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公爵令嬢はミステリーがお好き  作者: 古城家康
リネット・ロレンス殺人事件
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ミサのまとめ②

「ではミサ、まずわたくしの行動から記入なさって。クリスティア・ランポール」

「はいクリスティー様!」


 ミサががま口を開き細い指揮棒のような物を中から取り出してホワイトボードへ向かって振るとそれに反応してホワイトボードへとクリスティア・ランポールと黒い文字が勝手にタイピングされていく。


「19時30分クレイソン邸に到着、来賓室でユーリ・クイン王太子殿下と20分ほどの対話後ホールへ移動し主催者であるクレイソン卿へのご挨拶、他の参加者へのご挨拶を経て19時50分頃にクレイソン夫人達が休息されている集まりへ参加をさせていただきましたけれども20時頃には激しい睡魔に襲われゲストルームへ向かいすぐにソファーで気を失いました。ゲストルームではわたくし一人でしたのでその間の証人はおりません。21時に殿下とハリー・ウエストの声で目を覚まし手に凶器を握り締めた状態で死体発見にいたりましたわ」


 簡潔に時間と行動の重要なことだけを抜粋し語るクリスティアの言葉にミサが棒を振ればそれが次々と文字へと起こされていく。


「では次に殿下の行動をミサへとお伝えください」

「ユーリ・クイン19時にパーティーへ到着。19時30分にクリスティアと合流しそのまま来賓室で20分ほど説教、以降はホールで主催者への挨拶などの相手をしていたが辟易したので帰ろうと思いクリスティアがいるはずの歓談場を見ればその姿が消えていたのでクレイソン夫人に何処へ行ったのか尋ねる、時刻は20時50分は少し前だった。そのまますぐに二階のゲストルームへと向かうためホールを出て中央階段を上ったが少しした場所の廊下で男とぶつかりかけた、手が血塗れの男で廊下奥の柱時計からそれが20時50分であることは確かだ。次にハリー・ウエストと出会い少し立ち話をして一緒にクリスティアの居るゲストルームへと21時に赴く。ゲストルームに鍵はかかっておらずそこには刃物を持って立ち尽くしていたクリスティアを発見した」


 ユーリの淡々とした声が部屋へと響く。

 廊下ですれ違った男のことを殊更強調した口調で示したのはそれが犯人だという主張があるからだろう。


「ハリー・ウエストはなにをしていたんだ?」

「クレイソン卿の不正資料を探していたらしい。その場で私にその証拠の資料を見せていたし、今朝その証拠は貴族院に提出されたのでクレイソン卿には近いうちに沙汰が下るだろう」

「ハリーに人を殺すような度胸は無いでしょうから嫌疑から除外してもよろしいかと思われますけれども、警察としてはどうなのかしら?」

「リネットとの関わりも見付かってないしな。まぁ、構わないだろう」


 廊下ですれ違った謎の男もだがハリーがユーリと廊下で会ったこともニールは怪しむがユーリが即それを否定する。


 対外的には浮薄者を装っているハリーだが婚約者に対して一途なことをユーリもクリスティアもよく知っている。

 婚約者を捨て置きリネットに手を出すなんて愚かなことハリーはしないと自信を持って言える。


 リネットの顔と名前を知っていたのも宰相の息子として、情報として貴族の名前と顔を覚えて知っていただけであってリネット本人との関わりは無い。

 それは警察でも把握している事実でもあるのでハリーの嫌疑は一応晴れる。

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