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デッドヒート

作者: たなか

 ミラーに映る老婆の姿が、また一回り大きくなっている。フルスロットルの改造バイクに生身で追いつこうとするなんて、さすが都市伝説の妖怪だ。すれ違いざまに私たちのデッドヒートを目撃した人々には、もれなく忘れられないトラウマが植え付けられただろう。距離が縮まったことで、彼女が忙しなく口を動かしていることに気づいた。



 『お』『あ』『い』『あ』『あ』『い』?



 おあいああい……もしかして『お持ちなさい』と言っているのだろうか。あれ、なんだっけ……童謡の……なぜだか、うまく頭が回らない。私が暢気に思案している間にも距離を詰め続け、気づけばこちらと並走していた老婆はなぜか呆れ顔で、私にむかって枯れ枝のように細い両手で何かを差し出した。



「はあ……はあ……全くそそっかしい子だね。ほら、落とし物だよ」



 ああ、うっかりしていた。どうやらリアボックスの鍵を閉め忘れていたらしい。マイヘルメットを被り、恨めしそうにこちらを睨みつけているマイ生首を受け取った。怒り狂う頭部をなんとかなだめ、遠慮する老婆を半ば強引に後ろに乗せて、私たちは再び夜の街へと走り出した。

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― 新着の感想 ―
[良い点] センス・オブ・ワンダー(笑) 峠族と都市伝説のデッドヒートと思わせておいて、主人公が『デュラハン』いや『首なしドライバー』www。 [一言] 受け取った『マイ生首』を『老婆』がチョコンと…
[良い点] 「すれ違いざまに私たちのデッドヒートを目撃した人々には、もれなく忘れられないトラウマが植え付けられただろう。」 なるわ!トラウマになるわ!! [一言] というかこれ、二人が結婚しましたオチ…
[良い点] 最後、仲良いなお前らwww でもこういうレースなら見たい。
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