表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
公爵令嬢はミステリーがお好き  作者: 古城家康
リネット・ロレンス殺人事件
70/624

警察署での出来事①

 翌日のランポール邸。


 今日も今日とて学園を休んで、というかアーサーの意向で休まされたクリスティアは遅い朝食を食堂で取っていた。

 アーサーもドリーも既に朝食を済ませて出掛けており、エルも学園へと行ったので一人で寂しく食事……。


「それで、今日はなにをするんだ?」


 ではなく、クリスティアは机を挟んだ対面から掛かる声に食事の手を止めて視線を向ける。


「そうですわね、有力な容疑者の方々から昨日お話をお聞きしましたのでそれを纏めてみますわ」


 そこにはユーリが同じように座り朝食を取っている。

 どうやら事件解決までクリスティアの監視を全てユーリが行うらしく。

 ご苦労なことに王城から朝一番馬車に乗ってランポール邸まで来て、遅起きのクリスティアを待ち、共に朝食となったわけである。


 学園で行うユーリの業務は今は全て代わりにハリーがこなしているのだろう。


「お食事のところ申し訳ございませんクリスティー様。お急ぎこちらにお連れした方がよろしいかと思い連れて参りました」

「クリスティー様ぁ、大変なことになりました」


 面倒事を押しつけられて可哀想なハリーと自分が原因であることは棚に上げたクリスティアが食べ終わった食器を片付けてもらい紅茶を飲んでいると、悲壮感漂う面持ちのラックがルーシーに案内されて入ってくる。


 一日しか経っていないというのに随分とやつれ果ててしまっている。


「まぁまぁお疲れのようですわねラック、よろしかったらご一緒に朝食を取りませんこと?ルーシー、準備をしてさしあげて。さぁお座りになってお話をお聞かせくださいな」


 侍女として一流の矜持を持つルーシーが主人の意向を問わず食堂に客人を連れてくるなどという礼儀を欠いた案内を本来ならばするはずがないのだが、予めラックの訪問をクリスティアに伺えばそれを聞いたユーリに邪魔をされる恐れがあったのでさも心を配った風を装って先手を打ったのだろう。


 今にも倒れそうなラックに優しく微笑んだクリスティアの表情を見れば自分の心遣いは主人の満足するものだったことが分かり、ユーリのしかめっ面を横目にルーシーは胸を張る。


 飢えた獣の手懐け方は簡単だ、食事を与えれば良いとばかりにラックにユーリの隣の席を示せば、同時に食堂に控えていた別のボーイがその椅子を引く。

 クリスティアに座るように促されたラックは案の定キラキラと瞳を輝かせて、なんて優しいんだ!女神だ!っとクリスティアの手を机に身を乗り出して握りユーリに叩き落とされている。


 実は昨日の夜からまともな食事を取っていなかったのだと叩き落とされた手を振りながらいそいそとその椅子に座ったラックは、王太子殿下の隣で朝食を食べられる名誉なんてものは霞むどころか理解すらしていないのだろう。

 簡単なフレンチトーストの朝食が高級料理でも出て来たかのように興奮し、喜び、食べ始める。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ