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ヤンデレ世界遺産  作者: 青木りよこ
3/5

無事結婚した

俺は彼女との約束通り、彼女が高校を出るまで、彼女と関係を持たなかった。

これに関しては多いに褒めてほしいし、称賛に値する行為だと思う。

そういった意味では自分たちは信じられない程純粋で、高潔だったのではないかと思う。

俺は絶えず苦しんでいた。

彼女の義兄に、彼女の通う高校の男子生徒、男子教職員、彼女を奪う可能性のある人類全てに。

アルバイトは辞めてもらった。

高校生が稼げるバイト代なんてたかが知れているし、その分の金は俺があげるからというと彼女は素直にやめてくれたが、バイトに行かないと放課後暇なので、部活に入ったと言われ、愕然とした。

まっすぐ家に帰り、誰の目にも触れず、大人しくしててくれたらいいのに。


俺が苦しみぬいた彼女の高校生活が終わり、俺達は無事結婚した。

彼女はすぐ子供を欲しがったが、俺は欲しくなかったので彼女にこっそりと薬を飲ませていた。

夫婦生活はきちんとあった。

彼女は俺にそういった意味ではよく尽くしてくれた。

素晴らしい妻だったと思うが、結婚したら、一緒に暮らしだしたら、彼女の全てを手に入れたら、もう苦しまなくなると思っていたが、そんなことはなかった。

寧ろ新たな苦しみの幕開けだった。

そこからが地獄だった。


彼女は子供もいないし、暇だから、パートに行きたいと言ったが、俺は絶対に許さなかった。

幸いなことに俺にはかなりの収入があり、兄弟もいないため親の遺産も全て受け継いでいたので、生活に困ることなんかなかった。

暇だから働くと言う理由が信じられなかった。

俺は自分が仕事に行っている間に家に誰かが侵入し、妻が乱暴されるのではないかと、自分の想像に息もできなくなるほどだったのに、あの女はパートに行きたいとか抜かしたんだ。

俺は妻の庶民感覚というものに絶望した。

そう、一日中何かしてないといられない、貧乏性なのだ。


パートに行ってたら、家にいないから乱暴される心配がない?

馬鹿言うな。

俺は彼女に男との接点ができるのが堪らなく嫌だったんだ。

成程、スーパーというのは、ほとんどが女性のパートさんで正社員は店長と次長各課主任くらいのもので、出会いと言うのはほとんどないと思われたが、俺は結婚してから、彼女が正式に自分の物になってからは、彼女を誰かに見せるのすら嫌だった。

誰にも見せたくなかった。

医者などもってのほかだったから、俺は妻の健康には常に心を砕いた。

その成果もあり、妻は俺と結婚してからの三年間で医者には一度も行くことなく亡くなった。


俺は妻の外出を制限していたし、出かける時は常にマスクと帽子と眼鏡をかけさせたし、体の線がわからない服しか買わせなかった。

常連客なんぞになって、おかしな男に目を付けられたらと思うと気が気でなく、毎日違うスーパーに行かせた。

妻の欲しいものは何でも買ってやったし、宅配便を妻が受け取るのが嫌だったので、いつもコンビニ受け取りにして俺が仕事の帰りに取って帰った。

妻は特に不平を漏らしたことなどなかった。

俺は妻に優しくしていたし、暴力など一度も振るったこともなく、妻を飢えさせたりもしていない、まあ悪い夫ではなかったと思う。


俺は仕事から帰ると妻がいつも殺されているのではないかと想像するのをやめられなかった。

いつも家のドアを開け、妻の死体を発見する自分が頭から離れなかった。


俺が妻の死を望んでいただと?

そんなわけないだろう。

俺は妻を愛していた。

彼女以上に俺が愛した人間などいない。

人類が滅亡したのも俺のせいかもしれない?

ははっ、それはそうかもしれないな。

俺は妻の死体を発見してから、捕まるまでずっと、妻を知っている人間を全て抹殺するにはどうしたらいいかと考えていた。












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