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公爵令嬢はミステリーがお好き  作者: 古城家康
何故彼女は赤い悪魔となったのか
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ランポール邸の客間にて④

「殿下はそういった点ではクリスティーが居るから騒がれないですね」


 楽にしていいと言われたせいか学園で話しをするのと同じ感覚でついアリアドネは砕けてしまう。

 その姿を渋い紅茶としょっぱい紅茶を準備するルーシーが心の中でマイナス点として数えている。


 自由恋愛を良しとするラビュリントス王国だというのにユーリにはそれが許されていない。

 乙女ゲームのシナリオ的にライバル役として婚約者が居なければならなかったのかもしれないが、不満はないのだろうか。

 とはいえ居ないなら居ないで私が、私がっと言い寄る者達でユーリの周りには人が溢れかえっていただろうけれど……。


「まぁ、そういう面倒事を避けるための幼い頃からの婚約だからな」

「そういえばクリスティーって昔からああだったんですか?」

「ああ、とは?」

「なんていうか自分で事件解決したり。ほら……色々と変わってるじゃないですか」

「あぁ……もしかして前世の話を聞いたのか?」

「うえっ!?」


 アリアドネの言葉を濁す様子に納得したような声を上げたユーリはクリスティアがよく吹聴していることを思い出す。

 前世の敬愛する探偵だのなんだのとは耳にタコが出来るほどユーリは聞かされてきた。

 クリスティア付きのメイドとなったのならばアリアドネも同じように前世の話をされ困惑し、彼女の正気を疑っているのかもしれないと、主人を庇うつもりで濁されたのかもしれない言葉をユーリが汲み取れば……アリアドネから驚いた声が上がる。


(どうしてユーリが前世の話を知っているの!?ま、まさか私のことも話してるんじゃ!?)


 確かに口止めはしてなかったけど!


 アリアドネの言う変わっているとは率先して事件に関わろうとする姿が貴族であり、ユーリの婚約者としては間違いだらけではないのかという意味だったというのに……まさか前世の話が出てくるとは。

 クリスティアと一緒になって前世の話をする変な奴だと思われているのかと慌てふためくアリアドネの様子を見て、ユーリは苦笑う。


「心配しなくてもクリスティアの前世については彼女が誰にでも話していることだから私も私の家族も彼女の家族も友人も……大体は知っていることだ。随分と荒唐無稽な話をするから驚くだろう?」

「そ、そうなんですね!ははっ、前世とか……面白いですよネーー!」


 そんなアリアドネの焦りをユーリは、口を濁したというのに主が変人だということをユーリが知っていることに焦っているのだと勘違いしたようで……クリスティアの荒唐無稽さだけを口にする。

 どうやらユーリの口振りからしてクリスティアはアリアドネの前世のことは話してはいないようで……安心する。


「ははっ、あまり面白いとはいえないがな……その前世の記憶にある探偵とやらのせいで事件に興味を持ち続けているのだから。そういったものに関わると無鉄砲になってしまうから心配な部分でもあるし……まぁ、それでも昔よりはマシになったんだろう」


 本当に昔よりは随分と丸くなった。


 純真無垢というか悪意のない清らかさで人々の罪を大小様々暴いていた頃よりかは随分と……。


 何故だか隠し事でもあるかのように体を緊張させ視線を逸らすアリアドネを見ながらユーリはフッと思い出す。

 それは立太子に辺り婚約者を決めると決まった頃のことだった。

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