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公爵令嬢はミステリーがお好き  作者: 古城家康
リネット・ロレンス殺人事件
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ブレイク・ゴールデン②

「とても形の良い指輪ですわね」

「えっ?」


 突然、なんの前触れもなくその右手の人差し指を指差したクリスティア。


 話の興がさめるように、折角良い感じで追い詰めていたブレイクの興奮はなにを言われたのか分からない戸惑いと共に一気に沈静化し、同時に簡単に口を滑らせそうだったその慌てっぷりをハラハラとした期待した気持ちで聞いていた一同も呆気にとられる。


 クリスティアが示したのは四つの花弁が開いたシルバーのアクセサリー。

 真ん中にアメジストの宝石があしらわれており、それに光が当たるとシルバーの花弁を輝くように紫色に染めている。


「見たことのないデザインですけれども、オリジナルなのでしょうか?」

「あっ、は、はい。僕はお婆様に可愛がられていてそのお婆様が亡くなるときに譲ってくれたんです。お婆様が一から作った一点物だと聞いてます」

「まぁ、素晴らしいデザイナーだったのですね。よろしかったら手に取って見させていただいても?」

「か、構いませんけど……」


 こんな状況で指輪を見たいだなんてなんておかしな令嬢だろうとブレイクは不審に思いながらも、この追求から逃れられた安堵から指輪を抜き取りクリスティアに差し出す。

 それを受け取りシャンデリアの電球にかざしたクリスティアは感嘆の吐息を漏らす。


 光に当たりキラキラと輝くアメジスト。

 美しく花弁を染めるその紫色にクリスティアの瞳も同じように輝く。


「本当に素敵なデザインですわね」

「あ、ありがとうございます。祖母はアクセサリーのデザイン画を売ってゴールデン家を支えてくれた素晴らしいデザイナーだったんです」

「そういったデザインが好きなのかクリスティア?」

「そうですわね、デザインもですけれどもその意味が大切だと思っておりますわ。ありがとうございますゴールデン様」


 祖母を褒められて嬉しそうなブレイク。


 ユーリはクリスティアが関心を持ったデザインに興味を持つというか、女性に対しての贈り物のセンスがないと散々ドレスを選ぶときにデザイナーに言われたのでこのデザインを参考にして鼻を明かしてやろうという腹づもりで指輪を覗き見るが……クリスティアはクリスティアでデザイン云々より別のことを考えるように呟くとブレイクへと指輪を返す。

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