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少女騎士団は今日から僕のハーレムになりました  作者: 真木あーと
第一章 気さくな王女は男の子
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第9話 魔王を倒し、魔姫が残る

 今から百年にも歴史を遡る昔々の話。

 遥か東方の地に、魔界から魔王が来襲した。


 そして、魔王は瞬く間に地上世界を支配し、やがて全世界をその支配下に治める日も遠い話ではない、そんな状況だった。


 何しろ魔王の力は強靭で、人類は次々と魔王軍に制圧され、その支配下に入らざるを得なかったという。

 だが、人々は恐怖に怯えるのみではなく、西方の、まだ魔王に支配されていない国々は、武器や魔法、兵力を次々に作って魔王に対抗する手段として戦った。


 人間たちの抵抗は数十年に及んだが、開発に開発を重ね、ついには魔王を滅ぼすことに成功した。

 その残党狩りも徐々に片付きつつあった頃、それまで一致協力していた国々が戦争を起こした。


 魔王に支配されていた地域のその後をめぐり対立していた、大国間での争いが最初の原因だ。

 以降再び、今度は人間同士の戦乱の世となる。


 ジュエール王国はその当時まだ中堅王国だったが、王族男子のみが持つ能力により、周囲の国々を次々に陥とし、勢力を一気に拡大した。


 魔王が現れた東方からも遠い西方にあり、魔王被害が全くなかったから、必死に戦っていた大国よりも兵力を温存出来ていたことも理由に挙げられる。


 だが、それが仇となった。


 大戦の終わりと共に、今度は西方、ジュエール王国西の山脈に、魔王の娘、魔姫(まき)が現れたのだ。


 魔姫(まき)は、魔王を倒した武器では倒せない特性を持っていた、だから、一度魔王を倒した武器ではもう倒せない。


 とは言え最初、魔姫(まき)の登場に、王国は恐れを抱かなかった。

 何故ならジュエール王国王族男子の持つ能力、これは魔王には通じないが、魔姫(まき)には絶大な効果があるからだ。



 だが、王国は予想外の苦戦を強いられる。

 魔姫(まき)の軍勢はほぼ女や雌で構成されていて、しかもその大半が、男を魅惑する種族だった。


 つまり、兵を送っても裏切ってしまうのだ。


 もちろん王族の能力はそれらの敵にも有効ではある。

 だからと言って、王族一人だけで攻めるわけにもいかない。


 軍を率いていけば、裏切られ、王族一人では一般的な武力で追い返される。

 だから、このまま長い平衡状態が続く。


 少なくとも王族がいる限り王族には攻めては来れず、こちらからも攻められないその均衡状態は、だが、王国が思っているほど長くは続かない。


 魔姫(まき)はそう甘い存在ではなかった。


 狡猾な魔姫(まき)は、まだ能力に目覚めていない、生まれたばかりの王子を次々と(さら)ったのだ。

 長寿、嫌、ほぼ永遠の命を持っている魔姫(まき)にしてみれば、人が寿命で死ぬのを待つことは、大して長い時間ではない。


 現存していた男性王族は老いて死んで行き、ついには直系には女性王族しかいなくなった。


 魔姫(まき)は、男性王族が絶えたことを確認したら、再び魔王のように支配を始めることだろう。

 ではその間に、魔王の時のように対抗できる武器を開発すれば、と思うかもしれないが、それは難しい。


 何故なら魔姫(まき)は戦っていないからだ。


 魔王は支配するために戦っていたから、武器のトライアンドエラーが出来たのだ。

 だが、魔姫(まき)は今のところ戦っていない。


 だから、まずは支配されて、戦いを挑みつつ、武器を開発する、という途方もない時間と命を消費して開発していくしかない。

 少なくともそれは、今生きている人間の寿命が尽きるまでには困難だろう。


 ジュエール王国は、やがて魔姫(まき)に襲撃され、支配されるまでの猶予を、ただ待っているだけの国だった。



 エメフィー・ラルナ・シャルティクは、そんな中に生まれた。



 既に男性王族はほとんどいない。


 現存するのは、エメフィーの曾祖父の妹の息子、という、もう能力があるかどうかも疑わしい者だけだ。

 だが、魔姫(まき)は慎重に彼が死ぬまで待っている。


 人から見れば無限とも言える寿命を持つ魔族にとって、人が死ぬまで待つことは、大したことではない。

 その最後の男性王族も、年齢からもう長くはないだろう。


 そして、魔姫(まき)最大の懸念であるジュエール王国さえ制圧すれば、後はそう長くはなく、全世界へと侵攻することだろう。


 エメフィーはそんな現状を良しとせず、例え能力がなくても自分たちで魔姫(まき)を倒そう、と言い出し、エメフィー女騎士団を立ち上げた。


 女だけの騎士団なら、魔姫(まき)の部下達に魅了されることはない、だから自ら先頭に立って、強い騎士団を作ろう、と。


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