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少女騎士団は今日から僕のハーレムになりました  作者: 真木あーと
第三章 騎士団の結束は魔の眼でも覗けない
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第54話 敵前にして緊張感ゼロ

「アメラン、下りる……戦闘中に寝てないでよ!」


 確認と、戦いに参加するために馬下りようとして、抱えているアメランに下りて貰おうとしたら、彼女はエメフィーの胸の中で眠っていた。


「むにゃ~、目覚めのキスを待っています~」

「起きたのなら下りてよ。僕がキスすると、アメランが言うことを聞かないアメランじゃなくなっちゃうから、絶対にしないよ?」


 そう言うと、エメフィーは馬からアメランを抱えたまま下りる。


「アァァァァァァァァッ!」


 最後の一匹を、サイがしとめる。


「ほら、君が下りないから終わっちゃったじゃないか」

「よかったですね~」


「……いい加減にしないと、おしおき復活するよ?」

「復活! おしおき!」


 がば、といきなり起きるアメラン。


「おしおきをお願いします! とびっきり痛いので!」


 エメフィーは、周囲の、戦闘の最中にあの二人は何してるんだろう、という視線が痛く突き刺さる。

 特にマエラがいるから怖い。


「……しないけどさ。だったら、研究費を半額に──」

「ギャァァァァッ!」


 アメランが断末魔のように叫ぶので、周囲の少女たちが敵襲かと緊張する。


「アメラン、静かにしてよ……」

「さっき倍額になったばかりなのに~……」


 涙目のアメランに見上げられる。


「はあ、分かったよ。半額にはしないけど、ちゃんとして? 君は隊長なんだからさ」

「は~い、分かりました~」


 絶対分かってないだろう、と思ったがこれ以上言っても無駄だと思ったエメフィーは、もう一度頭を撫でてやってから、アメランを離した。

 ちょうど丘を降りていた槍剣隊が戻ってきたところだったので、まずは槍剣隊から労おうと丘の上で待っているエメフィー。


「うまく行きましたね、サイ?」

「はっ、マエラ殿のご教授の通りにいたしました。ありがとうございました!」


「えぇぇぇぇぇぇっ!?」

「エメさまぁぁぁぁっ! ふにゃんっ!」


 エメフィーが振り返って驚いたとき、一番に丘に上がって来たシェラが馬上からエメフィーに飛びついて来て、エメフィーはシェラと共に倒れる。


「いたたた……シェラ、お疲れさま」


 この程度の事、シェラ相手にはよくあることだ。

 エメフィーはシェラの頭を撫でてやった。


「えへへ。頑張りましたですぅ」


 頑張った、ということは、あの炎でも生き残りたいたという事か。

 実は全く見ていなかったことを、黙っておくことにした。

 いや、そんな場合ではない。


「槍剣隊のみんな、お疲れ!」


 エメフィーがシェラを伴って起き上がりながら言うと、黄色い歓声が上がる。


「魔法隊も弓隊も、今回は全員で頑張ったね。お疲れさま!」


 全員を労ってから、サイとマエラの元に向かう。


「ねえ、マエラ。サイと何が──」

「そんな事よりシェラ、何度も言っていますが、馬から飛び降りるのはやめなさい。怪我をしたり、馬が誰かを巻き込んだりしたらどうするのです」


 マエラはエメフィーの言葉を遮って、シェラを叱る。


「ごめんなさいですぅ……」


 シェラがしゅん、と小さくなる。


「ま、でも、今日はきちんと動けましたね? 生き残りを全て貫いて回っているのを見ていましたよ。頑張りましたね?」

「はいです! 頑張りましたですぅ」


 褒められて喜ぶシェラ。

 マエラはずっと指揮を執っていたように思えたのだが、遠くにいたシェラの活躍もきちんと見ていたのだ。

 今は片目しかないのに、その視界の広さ──それは物理的なものではなく、目の届く範囲という意味で──物凄い。


「それで、先ほどの続きですが、サイ。ルインとレッソは入れ替えた方がいいですね」

「ですが、それなら、素人のレッソは同じく素人のイナと組むことになってしまいますが」


「そうですね。ですが、イナはまだ、止まった的に当てることも出来ません。ですから、彼女の方を囮矢にすることが出来るのです」

「なるほど、流石は参謀殿!」

「あ、あの~」



 割って入りづらい会話で、申し訳ないが、エメフィーは二人に話しかけた


「二人っていつからそんなに仲良くなったの? 二人はその……そんなに仲がいいようには思えなかったんだけど」

「昨日からです」


「だろうね。それで、何がきっかけ?」

「さあ……何でしょうね?」



 マエラは悪戯っぽく微笑む。

 そんな表情は、たまにしか見せない、本当に機嫌のいい時の表情だ。


「女の子だけの、秘密です」


 そう言って、マエラはサイにぎゅっと抱き着いた。

 サイはいつもエメフィーにされている時のような、苦笑いを浮かべていた。


 それを見たエメフィーは、サイが満更でもないように思え、じゃあいつもの自分の時も同じなのかな、などと思った

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