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LOVE LAND  作者: Rappen
2/2

石の塔

「君のその、使命っていうのはなんなんだい?」


ピンクは、時々思い詰めた表情をする。彼女の横を飛びながら、ロバジョイはそれを心配していた。


「悪魔王を倒すのは、私がしなきゃいけないこと」


「ドルトムントを目指すんだから、そうだと思った。でも、無理だよ。君がどれだけ強いのか、それとも全然強くないのか知らないけど、悪魔王は倒せないよ」


「なんでそんな言い切れるの? 私の強さも知らないでしょ」


「じゃあ君は、悪魔には勝てるのかい?」


ロバジョイがそういうと、ピンクは黙ってしまった。


「ごめん、責めたりしようとしてるわけじゃないんだ。無駄に死んでほしくないんだ」


「あなたは、悪魔王にあったことはあるの?」


「ないよ。僕はまだ生まれて2年だからね、まともなヒトと会うのも初めてなんだ」


「じゃあ、なんで悪魔王のこと知っているの?」


「さあ……なんでだろう」


ロバジョイとピンクは、それ以上の会話はしなかった。


2人はエンケルクに向かって黙って進んだ。


しばらく歩くと、遠くに古びた塔のようなものが見えてきた。塔といっても、3階あるかどうかくらいの、チャチなものだ。


岩でできているみたいだったが、ところどころ苔むしていて、今にも崩れそうだ。


「本当に地図はあそこにドーナツがあるって?」


「うん。でもこの感じだと、生存者がドーナツの隠し場所にしているだけかも。どちらにせよ、ドーナツは貰っていくけど」


永遠に広がっているように見えた草原も終わりを迎え、あたりは深い緑の木が生い茂る森になっていた。


サンケルクの庭、と呼ばれる。


塔以外に建物は見当たらないが、地図によればもう少し進めば村があるようだ。


「村には行かないのかい?」


「ええ。悪魔のせいで村の人たちの警戒心は高いの。勝手に入ったら、こっちが殺されちゃうわ」


「ピンクはさ、どこからきたの?」


ロバジョイは、初めから思っていたがなんとなく避けていた質問を口にした。


「……エルパニア」


「エルパニア?! エルパニアって、たそがれの草原から100キロ以上あるよ!」


「あなたは、なんでそんなに知っているの? まだ二歳なのに」


「さあ? 鳥だからかな。そんなことよりピンク、君はどうやってここまできたんだい」


「どうやってって……歩いて。ドーナツホースもいなかったし」


「悪魔に、出会ったでしょ。倒したの?」


「……」


「君を怪しんでるとか、怖がっているんじゃあないんだ。ただ、疑問なんだ。女の子が到達できるような距離じゃないでしょう。何度か死にかけたりしたんじゃないの」


「死にかけたり……してない。今、私は無事にここにいるの。いいでしょう、それで。塔に入るよ」



塔の中はカビ臭かった。ここら辺は草原と違い雨が多いからだろう。入るまでの地面の土も少し湿っていたし、至る所にコクが生えている。


「この部屋じゃない、ドーナツがあるのは、きっと……」


ピンクは奥の部屋の扉を指差した。


「ああ、その部屋ね、行こうよ」


ピンクはじっとロバジョイのことを見ている。


「え? 行かないの?」


「違う。あなたが見てきて」




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