77/623
墓守
その日の夜。
王国中の人々が眠りついているのだろう静寂の時間。
暗闇の中、とある邸にある庭の生け垣の下で黒い固まりが二人……いや三人、息を身を潜め音を立てないよう集まり地面を掘っている。
ザッザッザッザッ。
邸まで響かぬよう慎重に、丁寧に、だが素早く穴を掘りを進めていた三人は数分後、暗がりにぽっかりと空いた穴の先にある泥まみれだが所々白いシーツのような布きれを見付けると視線を合わせてニヤリと暗がりに歯を浮かび上がらせて笑う。
どうやらこれが目的のモノらしく、掘った穴から慎重に取り出したそれを一人が持ち上げ別の布袋に丁寧に包むと三人はそれぞれ頷き、ぽっかりと開いた穴を元の通りにするため再び埋め直す。
数分後、すっかり穴を元通りにした三人は満足のいく結果を得たことをこの不可思議な行動の指示をした人物に伝えるため邸の住人に知られぬよう足早に暗闇の中へと消えていくのだった。