表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/104

17:家族が増える

 パウエル元男爵の乱闘事件から一週間が経った。新聞では間もなく始まるバカンスシーズンの話題が一面を飾っている。新聞から乱闘事件の記事が消えることで、父親も今回の件を次第に忘れてくれるはずだ。


 そんなふうに思いながら、気持ちを前向きにしようと、明るい若草色のドレスを着て、朝食の席に着くと……。濃紺のスーツ姿の父親が、改まった様子で私の名を呼んだ。


「お父様、どうされましたか?」


 メイドが焼き立ての卵料理とソーセージやハムを出し終えると、父親はしゅへの祈りを捧げ、「いただきます」をしてから、「実は」ということで話を切り出した。


「アマリア子爵未亡人から、女親がいない子育ての問題点や注意点を教えてもらっていたんだ」

「そうなのですね」

「ティナはこれから年頃になる。その年齢の令嬢ならではの悩み、婚約者探しなど、女親に相談したいことが増えて来ると、アマリア子爵未亡人は言っていた。そして自分でよければ、ティナの相談にいつでも乗る――そう言ってくれたんだ。ティナの母親代わりで相談に乗るとね」


 これにはアマリアの優しさに、ジーンとしてしまう。


「母親代わりをしてもらうぐらいなら……いっそ本当の母親になってもらえばいいのではないか。そう思ったのだが、ティナはどう思う?」


 これには一瞬「!?」となるが、じわじわと理解する。


(お父様は、アマリアとの再婚を考えているのでは!?)


「……それはつまり、アマリア子爵未亡人が私の新しいお母様になるということですか?」

「そうだよ、ティナ。……父さんが亡くなった母さんを愛する気持ちは変わらない。今でも心から母さんのことを想っている。ただ、それは父さんのエゴに過ぎない。ティナには女親が必要に思える。同性だからこそ、打ち明けられる悩みもあると、アマリア子爵未亡人は言っていた」

「お父様! 私のために、無理に再婚をなさらなくても」


 すると父親は「そういうわけではない!」と少し顔を赤くする。


「亡くなった母さんのことが好きなのは事実なんだ。ただ、その……アマリア子爵未亡人と話していると、心が落ち着くというか。彼女の包容力を前にすると、何とも言えない気持ちになり……」


 なるほど。亡くなった母親を好きな気持ちがありながらも、アマリアに少しずつ惹かれているのでは!? それは……悪いことではないと思う。十二年間。父親は喪に服していたようなもの。


 もしも私のために再婚を考えるなら、それは止めた。でも父親本人も、アマリアを好きになっているなら……。


 真犯人は判明し、王都から遠い場所にいる。もう毒殺事件は起きない。だからアマリアとヴィオレットを安心して我が家に迎えられると思った。


「お父様が新しくお母様を迎えること。それは私のためだけではなく、お父様自身もそうしたいという気持ちがあるのなら。私は大歓迎です! 新しいお母様ができることは」

「ティナ……!」


 父親は顔を赤くし、その姿はまだ恋を知らない少年のように見えてしまう。自分の父親ではあるが、なんとも可愛らしいと微笑むと、慌てたように父親は話し出す。


「そ、それに男親は娘につい甘くしがち。時には厳しい躾も娘に必要になるが、それをできるのは女親であるとアマリア子爵未亡人は言っていた。それは……まさにその通りだ。本当はティナが侍女と別行動をしていたこと。もっと雷を落とすべきだったと、彼女に言われ、目から鱗が落ちるだったよ。確かに大目にし過ぎた。そういった父さんが至らないところも、アマリア子爵未亡人なら、きめ細かくサポートしてくれると思ったんだ」


 これは耳が痛くなる話。貴族令嬢として侍女との別行動は、本来言語道断だった。父親はティナに甘いので、キツイお叱りはなかったが……。そこはアマリアが言う通りで、男親と女親で役割分担はあると思う。


 両方がキツイ親だと、子供は逃げ場がなく、疲弊するだろう。よって母親が厳しく叱ったら、父親が逃げ場になりつつ「今後は気をつけようね」となるのは、悪い流れではないと思った。


「確かにアマリア子爵未亡人が言うことは、一理あると思います。そういう点からも、私も女親ができることは、とてもいいことだと思います」

「……そうか。ティナがそう言ってくれたなら安心だ。アマリア子爵未亡人にも、このマルティウス伯爵家に、ヴィオレット共々迎えたいと話してみるよ」

「いいと思います!」


 ニッコリ笑うと、父親が心配そうに尋ねる。


「ちなみにヴィオレットが妹になることは……」

「大歓迎です! 私は一人っ子でしたから、妹ができるなんて、嬉しくてならないです!」

「そうか。それなら何も問題ないな」


 私が大きく頷くと、父親は安堵の表情になった。

お読みいただきありがとうございます!

次話は21時頃公開予定です~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索してご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ