前世の感覚でポールと呼んでしまったが、それはアマリアの言う通りで相応しくない。心の中ではどう呼んでもいい。でも声に出して呼ぶ時は、パウエル男爵と言うべきだった。


「そうですね。お母様の言う通りです。……申し訳ありません」

「分かってくれたのならいいのよ、ティナ。あなたが素直で良かったわ。こっちにいらっしゃい」


 この世界、躾の一環で、一部貴族の間では、体罰も行われている。特に寄宿学校などでは、体罰も当たり前だと言う。だが貴族は粗野と捉えられる体罰は避け、言葉による厳しい躾がなされると聞いていた。それでも近くに来なさいと言われると……。


(体罰を受けることになるのでは!?)


 何とも言えず、不安になる。身を固くして、アマリアのそばへ行くことになった。


「座りなさい、ティナ」


 言われるまま、アマリアの隣に腰を下ろす。

 緊張は続いており、全身が強張っていたが……。

お読みいただきありがとうございます!

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