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公爵令嬢はミステリーがお好き  作者: 古城家康
リネット・ロレンス殺人事件
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ルーシーの告白④

「わたくしでないとすると犯人がリークしたのでしょうね」


 クリスティアがあの部屋で寝ていたことを知っているのはユーリとハリーあとは中央対人警察のごく少人数だけだ。

 クリスティアが犯罪現場に居たことを極力隠したがっているユーリやハリーが情報を故意に漏らすなんてことあるはずもなく、ましてや警察が漏らすなんてことはあるはずが無い。

 クリスティアに罪を擦り付ける目的で犯人がギャゼにリークしたのだろう。


 相手の小賢しさにニールは溜息を吐く。


「ではニール。今、分かっていることをわたくしに教えてくださいな」

「捜査情報をそう簡単には教えられるわけないだろ」

「あらではわたくしがどのような方法で誰を調べても文句は言わないでくださいませね?」

「………………」


 どうして簡単に教えてもらえると思うのか。

 いや、それは常々クリスティアが関わった事件捜査の進捗などをニールないし他の刑事から教えてもらっているからであって……今回も当たり前に教えてもらえると思っているのだろう、だがそうはいかない。


 クリスティアは今回、有力な殺人犯人の第一容疑者なのだ。


 ギャゼに載った事の子細を信じた民衆達が貴族特権を前にして公権力が怖じ気づいたのかと憤慨してクリスティアを捕まえろと騒ぎ立てるかもしれない、現にギャゼを見た者達から既に苦情が何件か入っている。

 そうなると警察としては見過ごすことは出来ない。

 最悪任意同行という形でクリスティアが望む留置場へとご案内をしなければならなくなる。

 事件を解決するかもしれないが逆に混乱させるかもしれない諸刃の剣である相手に、捜査情報を教えてやれるほどニールも寛容ではないのだが……。


 目を爛々に輝かせ、自ら事件へと喜んで巻き込まれようとするクリスティアの押さえきれない好奇心。

 自ら調べることになれば一切の配慮を望まないでくれと恐ろしい宣誓を下すクリスティアにニールは額を押さえる。


 こうなれば選択肢はもう捜査状況を話す一択しか無い。


 教えなければ誰に迷惑をかけようともどんな手を使おうとも警察が調べた以上のことを自分で調べるのがクリスティアだ。

 そしてその行動は貴族のお嬢様らしく全てにおいて常識外れの行動が多いので、それに対する雷のような苦情は事件担当の対人警察署に入るのだ。

 事件の電話番を仰せつかっている部下達の胃薬が常備された机の上など見たくはない。

 鳴り響く苦情の電話を前に頬がどんどん痩けていく部下達の憐れな姿を思い浮かべたニールは重い、それはそれは重い口を開くのだった。

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