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貴方が世界から捨てられるのなら、私は世界を捨てる

変わり者の主人公と高校で出会った変わり者のヒロインとの恋愛とシリアス、2つの性質を兼ね備えた物語です!

初めて書いた小説なのであんまり期待しないでください!

「貴方がこの手紙を読んでいる頃には、私はもう…」

汚い字だった。

あの子を始めてみた時、顔やスタイルなど置き去りにして、真っ先に思いついた。僕は昔から変わっていた。周りからは変な子、などと言われ、学校の先生からもマイペースで天然な子と言われていた。

でも、今は違う。自分でもわかるぐらいに。

高校2年生の時、ある一人の女の子と出会った、スタイルは良く、顔も整っている方だと思う。でも最初の印象は、汚い字だった。自分でも不思議に思う、なんで先に字を見たんだろうって。

次に彼女を見た、とてもスタイルが良く顔が整っていて、少しキモいが、可愛いと思った。

数秒彼女を見つめていると、彼女が自分の目線に気がついた。僕は慌てて顔を隠し、寝たふりをしたが、凄くバレていた。すると彼女がこう言った。「ねぇ、私と付き合わない?」「へ?」驚きのあまり、変な声が教室中に響き渡った。「どうした?」と先生が声を掛ける。僕は「なんでもありません!」と言うと、彼女は笑った。

凄く不思議な子だ、変わり者の僕が思うのも変だが、不思議な子だった。放課後になるとまた彼女が話しかけてきた。「どうする?付き合っちゃう?」僕はとても困った、まだ彼女の事を何も知らないし、まだ会って数時間だ。「僕が君を好きになれる保証も無いから、付き合うことはできない、ごめん。」

「そっかー。」残念そうに彼女は言う、そしてまた口を開く「なら、私と過ごして好きになったら付き合わない?」そう提案する彼女に、渋々乗ると、凄く喜んだ。その時の彼女は世界一の美少女だったと思う。

その日の放課後は二人で帰った。他愛のない話をしながら帰っている時、一つ彼女の事を知った。生まれながらにして両親が失踪したこと。物心ついた時から施設で育ってきたそうだ。可哀想と思った僕に今は腹が立つ。声を掛けずにやれていると、「施設が私の親なの!、だから私にも親はいるよ?」明るく振る舞う彼女に僕はやるせない気持ちになった。家についた時に気がついた。彼女とはご近所さんだったのだ。「こんなに家近かったんだね、全然気付かなかったよ!雨宮君!」彼女との家の距離は歩いて1分も掛からないといったところ、昔から住んでいたらしいが、本当に自分自身知らなかったので、正直驚いた。「こんなに近いなら、毎日一緒に居れるね!」僕は少し面倒くさいと感じたが、彼女の喜ぶ姿の方が見たいと思ったので良しとした。

翌日の朝、インターホンが鳴った。「迎えに来たよー!雨宮君!」彼女が早速家に来たが、「今日は学校休みなんだが、七瀬。」「えぇーー!!嘘だ!!」僕は思った、やはりこいつはどこかおかしいと。「分かったなら早く帰ってくれ。」と僕が言うと、「学校ないなら遊びに行こう!」と誘われた。この時僕は追加で面倒くさいとも思った。「私と一緒に居れば私の事好きになるかもなんだよー!」「俺は別に好きにならなくてもいいんだよ。」「私が嫌だ!!」と段々うるさくなってきたので、黙らせるために渋々付き合うことにした。「どこか行きたいところあるの?」と聞くと、七瀬はこう言った。「公園で缶蹴りしよ!」やはりこいつはどこかおかしい。JKとは思えない発言に戸惑い、思わず了承してしまった。

缶蹴りと言えば小学校ぶりだろうか、懐かしい気持ちに包まれながらも、異様な光景に目眩がする。「じゃあ雨宮君が鬼ね!!」「二人だけで缶蹴りって楽しいのか?」「やってみたらわかるよ!」「まあ…確かに」缶蹴りは缶を蹴りに来る側の人間が隠れながら近づいて来るもんだが、七瀬は隠れずに堂々と近づいて来る。「何してんの?」「缶蹴りだよ?」「ルール知ってる?」「もちろん!私が缶を蹴ったら勝ちでしょ?」「雑いけどまあそうだな」「蹴りに来た!」「隠れろよ」「嫌だ!!」なんなんだこいつと思いつつも見守ってやることにした。すると七瀬が思いっ切り缶を蹴る。「私の勝ち!」「勝ち負けもなかっただろ…」「私がルールだ!」また面倒な奴だと思っていると、七瀬が「昔… 好、 …大好きー!」聞き取りづらい声で何か喋っていたのと同時に誤魔化すように大好きと七瀬が言った。「なんだよ急に」「大好きなんだよ!」「それは知ってるよ」「じゃあ私のこと好きってこと?」「なんでそうなった」「えへへー//」聞き取りづらい声で喋っていた事が気になったので、聞いてみることにしたが案の定、聞く耳をもってくれない。「また学校でねー!」何か秘密があるのだろうと自分を納得させ、気にしないことにした。

私は雨宮君の事が好き。それに気付いたのは小学校の頃だった。小学校の頃の雨宮君は、変わり者で、いつも人から避けられていた。でも私は、優しい人だと思っていた。私が遊んで怪我をした時、絆創膏をくれた。たったそれだけの出来事なんだけど、とっても嬉しくて、変わり者じゃなくてただの優しい人だと思った。雨宮君との関わりはそれだけなのに、小学校を卒業する時に、友達との別れじゃなくて、雨宮君との別れに悲しんでいたと思う。中学校に入ったら、新しい出会いで悲しむことはないと思っていたのに、最初の頃は前を向くのが怖くて、行けなかった。たった絆創膏を貰っただけなのに、ここまで好きになるのは単純過ぎる女だと自分でも思いつつ、中学校を卒業し、高校生になった時、他クラスだったけど、雨宮君が居た。内心とても喜んだ。3年生までには同じクラスになれたらいいなと胸に期待を膨らませたクラス替え。高校2年生にして雨宮と同じクラスになった。どのタイミングで声を掛けたらいいかわからず、気付くと夏になっていた。席替えで隣になったら話しかけようと考えていたら、意外にも次の席替えで、隣の席が雨宮君だった。背は高く、かっこいい男の子になっていた。話しかけると言っても異性とあまり関わってこなかった私は距離感がわからず、ある一つの事を思いついた。「昔の雨宮君みたいというか、変な奴になればいいんじゃね!?」と結構バカバカしいことを思い付き。恐怖心を捨て、話しかけようと雨宮君の方を見ると、私のことを見つめていた。私のこと覚えてるのかなと期待しながらも、顔を伏せる雨宮君が可愛いと思った。話しかけるチャンスだと思い、雨宮君に言った。「私と付き合わない?」隠していた本心が漏れてしまった。思わず顔を真っ赤にしたが雨宮君が変な声をだし、みんなから注目の的になっていたのでなんとかバレなかった。数日過ごしてわかったのが、雨宮君は私のことを覚えていないらしい。少し残念だが、一回しか喋ったことがないので当たり前と思い。前向きに捉えた。でもやっぱり、私のこと思い出して欲しい、好きになって欲しい、付き合って欲しい。時間までに。

七瀬、どこかで聞いたことあるような名前、小学校とかで会ったことあるかもしれないが、人違いだったら嫌なので胸の内に秘めておこうと思う。もし、小学校の時の七瀬なら、昔のこととか喋りたいな。

僕は、僕が、俺が、私、俺は…誰だ…?

目が覚めた。高校生の頃の夢を見ていたようだ。なんだか不思議と涙が溢れてくる。「あぁ…七瀬か。」僕は手紙を読み返し、思い出したくない過去を思い出した。

それは僕が高校2年生の、七瀬と会ってからの数ヶ月が経ったある日のこと。

七瀬がいつも以上には元気になった、聞くところによると、両親が見つかったそうだ。「毎日喋れて幸せ!」僕は少し疑問を抱いた。どうして両親は七瀬が生まれた時に失踪したのか、なぜ今になって戻ってきたのか。でも七瀬が笑顔ならそれでもいいと思った。その日の放課後はいつも通り七瀬と二人で帰った。「ママとパパが雨宮君と話がしたいって!」と突然言う彼女に少し戸惑いつつも、両親と話すぐらいなら構わなかったので七瀬の家に行くことにした。「いらっしゃい!ここが我が家だよ!」「お邪魔します。」少し散らかっているリビングに案内され、両親と対面する。「はじめまして、雨宮隼人です。」「悪いんだけど、香菜は席外してくれない?」「えぇー…まあいいけどね!」「あぁ、ごめんね遮っちゃって。」「いえいえ全然。」凄く気まずく思う瞬間だ。そう思っているとお母様の方から話し始めた。「突然呼び出しちゃってごめんね。隼人君」「別に暇だったので、大丈夫です。」「あの子が生まれた時に、私達が居なくなったのは知ってるよね。」「はい。」「あの子に言えたものじゃないから席を外してもらったんだけど。」「実を言うと、私達、あの子が怖いの…」「はい?」「小学校の頃、あの子よく怪我してたじゃない?」点と点が繋がった気がした。やはり七瀬は小学校の頃の七瀬だった。こんな形で知るとは思いもよらなかったけど。「まあ、はい」「あの子、何かに取り憑かれているの。」「何を言ってるんですか…?」「あの子が生まれた時、おかしかったの。」「何がですか?」「ごめんなさい、少しテンパってしまって。」するとずっと黙っていたお父様が話し始めた。「少し落ち着け…悪いね隼人君。」「僕は大丈夫ですよ。」「詳しく話すと長くなるんだがね。」「実は香菜には、双子の妹がいたんだ。」「生まれる前は香菜の方が状態が悪く、流産してしまうかもしれなかったんだ。」「でも、生まれる数日前に状態が変わったんだ、双子の妹の方が状態が悪くなっていたんだ。」「医学的にもありえなくはないと思うんだが、ここからが変なんだ。」「と言うと?」「生まれてきた時に、香菜は無事だったんだが、双子の妹の方が首が切断された状態で出てきたんだ。」「そんな…でも、それは香菜とは関係はなくないですか!?」「残念だが、関係があったんだ。」「でも!それを信じて何になるんですか!香菜は香菜ですよ!」「まだ子供の君にはわからんとは思うが、娘を失った苦しみは消えない。」「それを香菜のせいにするんですか!?」普通とは思えなかった、この両親の考え方、狂っている。「自分の責任を子供に押し付けて!あんた本当に親かよ!!」「あぁ、俺には親になる資格は無かったんだ。」「子供のせいにして、逃げて、香菜の事を殺そうとして。」「は?今お前…なんて言った。」「?、香菜の事を殺そうとしたってことか?」「本当に言ってんのか!?」「子供を失った悲しみから逃げたんだろ!?じゃあなんで殺そうとする!!」「もう一度やり直すためだ。」まずい、このままだと。俺も、香菜も。そう思った瞬間に勢いよく飛び出した。「香菜!来い!!」「え!?いきなり呼び捨て?グイグイ来るねぇ〜?」「言ってる場合か!走れ!!」「本当にどうしちゃったの?まあ、行くけどさー!」香菜の手を繋ぎ勢いよく走る。「家は多分バレてる、警察に言っても無駄だろう、とにかく離れないと」と瞬時に考え、できるだけ早く離れる。「てか、隼人の手紙書いてる途中だったんだけどー」「手紙…?なんの?」「お別れのメッセージってやつ!」「は?何言って…」「私、パパとママに命狙われてるじゃん!」「知ってたのか…?」「あまりにもうるさくて聞こえちゃったよー」「そんで!どっちみちこの先長くないから!」「どういう…こと…?」僕達は一度公園のベンチに腰掛け話をした。口を開いたのは僕だった。「この先長くないってどういうこと…?」この時初めて彼女の曇った顔を見た。「私、生まれつきの病気みたいなので18歳ぐらいまでしか生きられなくて…」「だから小学校の頃から好きだった隼人に、告白したの…」「でも隼人は私のこと覚えてなかっ…」咄嗟に彼女を抱き締める。考えるよりも先に体が動いていた。「ごめん、高校で会った時に君が小学校の頃の七瀬香菜という確証が持てなかった。」「でも確実に覚えていた、小学校の頃の僕に話し掛けてくれた唯一の人だから。」涙を流しながら僕は話した。彼女の方を見ると、彼女も泣いていた。「18歳…あと1年ぐらいか…」「ギリギリまで引きずると別れが悲しくなるから今日でお別れにしない?」彼女の提案に今は従うしか無かった。まだ彼女が生きられたら。まだ両親が優しい人だったら。また違ったのかもしれない。「手紙書いたら送るね!」忘れたいのに、忘れられないようにしてくるところが、本当に変な奴だ。「わかった、ありがとう。」「これが最後っていうのになんかそっけなくなーい?」「大好き!!」僕がそう言うと彼女は笑った。「私も!!」

あれから数年、僕は社会人として生きている。もう七瀬の事は殆ど忘れていたのに、一通の手紙が来て思い出した。手紙にはこう書いてあった。「雨宮隼人君へ 貴方がこの手紙を読んでいる頃には、私はもうこの世には居ないでしょう、手紙がそっちに行くタイミングは、今隼人が何をしているかは知らないけど、元気にやっていることを祈ります!両親は私が18歳ぐらいで死ぬことを知らないと思うので、流石に生かしてはくれると思うので、できる限りは、遠くから隼人の事を見守ってるよ!私は両親に捨てられたけど、貴方には素敵な両親がいる。両親より先にこっちきたら駄目だぞ!めちゃくちゃ怒ってやるからな! 七瀬香菜。」相変わらず汚い字だな。そう思うと、自然に涙が溢れた。泣いたのはあの時以来だろうか。

読んでいただきありがとうございます!

好奇心だけで書いたのであんまりだったとは思いますが、自分的には満足してるので好評だったら嬉しいです!

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