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公爵令嬢はミステリーがお好き  作者: 古城家康
乙女ゲームと遺言書の謎
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マーシェ邸⑦

「今はまだマーシェ家に領地の管理を頼んでいるが、なにか不便なことはないか?」

「えぇ、ございません殿下。ただどのような形であれ領主が変われば領民達が不安に思うのではないかと……私はそれが気がかりでございます」

「そこは陛下も憂慮しているところだ。新しい領主を迎えるときに領民達に不安があってはならないだろうから慎重に選ばねばならないと。迷惑で無ければマーシェ家でこのまま管理を続けていただく選択肢もあると思っているが……その場合、爵位のない者を領主とすることは難しいだろう」

「まぁ。ご相談いただけましたら私、夫に相談いたしますわ。それに恥ずかしい話ですけれども領民達からは父が爵位を返上したことは弟に対して不当ではないのかといったお声もいただいております。なのでつい先日アルフレドが返上に対して不服を申し立てまして……今はそれが受理され精査が行われるのを待っているところですわ」


 子爵家の爵位があれば確かに、新しく領地を管理する者として問題はない。

 しかし管理する領地を広げることは己の裁量で出来ることではない。

 もし王太子殿下の後ろ盾があるならばこんなに喜ばしいことはないと喜ぶエリンにアルフレドが期待を持った表情を浮かべる。

 後ろ盾になるなんて言ったつもりはないのだが……勘違いをしたのだとしたらそれはそれで御しやすいのでユーリは訂正せずに黙って微笑む。


「まぁ、どうなるにせよ形式として領民達に話を聞くのが最優先だ。明日すぐにでも話を聞きたいと思っているのだが構わないか?」

「勿論です、私がご案内させていただきます」

「よろしく頼む」

「すいません。僕は殿下とは別に町ではなく森の方へと行きたいのですが……出来れば裏道などあるのかなどの話もお聞きしたいので、どなたか案内をしてくれださると助かります」

「ではそちらはアルフレドがご案内いたしましょう、アルフレドは父に付いてよく狩りに出ておりましたので森の方は誰よりも詳しいでしょうから」

「感謝しますミセス・エリン、よろしくお願いいたしますロード・アルフレド」

「えぇ、ロード・エル。喜んで」


 示し合わせた通りに進んだ筋書きにニヤリっと誰にも知られないようエルは口角を上げる。


 マーシェ邸には今日を併せて学園が休みの三日間しか滞在が出来ないので、先に公開された遺言書に利のあったエリンやアルフレドが邸に居られると十分に家探しが出来ないのだ。

 ヴィオラを予め連れて出たのはユーリとエルの案内役を務めさせないためでもあるのでクリスティアの望む通りになった結果に、エルは満足し、ユーリは一抹の不安を抱えながら夕食までは和やかな歓談で時間を潰す。


 夕食の時間になる頃にはドレスを着替えた(喪中だというのにこれまた派手なエメラルドグリーンのドレスに宝石類で着飾って至る所から反感を買っていた)クリスティアも合流する。

 ヴィオラはクリスティアを案内して暫く経ってから皆の居るサロンへと降りてきていたので一人で部屋に居たクリスティアがなにをやらかしていたのか(なにもしていないという選択肢はない)怪しんだユーリが小声で尋ねてみたが微笑みを向けられ休んでいただけだと惚けられてしまう。

 口角を上げたまま貝のように閉じてしまっった唇にはなにを聞いても無駄だと良く分かっているのでユーリは聞き出すことを諦め溜息を吐く。


 夕食後は各々の泊まる部屋へと案内された。


 二階の右側の階段側からフラン、ジョージ、ロバートそして狩猟部屋があり、吹き抜けを挟んで左側にはクリスティア、エル、ユーリそして書斎部屋となっている。

 夜は自由時間兼偵察……となるはずだったのだが思いの外、長い馬車の移動で疲れていたらしく。

 明日の遺言書探しに備えて皆、早々に眠りへとついたのだった。

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